平成トレンド史

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平成トレンド史(へいせいトレンドし)とは、平成時代の文化や風潮、ファッションなどの流行の推移を指して呼ぶ言葉である。

トレンドとは、本来マーケティング経済動向分析などの分野でよく使用される言葉で、日本ではバブル景気に流行語となった。

歴史[編集]

平成時代が始まったのはバブル絶頂期の真っ只中。女性らしさをアピールするファッションやヘアメイクが全盛だった頃、男女雇用機会均等法が施行後の世代として、美容ファッションフィットネス、資格取得など「自分磨き」と呼ばれる自己投資に、お金と時間を費やす女性たちが増加し、日本独自の文化や美容意識が次々と生まれた。

当時の女性はボディコンハイレグ水着、色鮮やかなソフトスーツ、肩パットで強調したシルエットなど、アグレッシブなデザインが目立ち、髪型ではワンレングスやトサカヘアー、すだれ前髪、ソバージュなど様々なものが流行した。

また女性ファッションの台頭に伴い、メディアでは都会の理想的な恋愛や、若者たちの熱い友情を描く「トレンディドラマ」なるものがヒットする。中でも月9ドラマ『東京ラブストーリー』や『101回目のプロポーズ』が大ヒットした。それだけではなく美男美女、もしくは目立った個性が視聴者に高い好感を持たれている俳優歌手タレントが起用されることが多く、特に俳優では織田裕二吉田栄作加勢大周といった「トレンディ御三家」が、女優では浅野温子浅野ゆう子の「W(ダブル)浅野」が人気を博す。

バブル崩壊後、長く続く平成不況に突入する中、「トレンド」という言葉はファッションだけでなく、グルメや音楽シーンにまで浸透を見せる。1990年代初頭には、女性誌の特集などの後押しでイタメシブームとしてティラミスが一躍大ブームになる。その後、美容に良いとしてナタデココや、独特な食感のパンナコッタタピオカがトレンドスイーツの定番となった。

また音楽販売では8cmCDシングルが、再生メディアとしてアナログレコードから座を奪ったことで新たにCD時代を迎える事になる。更には、世間のトレンディドラマブームという事も相まって、90年代前半はドラマ主題歌挿入歌ミリオンヒットが続出、ダブルミリオンも珍しくないドラマ主題歌バブルに突入した。

平成7年には、阪神・淡路大震災地下鉄サリン事件が発生し、平成は更に暗い時代を迎える。音楽シーンでは小室ファミリーが、メディアでは木村拓哉(キムタク)や豊川悦司(トヨエツ)などが世間のトレンドとなった。

また小室ファミリーの1人、安室奈美恵のメイクやファッションを真似するアムラーがブームとなる。またルーズソックスのブームをきっかけに世間のトレンドは、女子高生に注目が集まり、厚底ブーツミニスカートトートバッグなどのいわゆる「コギャル文化」が台頭を見せた。スーパーモデルブームやカリスマ美容師の人気もあり、茶髪、細眉、小顔メイクが流行する。一方男子は、「腰パン」が制服の着こなしとして大流行。シャネラーグッチャーが闊歩する中、エアマックスをはじめスニーカーのおしゃれを楽しむ若者が激増する。また、若者の遊び場もディスコから、クラブへと人気が移行し、ギャルや学生イベントのサークルを中心に女性たちの間でパラパラブームが起こった。平成のトレンドとして代表されるのは主にこの時期が多い。

パソコン携帯電話が一般に広く普及するに伴って、インターネットによって世間では得られるトレンド情報の量が格段に増える。また、トレンド情報をいち早く発信するブロガーが注目されるようになり、ファッションアイコンも多様化を見せた。しかし、失業率の上昇や就職氷河期の影響で、手軽にトレンドを楽しめるファスト・ファッションの流行が拡大を見せる。

2000年代に入ると、歌手である浜崎あゆみが若者たちのファッションリーダーとなり、彼女の代名詞「白ギャル」がブームへ発展する。またストリートファッションはかつてない盛り上がりを見せ、ギャル系、エレガント系、裏原宿系など、トレンドファッションのピラミッドがいくつにも枝分かれし、カテゴライズ化されていった。中でも異彩を放ったのは秋葉系オタク文化の浸透であり、メイド喫茶フィギュアに代表される「萌え」などが社会現象となった。

若者メイクはナチュラルな色使いが人気で、アイシャドーはブラウン、リップはピンクベージュ。色はナチュラルながら、より女性らしさを強調する「盛りメイク」が大流行する。

平成後期、動画投稿サイト画像共有SNSなどの普及により、自撮り写真を発信する傾向が顕著になり、多くのインフルエンサーが登場。カテゴリーに囚われない多様な価値観を楽しむ傾向が広がりを見せ、当たり前のように情報を素早く得られる時代になったことで、「トレンド」という言葉は、更なる進化を遂げる。SNSでは、アルゴリズムを使ってリアルタイムに更新される「いま話題のもの」や「急上昇ワード」として、トレンドは世間を反映する上で必要不可欠なものとなった。

関連項目[編集]