井本三夫
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井本 三夫(いもと みつお、1930年 - )は、歴史家。元茨城大学理学部教授[1]。米騒動史研究会世話人[2]。
略歴[編集]
富山県四方町(現・富山市四方)出身。1954年京都大学理学部物理学科卒業(理論物理学専攻)。1959年同大学大学院理学研究科博士課程修了(理論物理学専攻)、理学博士[3][4]。学位論文は「自立核融合系に対する基本的制限とT-Nt図表」[5]。1970年茨城大学教授。1980年より著述活動。1988年時点で富山大学講師(日本近代史、科学史、物理学)[3]。
人物[編集]
京都大学で理論物理学を専攻、湯川秀樹の門下生[1]。「唯物論哲学を学ぶような意識で大学理学部に入」り、「素粒子・宇宙進化論を専攻しつつ、民主主義科学者協会などで近代史を学」んだという[6]。茨城大学理学部教授を務めたが、「科学的認識の自然・歴史・社会への統一的適用を志して」(『北前の記憶』)大学専任を辞め、1980年より著述活動に入る[1]。同年より日本海側の調査に入り[6]、バイ船文化研究会の会誌『バイ船研究』に連載した富山湾沿岸の古老の聞き書きを、1998年に『北前の記憶』(桂書房)として刊行した[1]。
特に米騒動の研究で知られ、斉藤正美は井本について「米騒動研究の第一人者である」と評している[7]。2018年に刊行した『米騒動という大正デモクラシーの市民戦線――始まりは富山県でなかった』(現代思潮新社)では、「米騒動の始まりは富山県」「主婦の哀願運動だった」「暴力的なものではなかった」という通説を覆す主張を行っている[8]。
著書[編集]
- 『いま、よみがえる米騒動――特高資料発見』田村昌夫、玉川信明共著、新興出版社、1988年
- 『北前の記憶――北洋・移民・米騒動との関係』編、桂書房、1998年
- 『図説 米騒動と民主主義の発展』監修、歴史教育者協議会編、民衆社、2004年
- 『蟹工船から見た日本近代史』新日本出版社、2010年
- 『水橋町(富山県)の米騒動』桂書房、2010年
- 『米騒動という大正デモクラシーの市民戦線――始まりは富山県でなかった』現代思潮新社、2018年
- 『米騒動・大戦後デモクラシー百周年論集Ⅰ』編、集広舎、2019年
- 『米騒動・大戦後デモクラシー百周年論集Ⅱ』編、集広舎、2019年
- 『米騒動・大戦後デモクラシー百周年論集Ⅲ 世界の食糧騒擾と日本の米騒動研究』著、集広舎、2022年
脚注[編集]
- ↑ a b c d 機関誌『水の文化』9号 北前船から北洋漁業へ ミツカン 水の文化センター
- ↑ 井本三夫「見落とされてきた労働者のたたかい」『しんぶん赤旗』2017年11月15日付
- ↑ a b 田村昌夫、玉川信明、井本三夫『いま、よみがえる米騒動――特高資料発見』新興出版社、1988年
- ↑ 井本三夫『北前の記憶――北洋・移民・米騒動との関係』桂書房、1998年
- ↑ CiNii 博士論文 - 自立核融合系に対する基本的制限とT-Nt図表
- ↑ a b 井本 三夫 現代思潮新社
- ↑ 斉藤正美「書評 井本三夫著『水橋町(富山県)の米騒動』」『歴史評論』736号、2011年8月
- ↑ 井本三夫氏『米騒動という大正デモクラシーの市民戦線 始まりは富山県でなかった』がもうすぐ刊行! 米騒動研究ブログ(2018年12月2日)