京阪600系電車 (2代)

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
Wikipedia-logo.pngウィキペディアの生真面目ユーザーたちが京阪600系電車 (2代)の項目をおカタく解説しています。

京阪600系電車 (2代)(けいはん600けいでんしゃ)とは、かつて在籍した京阪電気鉄道の電車。1300系1700系と同様、本線昇圧時に廃車となった、本線系統最後の吊り掛け駆動方式の車両であった。

概要[編集]

Wikipediaからの転載はせずM72970/謎の旧型国電もどき (トーク)が描いた。

高度経済成長期の当時、京阪では1959年から高性能通勤車2000系24両を投入し、1961年以降も増備計画が立てられていたが、資金繰りが難航し、増備もままならない状態となった。

そこで同時期に更新対象となっていた初代600型や初代700型から機器を流用した本系列が1961年に登場した。

構造[編集]

1957年に登場した1650型の基本設計をもとに、不要な梁の省略等を徹底した形態の両開き1.2m幅ドアを片側に3箇所備える18m準張殻構造の車体が採用された。

前照灯は貫通路上部に白熱灯2灯を設置した。

主電動機は種車のTDK-517系主電動機を大規模改修した出力90kWのTDK-517/2Dを吊り掛け式で搭載し、歯車比は66:23=2.87である。

制御方式は種車の電動カム軸式の抵抗制御ES-155Aで改造にあたり弱め界磁制御を付加した。

ブレーキ方式は自動空気ブレーキのAMA-Rだが、後に電磁排給弁を追加し、AMA-RLとなった。

台車は、600型と680型新造車はイコライザー式のST-31の枕ばねをコイルばねに変更したST-A台車を、630型はNS84-35に同様の改造を施したNS-A台車を履く。650型は1650型の630型への改造に伴い発生したKS-15およびFS310を履く。

このようにして600型22両、650型14両、680型5両の計41両の他、1650型10両全車を前述のように630型に改造編入したので本系列は51両体制となった。

なお、NS-A台車を履く630型の歯車比は67:22=3.045として定格速度を同一にしている。

沿革[編集]

当初から幅広く運用に充当され、特に急行や一部の準急では、後発特急から逃げ切るべく、5M2Tに組み替えて複々線区間のほぼ全区間においてフルノッチで走行するという、低出力の吊り掛け駆動車としては極限に近い運転を行っていた。

編成は7両編成を基本とし、他に支線用の4両編成が用意されたが、適宜編成組み替えが行われた。

4両編成は主に本線宇治線交野線の普通列車に充当され、7両編成は本線の普通列車の他、朝ラッシュ時の区間急行や準急に充当され、さらにはダイヤが乱れた際に鳩マークを取り付けて特急に充当されたこともあった。

運用末期には1300系のT車と本系列のM車を入れ替えて運転されたこともあった。

1973年には630型の637〜640の4両が運転台を撤去されて680型の685〜689となった。

1974年に入り、京阪線の昇圧が決定すると吊り掛け車はすべて廃車されることになった。

また、高性能車のうち初代1800系2000系も昇圧不能と判断され廃車が決定した。

ここで、後に登場した700系吊り掛け駆動方式ではあったものの車体強度が十分で、冷房装置が取り付けられると判断されたため、1977年から78年にかけて44両中42両が新造名義で工事を施行され、1000系となり、2021年現在でもすべて使用されている。

しかしながら本系列は徹底した軽量構造が祟り、冷房装置を取り付けることが不可能だったため、昇圧時の廃車が決定された。

ここで、700系の昇圧工事の間、半端となる未改造の700系3両を600系の4両編成に連結した7両編成も見られ、更には昇圧工事を受けなかった700系の781と799が600系の680型に編入され、690および691となり、本系列は計53両の陣営となった。

同時に1000系に改造された700系から発生したKST-18台車がKS-15台車全数と振り替えられ、KS-15台車はメンテナンス性の悪い1700系のMD7台車の全数淘汰に用いられた。

本来ならば昇圧時に全車廃車となる本系列であったが、昇圧時の車両数が絶対的に不足することが既に判明していたので、630型の631〜636、680型の684・685、650型の656〜661の計14両の車体が初代1800系の機器と組み合わせて2代目1800系となった。なお、630型より車体強度が弱い先頭車600型は1両も改造対象とはならなかった。

それ以外の39両は1983年12月4日の昇圧を以て全車廃車となった。廃車後はしばらく留置された後690や691を含めすべて解体処分となった。これを以て吊り掛け駆動方式の車両および書類上戦前製の車両が消滅した。

1800系に改造された14両も1989年までに廃車となり、これをもって600系を出自とする車両は全廃となった。

なお、1800系の1801(元635)の先頭部は寝屋川車両工場にてカットボディとして保存されている他、本系列が装着したST-A台車が枕ばねを重ね板ばねに変更した上で高松琴平電気鉄道に譲渡されている。

関連項目[編集]

現有車両
京阪線優等列車用 8000系0番台 - 3000系II
京阪線一般車 1000系III - 2200系 - 2400系 - 2600系 - 6000系 - 7000系 - 7200系 - 9000系 - 10000系 - 13000系
鋼索線 1・2号II
大津線 600形III - 700形III - 800系II
過去の車両
京阪線優等列車用 1700系2 - 1800系I2 - 1810系→1900系2 - 3000系I→8000系30番台1
京阪線一般車 1型 - 100型1 - 200型1 - 1000型I→300型I→310型 - 1500型→500型I - 1550型→600型I - 1580型→700型I - 16型貴賓車 - 1000系II(1000型II・1100型I・1500型II・1200型I・1280型) - 250型 - 1300系 - 1650型→600系II(630型) - 600系II(600型・650型・680型) - 700系II - 1800系II - 2000系 - 5000系
鋼索線 1・2号I
大津線 1型 - 5型 - 10型 - 20型 - 30型 - 50型 - 60型(びわこ号) - 70型 - 80型I - 800型I - 260型 - 80型II - 300型II - 350型 - 500型II
1:一部車両は他社譲渡。2:後に一般車に格下げ。
関連項目
京阪グリーン