レーダー照射
レーダー照射(レーダーしょうしゃ、英:lock on)とは、火器管制レーダー(FCレーダー)で距離や針路、速力、高度などを正確に捕捉し、自動追尾することをいう。発射ボタンを押せば、相手を撃沈できる状態にある。
概要[編集]
火器管制レーダーは一般のレーダーや警戒監視用のレーダーとは異なり、相手のより精密な位置把握ができる。実際に射撃することを前提にしているため、国際的に攻撃予告と解釈されている。 照射された側は、周波数により警報音が鳴ることにより気づく。
国際法上では、照射された側が先制攻撃に出てもおかしくないほどの事案になる[1]。
韓国海軍レーダー照射事件[編集]
2018年12月20日15時頃、日本の能登半島沖を飛行していた海上自衛隊のP-1哨戒機が、韓国海軍のクァンゲト・デワン級駆逐艦から火器管制レーダーの照射を受けたと、岩屋毅防衛大臣が発表した[2]。翌日会見を開いた防衛大臣は、韓国側の意図ははっきりと分からないが極めて危険な行為だと非難した。
なおリンクが貼られているのでコメントするが、ウィキペディア日本版は些末なことが書かれている一方、本事案に関する重要な事実を指摘しておらず、この事件を考える上では、参考にするに値しない内容と考えられる。
レーダー使用の目的[編集]
韓国国防省は北朝鮮船舶に追跡が目的で使用したと説明した[3]。日本の反応は度を越していると述べたという[4]。
しかし、日本の防衛省によれば、火器管制レーダーは広域の捜索に向いていないので北朝鮮船舶の捜索に使うことはない。海上の捜索には水上捜索レーダーを使うのが一般的であり、韓国国防省の説明は当を得ていない、とされた[5]。また、電波の周波数帯などの解析の結果、韓国側から一定時間継続して複数回レーダー照射を受けたことは事実であることも指摘した[6]。日本の読売新聞は「韓国軍の統率が乱れているのではないか」という懸念を示した[7]。
防衛省の公表した資料によれば、捜索用レーダーは周期的にレーダー波を感知するタイプであるが、火器管制用レーダーは強いレーダー波を連絡的に受信するタイプであるから、波形が全く異なるものであり、どちらかはデータで証明できるものである[8]。
実際には、韓国海軍駆逐艦「クァンゲト・デワン(広開土大王)」と海洋警察「サンボンギョ(参峰号)」は漂流船を発見し、回収中であった[9]。
防衛省による動画公開[編集]
レーダー照射を受けた際の動画がYouTubeの防衛省公式チャンネルに2018年12月28日付けでアップロードされた[10]。以下が動画内の会話の内容全文。
クルー「2隻ともに1,000ヤード間隔の間にいる。」 機長 「これより、WARSの撮影を実施する。」(WARS:韓国警備救難艦 5001参峰号) 機長 「WARS左側に小型ゴムボートと思われるもの視認。」 クルー「クァンゲト・デワンについては現在回頭中、240度まで回頭している。」 クルー「画面中央 WARSを撮影中」 クルー「まもなくアビーム(正横通過)する。アビーム スタンバイ、マーク(今)アビーム」 クルー「左舷にゴムボート2隻。その間に漁船のような1隻を確認した。」 クルー「現在左舷艦艇をアビームする。」 クルー「アビーム スタンバイ、マーク アビーム」 クルー「ヘリデッキについてはヘリ等格納されていない。」 クルー「格納庫にヘリ等はなかった。レーダー回転中」 「了解」 クルー「特異事象等はなし」 クルー「Korea South WARS ビジュアルコンタクト ポジション〇〇〇(位置)、コース300度8ノット」 機長 「ネクスト(次) クァンゲト・デワンの回頭針路240度からこのまま回り込んで、ネクスト クァンゲト・デワンの右舷を撮影していく。」 クルー「漁船まもなく左側」 ? 「了解」 クルー「さきほど撮影した、艦番号5001からサンボンギョであることを確認した。」 クルー「情報ありましたよね。」 クルー「情報は...ありますね。」 クルー「サンボンギョ...(確認作業中)」 クルー「WARS?」 クルー「違いますね」 クルー「WARSの目標情報はないですよね?」 クルー「なし」 クルー「クァンゲト・デワン(の情報)もなし?」 クルー「なし」 クルー「機長、この、やつは撮ったんですか?」 機長 「まだ撮っていない。結局全景、今、失敗しちゃったので」 クルー「あー了解」 機長 「これ撮ったあと、上昇して全景撮っていこうか。」 ? 「はい、了解」 機長 「ネクスト このままクァンゲト・デワン船尾から、あー、右舷の撮影に入っていく。」 機長 「目標は11時(の方向)3マイル、今のところ呼びかけ等はなし」 クルー「U/V (UHF/VHF)1、2、3、4。国V Vガード、Uガードモニター中(国際VHF VHF緊急周波数121.5 MHz、UHF緊急周波数243.0 MHz)」 クルー「現在、画面では左側 WARS、右側 韓国艦艇クァンゲト・デワン」 クルー「現在、画面でズームアップ艦尾撮影中」 機長 「本機、ターゲットの右舷をアビームする。」 