ローマ教皇庁
ローマ教皇庁( - きょうこうちょう)とは、バチカン市国、すなわちローマ・カトリック教会の中央政府の組織のことである。国務省をはじめとする様々な省をはじめ、事務局・評議会・裁判所・委員会などが存在し、教皇を助けて信仰関係の業務に携わる。その所在はバチカン市国の国内やローマ市内に集中している[1][2]。
概要[編集]
全面的にその時代の教皇の意思に従って活動する。長い歴史の中で機能してきたため、徹底した官僚機構が構築されており、カトリック教会組織の極めて重要な要素となっている[1]。「教皇庁」(Curia)という語は「宮廷」(Court)を意味するラテン語に由来するといわれ、その初期の教皇政府は役人が教皇から任務を委任される宮廷だったという。教皇庁の原型そのものは4世紀に既に築かれていたとされるが、現在のような形になったのは1588年に時の教皇であるシクストゥス5世が特定の分野に責任を負う聖省を発足させた時とされ、霊的分野も地上的分野も含まれ、典礼秘蹟聖省、検邪聖省などの他にも海軍や道路河川の保全を担当する省もあったという[1]。
その後、数百年を経て海軍のように不要と見なされた省は廃止されたり、新たな省が加えられたりして、現在の形が成立したという[3]。1908年にピウス10世が、1967年にパウロ6世が大改革を実施し、1988年6月28日にヨハネ・パウロ2世が発布した使徒憲章『パストル・ボヌス』(よき羊飼い)を基にして現在の教皇庁が組織されている。これは1989年3月1日に発効している[3][2]。
詳細な規則は1968年3月にパウロ6世が出した『教皇庁一般規則』で規定されており、これは拡張高いイタリア語で書かれた130条からなる規則書である。教皇庁内の職務と序列、教育・道徳・身体的資格・勤務時間・会議におけるマナーなどが細々と列記されている[3]。
ただし教皇の意思などによりこの組織の改編などを行なうことは可能である[2]。
なお、バチカンの教皇庁で働く人は高い教育を受けて高いモラルを備えたエリートと見てよく、働く人は「(バチカンの)およそ半分」であるという[2]。
組織概要[編集]
- 国務省
- 総務局
- 外務局
- 事務局
- 財務部
- 管財局(APSA)
- 教皇空位機関事務局(カメラ)
- 裁判所
- 内赦院
- 使徒座署名院最高裁判所
- ローマ控訴院
- 評議会
- 信徒評議会
- キリスト教一致推進評議会
- ユダヤ人との宗教関係委員会
- 家庭評議会
- 正義と平和協議会
- 開発援助促進評議会
- カトリック援助サービス
- 移住・移動者司牧評議会
- 医療使徒職評議会
- 注文解釈評議会
- 諸宗教評議会
- ムスリム(イスラム教徒との宗教関係委員会
- 文化評議会
- 広報評議会
- その他の機関
- 教皇官邸管理室
- 教皇典礼管理室
- ラテンアメリカ委員会(司教省に付属)
- 中央統計局(国務省に付属)
- サンピエトロ大聖堂管理局(ファッブリカ)
- ヴルガダ改訂委員会
- 宗教財務院(IOR・バチカン銀行)
- 労働事務所(ULSA)
脚注[編集]
参考文献[編集]
- マシュー・バンソン著、長崎恵子・長崎麻子訳『ローマ教皇事典』三交社、2000年。