毒
毒とは、ある生物に対し性質上害を与える物質をさす。健康を害し、生命を危うくしたり、奪ったりするもの。なお、量によっては、食塩や砂糖も毒となる。すなわち、毒とするか無害とするかは判断しだいである。また、生物によってどの程度の毒性かは異なる。たとえば、タマネギは人にとってほぼ無害だが、イヌには猛毒である。
概要[編集]
毒は大まかに二種に分類されるが、実のところ曖昧に用いられている。
英語では「ポイズン」と「トキシック」であり、ポイゾナスなのは重金属系であり、トキシックなものは有機化合物である。
「イタイイタイ病」や「水俣病」はポイゾナスな例である。
人類史上最大の病害虫というと蚊であるが、それを防除する最強の毒草は除虫菊であり、蚊取線香は蚊に対しては毒だが人間に対しては(さして)毒ではない。
「人間に対してのメリットとデメリットを勘案して、どこで妥協するか」の判断による。トリカブトもジギタリスも著名な心臓毒草であるが、匙加減で薬草にもならる。「毒にも薬にもならぬ」代表は「水素水」である、普通の水には、10%以上の水素が含まれている!
法規制[編集]
日本では毒物および劇物取締法において医薬用外劇物と医薬用外毒物にそのことの表示義務や管理の決まりがあり、また特定毒物には厳重な警戒がされている。
主な毒の種類[編集]
- 目 (メタノール)
- 神経系 (有機リン化合物(サリン含む), 有機水銀化合物, ボツリヌストキシン)
- 呼吸器 (ホスゲン)
- 細胞 (シアン化水素,モノフルオロ酢酸)
- 皮膚 (水酸化ナトリウム)
- 骨 (カドミウム)
用途[編集]
未成年者の飲酒は体に毒である。
LD50[編集]
LD50(半数致死量)は、「体重 1 kg 当たりの投与量において、半数が死ぬ量」を指す、毒の程度を比較する指標として有効であるとされる。知られているかぎり、破傷風毒素毒素であるボツリヌス菌の毒素であるボツリヌストキシンが最高であるとされる。
解毒剤[編集]
有名なものをあげる。
- メタノールに対してエタノール
- シアン化合物に対して亜硝酸アミル
- 有機リン化合物に対してプラリドキシムヨウ化メチル
- フッ化水素に対してグルコン酸カルシウム
- サリンに対するトロパンアルカロイド[1]
中和型と拮抗型の二種類がある。
拮抗する代謝速度の違う二種類の毒素を投与しておいて、保険金殺人を企てた例がある。
「萬菫相容れず」という言葉がある[2]が、拮抗作用のある毒素を投与すると救命に結びつくことがある。たとえば地下鉄サリン事件で、日野原先生が有機燐酸系中毒には拮抗薬としてアトロピン系のアルカロイドを投与して救命したケースがある(出典を求む)。