玄田有史

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玄田 有史(げんだ ゆうじ、1964年10月30日 - )は労働経済学者である。東京大学社会科学研究所教授。博士(経済学)(大阪大学)。研究テーマは若年雇用、雇用創出・消失、無業、不平等、非正規雇用、希望の社会科学、キャリア教育

概要[編集]

1964年島根県飯石郡頓原町(現:飯南町)生まれ。1983年3月、島根県立松江南高等学校卒業。1984年4月、東京大学経済学部に入学し、1988年、東京大学経済学部を卒業する。1988年4月から東京大学大学院経済学研究科第Ⅱ種博士課程入学。1992年4月、学習院大学経済学部専任講師となる。1995年11月、学習院大学経済学部助教授となり、2000年4月、学習院大学経済学部教授[1]

2002年4月、東京大学社会科学研究所助教授となる。2007年4月、東京大学社会科学研究所教授となり、現在に至る。

中高年の雇用維持のために多くの企業が新卒の採用を抑制しているため、フリーターパラサイト・シングルが発生し、劣悪で不安定な就業形態を選択させられ、将来展望のない仕事に従事させられていると説く。日本の雇用制度では解雇が困難であり、リストラを実行しにくいという制度要因があるとする。主張だけではなく、良質のデータ収集から丹念な統計処理により実証している。

玄田はニート研究の第一人者とマスコミ等で言われる[2]。総務省統計局「就業構造基本調査」からニートを考えたという。ニートには「非求職型」(働きたいと思っているが、職探しを行っていない)と「非希望型」(働くことを望まない)がある。2015年時点で、ニート人口は75万人と推計されている

人物[編集]

  • 学習院大学では当時の学部長から飲みに誘われ、夜10時45分になると、ケチではよい学者になれないと繰り返し言われたと語る[3]。研究以外のことに時間を費すことを厭わないという意味と後で分かった。

受賞[編集]

  • 2002年、第24回サントリー学芸賞 政治・経済(『仕事のなかの曖昧な不安 ―― 揺れる若年の現在』)[4]
  • 2002年、第45回日経・経済図書文化賞(「仕事のなかの曖昧な不安―揺れる若年の現在」(中央公論新社))
  • 2004年、第27回労働関係図書優秀賞(『ジョブ・クリエイション』)[5]
  • 2005年、第45回エコノミスト賞[6]
  • 2009年、日本経済研究センター・日本経済新聞社 円城寺次郎記念賞
  • 2012年、日本経済学会 石川賞
  • 2012年、日本学術振興会 科研費審査委員表彰
  • 2013年、エンジニアリング振興協会 エンジニアリング功労者賞・協会功労
  • 2015年、労働問題リサーチセンター 冲永賞(危機と雇用)

著書[編集]

単著[編集]

  • 『働く過剰 大人のための若者読本 日本の〈現代〉』NTT出版 、2005年10月25日、ISBN-10: 4757141033
  • 『希望学』中央公論新社、2006年4月1日、ISBN-10: 4121502116
  • 玄田 有史・Jean Connell Hoff訳(2006)"A Nagging Sense of Job Insecurity:The New Reality Facing Japanese Youth" I-House Press、ISBN-10: 490345200X
  • 『人間に格はない―石川経夫と2000年代の労働市場』ミネルヴァ書房、2010年2月1日、ISBN-10: 4623056228
  • 『希望のつくり方』岩波書店、2010年10月21日
  • 『孤立無業(SNEP)』日本経済新聞出版社、2013年8月1日
  • 『危機と雇用』岩波書店、2015年2月
  • 『人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか』慶應義塾大学出版会、2017年4月

共著[編集]

  • 玄田有史・権丈善一(2004)『ジョブ・クリエイション』日本経済新聞社
  • 玄田有史・小杉礼子・労働政策研究研修機構 (2005)『子どもがニートになったなら』日本放送出版協会、2005年7月
  • 玄田有史・曲沼美恵 (2006)『ニート―フリーターでもなく失業者でもなく』幻冬舎、ISBN-10: 434440825X
  • 玄田有史・斎藤珠里 (2007)『仕事とセックスのあいだ』朝日新聞出版、ISBN-10: 4022731249
  • 玄田有史編『30代の働く地図』 岩波書店 、2018年10月19日

注 参考文献[編集]