山本覚馬

山本覚馬（やまもとかくま、1828年2月25日－ 1892年12月28日）は、幕末の会津藩士で砲術家。明治維新後は京都府顧問。京都府議会の初代議長となる。新島襄の後見人として同志社英学校（現同志社大学）の設立に協力した。 妹に新島襄の妻の新島八重がいる。

幼少時代

山本覚馬は、砲術家の山本権八・佐久夫妻の長男として文政11年(1828年)に米代四之丁に生まれ、幼名を義衛という。家格は中程度であったが、十人扶持で生活は苦しく、山本は自宅の菜園で野菜を作っていた。 母の佐久は賢婦人で知られていた。覚馬は4歳から唐詩選の五言絶句を暗誦するなど、幼少から才能を見せたが、武芸の稽古に力を入れた。9歳で藩校の日新館に入学する。

江戸遊学

1850年、22歳で江戸に出て、武田斐三郎や勝海舟などとともに佐久間象山の塾で学んだ。1853年、25歳で再び江戸に出たとき黒船が来航し、覚馬は欧米の軍事力に衝撃を受け、洋式兵学を学んだ。1856年、28歳で会津に戻り、藩校日新館の教授となり、蘭学所の設置と兵制改革を藩に献言し、蘭学所を開設できた。1857年、保守派への批判（洋式銃の採用を藩に進言したことが保守派に反対された）により1年間の禁足を命じられる。この頃最初の妻「うら」と結婚する。その後、禁足を解かれ、軍事取調役兼大砲頭取に昇格し、15人扶持となる。1862年、京都守護職となった藩主松平容保に従い37歳の時、京都入りした。1864年、佐久間象山をしばしば訪ね教えを請う。1866年（慶応２年）、会津藩から長崎への遊学を命ぜられた。列強の情報の探索と武器の調達が主な任務であった。

戊辰戦争にて

禁門の変では会津砲兵隊を率いて戦闘に参加し、その働きにより公用人となる。覚馬の面前で大砲が爆発して目を痛め、失明状態になる。1868年の鳥羽伏見の戦いで薩摩藩に捕らわれたが、幽閉中に1868年（明治元年）5月、野澤鶏一に口述筆記させた建白書「山本覚馬建白（通称、管見）」は、三権分立、学校、製鉄、暦法など明治国家の全体像を見据えた国家政体構想を明治政府に上申し、優れた識見と認められ、覚馬は釈放された。

明治維新

京都府知事は、覚馬の構想力を評価し、1870年、京都府顧問に迎えた。1871年、妹八重、母佐久は会津から上京する。妻のうらは離縁をもとめて会津に残った。1870年（明治３年）、覚馬は自ら「泰西国法論」を知事を始め府の官吏に特別講義をした。1871年、山本時栄を妻に迎え入籍した。京都府顧問を10年間勤めた後、覚馬は京都府会議長・商工会議所会頭などを歴任した。1872年頃から足の自由がきかなくなる。

新島の盟友

1875年、宣教師ゴードンの紹介で知り合った新島襄の計画を知り、維新後に薩摩藩から購入した旧薩摩藩邸の6000坪の敷地を学校用地として新島襄に安価で譲渡した。同志社英学校の創立に当たって、新島襄の後見人となる。1875年、新島と連名で「私学開業願」に署名して、新島の同志社英学校設立に協力した。1876年、同志社の新校舎の献堂式に出席し、新島と覚馬が演説した。新島は「山本氏の演説は短いが、しかしすばらしくふさわしいものでした。彼は肉体的には弱く無力ですが、我々の最も優れた思索家の一人として見なされています」と書いた。1877年、木戸孝允が覚馬を訪問し、懇談する。1878年、同社社女学校が開校し、母の佐久が舎監となる。1879年、京都府会議員となり、初代議長となる。1884年、同志社大学の設立発起人に名を連ねる。1890年の新島襄の死後、晩年は創立に関与した同志社英学校（現同志社大学）の臨時総長を務めた。1892年（明治25年）に自宅で亡くなった（享年64歳）。

注

参考文献