機長 「艦番号、後で確認する。」 クルー「レーダーアンテナは回転中。ヘリの格納庫内、見える限りヘリの格納されているのを確認できない。」 クルー「まもなく...スタンバイ、マーク アビーム。971、971。」 クルー「その他特異事象なし」 クルー「艦番号571ではないかと」 ? 「あー571ですか」 機長 「了解571」 クルー「ビジュアルコンタクト〇〇〇(位置)、190度8ノット」 クルー「艦番号は971、971」 機長 「左上昇旋回、ネクスト全景の方、映していく。」 クルー「韓国の5はあんまり見ないですね」 クルー「現場の天候、風は050度15ノット、視程20キロ、雲は2CU 030 (積雲 雲量2 雲高3,000 ft)、波1 うねり1(さざ波がある程度 弱いうねり)、うねりの方向 ノース to サウス、現在飛行高度1,000フィートまで上昇中」 機長 「1,500まで上昇し全景をおさえていく。」 クルー「はい了解。1,500フィートレベルオフし全景撮影を実施する。現在画面で2隻、WARS5001、クァンゲト・デワン971、撮影している。」 機長 「はい了解」 クルー「あー、あー、出しています。FC系出している。」 機長 「はい 了解。FCコンタクト。」 クルー「FCコンタクト(火器管制レーダー探知)」 クルー「ちょっと避けたほうが良いですね。」 クルー「砲の指向等を確認(する)。」 機長 「確認せよ。」 クルー「了解」 クルー「コンティニューホールド(継続探知)」 機長 「離隔する。一旦離隔する。」 クルー「はい、コンティニューホールド」 機長 「はい 了解」 クルー「めちゃくちゃすごい音だ。(電波強度強い)」 クルー「はい TACO1がオグジュアリー(探知した電波などの音を聴くことができる装置)確認中、この音覚えておいて下さい。」 クルー「砲はこちらを向いていない。」 クルー「砲の向首は確認していない。」 機長 「はい。はい、引き続きVTR撮影中」 機長 「了解」 クルー「はい、コンティニューホールド」 クルー「FCレーダーらしき電波探知」 機長 「一応呼びかけようか」 クルー「そちらの方から出てくるのは間違いなし。うちら電波 えー」 クルー「今止まりましたね。」 機長 「今止まった。」 クルー「まだ あっ 今はダメです。今遠い。○○○(確認作業中)」 機長 「はい○○○(確認作業中)」 クルー「○○○(確認作業中)チャレンジした。」 機長 「はい」 クルー「了解、ちょっと確認しておいて下さい。IFT、できれば(確認作業中)見れたらお願いします。」 クルー「FCらしき信号をコンタクト。えーと機長○○○(確認作業中)、えーと現在進行形ではないですが『確認した』まで えーと」 機長 「一応(司令部に)言っておこうか」 クルー「確認します。」 機長 「はい。えとTACO2はSAT HOT(衛星通信通信中)ね。」 クルー「はい 了解」 クルー「3サイドで確認する。」 機長 「はい」 クルー「じゃぁえっとー TACO1でやりますね。国V 121.5」 機長 「はい 了解」 クルー「はい また(FC)探知。○○○(確認作業中)でコンタクトした旨及び今コンタクトした旨SATで一報しておく。」 機長 「はい了解。『現在離隔中』も言っておいてね。」 クルー「はい了解」 クルー「KOREAN NAVAL SHIP, KOREAN NAVAL SHIP. HULL NUMBER 971,HULL NUMBER 971. THIS IS JAPAN NAVY,THIS IS JAPAN NAVY. We observed that your FC antenna is directed to us. What is the purpose of your act? over.」 訳 「韓国海軍艦艇、韓国海軍艦艇。艦番号971、艦番号971。こちらは日本国海上自衛隊、こちらは日本国海上自衛隊。貴艦のFCアンテナが我々を指向した事を確認した。貴艦の行動の目的は何ですか?どうぞ。」 クルー「KOREAN NAVAL SHIP, KOREAN NAVAL SHIP. HULL NUMBER 971,971. This is JAPAN NAVY. We observed that your FC antenna is directed to us. What is the purpose of your act? 」 クルー「現在後尾5マイル」 クルー「ネクスト国Vは156.8(国際VHF 156.8 MHz)でいきます。」 機長 「はい」 クルー「KOREAN SOUTH NAVAL SHIP, KOREAN SOUTH NAVAL SHIP. THIS IS JAPAN NAVY,THIS IS JAPAN NAVY. KOREAN SOUTH NAVAL SHIP, HULL NUMBER 971, THIS IS JAPAN NAVY, We observed that your FC antenna is directed to us. What is the purpose of your act? over.」 