量子超越性

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量子超越性(りょうしちょうえつせい、英語:Quantum supremacy)とは、ある問題を解くに当たって量子コンピュータが古典的コンピュータの計算速度を上回ること。この実証に使われる問題には有用性がなくても良い。

概要[編集]

量子コンピュータの方が古典的コンピュータよりも優位な状況が一つでもあった場合に量子超越性が認められる。

英語圏ではQuantum computational supremacy(量子計算超越)とも呼ばれる。日本では量子スプレマシーと呼称されることもあるが、Googleによる量子超越性の達成以降は少数派な呼び方になっている。

歴史[編集]

2012年に理論物理学者のジョン・プレスキル氏がこの概念を提唱したとされる。

2019年9月中旬頃、Googleの研究チームの論文の草稿がNASAのWebサイトに誤ってアップロードされ、そこには、当時の世界最速のスーパーコンピュータ「Summit」が解いた場合に1万年を要するであろう計算を量子コンピュータが3分20秒で完了させ、量子超越性が実証された、という内容が記されていたことで騒動となった[1]。 同年10月21日IBMはGoogleの漏洩騒動を受け、Googleが用意した問題ならSummitでも2.5日で解き終わると主張し、更に最適化によって2.5日よりも短期間で計算が終わる可能性すらあると反論している[2]

2019年10月23日、Googleは54量子ビットを搭載した量子プロセッサー「Sycamore(シカモア)」が量子超越性を達成したと正式に発表。英科学誌「Nature」に査読済み論文が掲載された[3]。この発表の余波として、量子コンピュータで素因数分解を高速に行うことのできるショアのアルゴリズムによって楕円曲線暗号が解読されるのではないかという憶測が広まったためか、暗号化技術が使われているビットコインなどの仮想通貨の価格が一時急落している。

2020年12月3日、中国科学技術大学(USTC)などの研究チームは、現時点での世界最速のスーパーコンピュータである理化学研究所の「富岳」が行った場合に6億年かかるであろう計算を、光子を使った量子コンピュータが3分20秒で解き終えたため量子超越性が実証されたと発表[4]。この発表は米科学誌「Science」オンライン版に掲載された。

2021年11月11日、USTCなどの研究チームは、66ビット超伝導量子コンピュータのプロトタイプ「祖沖之(そ・ちゅうし)2号」が量子超越性を達成したと発表[5][6]。中国の科学学術誌「科学通報」と米物理学会の速報誌「Physical Review Letters」に研究結果が掲載された[6]

出典[編集]

関連項目[編集]