誤給油

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誤給油とは主に自動車において不適切な燃料を補給したことを指す言葉である。自動車以外においても誤給油は発生しており、そちらについても記述する。

自動車における誤給油[編集]

自動車の燃料はガソリン軽油があり、ガソリンはオクタン価によりさらにハイオクとレギュラーに分けられている。自動車に搭載されるエンジンや機構はそれぞれの油種に対して最適化されており、適さない燃料を給油した場合はエンジンの不調、最悪の場合は始動不良から故障につながることも珍しくない。

同一車種でエンジンの仕様が異なる自動車は多く、スバル・インプレッサのようにハイオク仕様とレギュラー仕様のエンジンが存在しているケースは非常に多いだけでなく、トヨタ・マークIIの6代目(80系)のようにハードトップでありながらガソリンエンジンとディーゼルエンジンのモデルがある車種も少なからず存在している。このような自動車の場合はユーザーやガソリンスタンド側の思い込みで給油した結果誤給油につながるケースもあり、フューエルリッドに張られている油種ステッカーや車検証での油種確認は重要である。

誤給油は車両に対してだけではなく、ガソリンスタンド自体のタンクに対するものもある。また、タンクからノズルまでの配管ミスや何らかの事情で2つ以上の油種が混合されてしまった(コンタミネーション)場合もあり、この場合は正しい油種を選択したつもりでも誤給油を回避することは難しくなる。

近年はセルフ式のガソリンスタンドも多く、単に安いから、軽自動車用の油だから軽油[注 1]、などという意味不明な理由で給油するケースが後を絶たない。なお、セルフ式スタンドにおいては店員が販売許可を出しているものの、車種と油種の照合まではしておらず、都度確認する必要もないことからセルフスタンドにおける誤給油は前述のようなスタンドに起因するものでなければ完全なユーザー責任となる。

車両への影響[編集]

ガソリンエンジン車に軽油を給油
タンク内のガソリンの残量によって変わるが、タンク内のガソリンを使い切り、軽油がエンジンに到達した後は燃焼を継続できないため、加速不良やアイドリングが不安定になり、最終的には黒煙のような排気ガスが出てエンジンが停止することになる。
レギュラーガソリン指定車にハイオクガソリンを給油
特に問題になることもなく、普通に走行することは可能である。一方でハイオクガソリンに含まれている添加剤やオクタン価の違いによる長期的な影響は分かっていない。
ハイオクガソリン指定車にレギュラーガソリンを給油
ECUにより補正が行われ、エンジン性能を抑えて(セーフモード)走行することは可能である。一方でエンジンノック発生の可能性や不完全燃焼の可能性は残っており、オクタンブースターなどの燃料添加剤の使用やハイオクガソリンの速やかな補給が望まれる。なお、一部にはレギュラーガソリンの仕様が厳禁なハイオク仕様車も存在している[注 2]
ディーゼルエンジンにガソリンを給油
アイドリング不調や白煙を吐くだけではなく、燃料を噴射するポンプの潤滑がガソリンによって失われるため、ポンプの故障を引き起こしてエンジンが停止する。
自動車に灯油を給油
軽油と灯油は性質が似ていることから、ディーゼルエンジンは当然のことながらそれなりに走行が可能である。ガソリンエンジンでもある程度は走行できるらしい。が、そもそも灯油を燃料として公道を走行するのは脱税行為であり、不正軽油に代表される犯罪行為である。

その他の誤給油[編集]

灯油を用いた暖房器具、石油式ファンヒーターや石油ストーブにはガソリン使用禁止と書かれた注意ラベルが貼り付けられている。仮にガソリンを誤給油してしまった場合、暖房器具自身の熱で燃料タンクの内圧が上昇し、圧力に耐え切れずにあふれ出てしまう。あふれ出たガソリンは再点火時や暖房器具の熱で容易に引火してしまう。そのため役所[1]NITE[2]が絶対に誤給油しないように呼び掛けている。

ガソリンを用いたキャンプ用品には自動車のレギュラーガソリンと同様のガソリン、通称「赤ガス」を利用できるものとガソリンの原料となるナフサ(重質ナフサ)であるホワイトガソリン、通称「白ガス」が存在している。赤ガスは自動車用ガソリンとして添加剤などが含まれているため、ホワイトガソリン専焼の器具に使用すると配管の詰まりや不完全燃焼しやすくなるなど、トラブルの原因となる。

脚注[編集]

  1. これに対し、「だったら原付には原油を給油するのか」という定番化したツッコミもある
  2. 7代目セリカの一部仕様など

参考[編集]

関連項目[編集]