中島浩籌
中島 浩籌(なかじま ひろかず、1946年 - )は、法政大学非常勤講師、河合塾COSMO講師。YMCAオープンスペースLiby運営委員。日本社会臨床学会運営委員[1]。カウンセリングを批判的に分析している[2][3][4]。
略歴[編集]
島根県出身[5]。慶應義塾大学経済学部卒業、同大学院修士課程終了。サルトルから影響を受け、メルロ=ポンティの研究もしていたため、メルロ=ポンティ研究者のリオタールのもとで学びたいと、1972年からフランスに留学。パリ大学ヴァンセンヌ校でフーコー、ドゥルーズ、リオタールから直接哲学を学ぶ。1974年に帰国。1977年に東京都立高校の教員となったが、社会で不登校が問題化されてくる中、自身もいわば教員の「不登校」となり、1983年に退職した。約1年休んだ後、公立高校の非常勤講師となり、1985年から横浜YMCAでフリースクール(横浜YMCA高等学院[6])に関わる[7]。
1986年に『逃げだした教師の学校論』(労働経済社)を出版し、登校拒否と病気について論じた。養護学校への振り分けに使われていた心理テストや、浸透し始めていたロジャーズらのカウンセリングに疑問を持ち、1980年代初めに日本臨床心理学会に参加し始めた。その中で渡部淳の「がっこの会」(教育を考える会)を知ったこと、1985年から数年間、情緒障害児短期治療施設や児童相談所の宿泊治療を問題にする「子どもの宿泊治療に反対する会」に関わり、石川憲彦と出会ったこと、教員を退職する前に渡辺位などの不登校に関する発言を聞いたことなどにより、同書の問題意識が生まれた[7]。
その後、河合塾COSMO講師、法政大学非常勤講師、日本社会臨床学会運営委員、YMCAオープンスペースLiby運営委員などを務める[7]。
著書[編集]
単著[編集]
- 『逃げだした教師の学校論――良心的教師・その権力性』 労働経済社、1986年
- 『心を遠隔管理する社会――カウンセリング・教育におけるコントロール技法』 現代書館、2010年
共著[編集]
- 『心を商品化する社会――「心のケア」の危うさを問う』 小沢牧子共著、洋泉社新書y、2004年
分担執筆[編集]
- 『社会臨床シリーズ 第2巻 学校カウンセリングと心理テストを問う』 日本社会臨床学会編、影書房、1995年
- 『カウンセリング・幻想と現実 上巻 理論と社会』 日本社会臨床学会編、現代書館、2000年
- 『カウンセリング・幻想と現実 下巻 生活と臨床』 日本社会臨床学会編、現代書館、2000年
- 『子どもの〈心の危機〉はほんとうか?』 小沢牧子編、教育開発研究所、2002年
- 『シリーズ「社会臨床の視界」 第4巻 心理主義化する社会』 日本社会臨床学会編、現代書館、2008年
- 『国家の論理といのちの倫理――現代社会の共同幻想と聖書の読み直し』 上村静編著、新教出版社、2014年
脚注[編集]
- ↑ 心を遠隔管理する社会―カウンセリング・教育におけるコントロール技法 紀伊國屋書店
- ↑ 石川准「自己実現を支援する学校と学校カウンセリングをめぐる論点整理のために」『教育社会学研究』第68集、2001年、pp.105-123
- ↑ 園田浩之「心理学化する社会の向こう側--来るべき社会学的ケアにおける批判と臨床 (特集 ケアの社会学/社会学的ケア--相互更新としてのケアのケアの可能性)」『社会分析』38、2011年、pp.117-134
- ↑ 日本社会臨床学会 中島浩籌さんに聞く(上) 全国不登校新聞社(2013年1月21日)
- ↑ 心を商品化する社会―「心のケア」の危うさを問う 紀伊國屋書店
- ↑ libyファブリーク講座 YMCA liby
- ↑ a b c #14 中島浩籌さん 全国不登校新聞社(2017年3月6日)
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 教育相談|授業コード:L3109 法政大学
- 講師紹介 河合塾
- 運営委員 YMCAオープンスペースLiby
- 日本社会臨床学会の活動履歴・組織など 日本社会臨床学会
- 「中島浩籌」に関連する記事 FonteWEBマガジン”不登校新聞”