訳 「韓国海軍艦艇、韓国海軍艦艇。こちらは日本国海上自衛隊、こちらは日本国海上自衛隊。韓国海軍艦艇、艦番号971、こちらは日本国海上自衛隊。貴艦のFCアンテナが我々を指向した事を確認した。貴艦の行動の目的は何ですか?どうぞ。」 クルー「KOREAN SOUTH NAVAL SHIP, KOREAN SOUTH NAVAL SHIP. HULL NUMBER 971,971,THIS IS JAPAN NAVY, We observed that your FC antenna is directed to us. What is the purpose of your act? over.」 クルー「はい○○○(確認作業中)」 機長「はい 了解」 機長「はい 了解」 クルー「間違いなく向こう(韓国艦艇)のFC系です。」 クルー「はい」 機長 「えーと記録がとれているかどうかちょっと確認して下さい。」 クルー「はい。一応○○○(確認作業中)は終了。あと、○○○(確認作業中)データはとれています。」 機長 「はい了解。 U/Vコパイ、U/V2をさぁ えーっとUガードに換えてくれる。」 クルー「はい了解です。」 クルー「機長Uガード(UHF緊急用周波数 243.0 MHz)でまだ交話やってないのでやります。」 クルー「機長 IFT」 機長 「はい 送話」 クルー「とれています。」 機長 「あー了解」 機長「はい了解 ありがとうございます。」 クルー「TACO1再度呼びかける。」 クルー「U/Vセット」 クルー「KOREAN SOUTH NAVAL SHIP, KOREAN SOUTH NAVAL SHIP. THIS IS JAPAN NAVY, KOREAN SOUTH NAVAL SHIP, HULL NUMBER 971, THIS IS JAPAN NAVY,We observed that your FC antenna is directed to us. What is the purpose of your act? 」 クルー「KOREAN SOUTH NAVAL SHIP, HULL NUMBER 971,971, THIS IS JAPAN NAVY, We observed that your FC antenna is directed to us. What is the purpose of your act? over.」
岩屋防衛大臣は、隊員にとって不名誉な論評もあること、日本が国際法規、国際取り決めに従っていることを証明するためであった、と公開した理由を語る。
防衛省の映像公開に関して、韓国国防省の崔賢洙報道官は深い憂慮と遺憾を表明する談話を発表した。 この動画は話題になったが、同時に「THIS IS JAPAN NAVY」(訳: こちらは日本海軍、こちらは日本の自衛隊)という呼びかけは話題になった。
また映像から、韓国駆逐艦は韓国軍であることを示す「国旗」も「海軍旗」も表示していないことが明らかになった。国連条約によれば、軍船は所属国家を示す「海軍旗」または「国旗」を掲げることとされている。さらに航行領域は日本の能登半島沖(日本EEZ内)であった。
なお元航空幕僚長の田母神俊雄は韓国海軍の実力では日本の自衛隊と戦うだけの実力がないことは韓国側もよく理解していると語った[11]。 さらに、田母神は火器管制レーダーの電波照射ではミサイルを誤って発射しないよう、二重三重の安全装置がかけられているとするから、直ちに危険といえないのではないかとした。
攻撃予告ともとれる事案であり、自衛隊側は意図を韓国側に問い合わせるものの、回答はなかった[12]。
フェイク画像の流布[編集]
インターネット上では自衛隊が韓国海軍を威嚇しているように見せるコラージュ画像が出回り、フェイクデマが広がるという動きが出見られた[13]が、この画像の流布は大きな広がりを持っていない。
韓国国防省の反応[編集]
これについて、日本の哨戒機からの問いかけに応答しなかった理由を、日本側の英語の発音が悪かった、と弁明した[14]。
2019年1月2日、韓国国防省は日本の海上自衛隊哨戒機が韓国駆逐艦に威嚇的な低空飛行したとして、謝罪を求める声明を公表した[15]。そこでは駆逐艦はレーザー照射していないとして、全面否認の姿勢に転じた。日本の佐藤正久外務副大臣は、哨戒機は韓国駆逐艦から水平に約500メートル離隔し、高度も150メートルを維持しており、危険な行為ではないと反論した[16]。
韓国国防省による動画公開[編集]
2019年1月4日、韓国国防省は日本の主張への反論と日本への要求を盛り込んだ4分26秒の韓国語の映像を公開した。公開の目的を正確な事実関係を知らせる目的としている。その内容は、(1)人道主義的救助作戦に対する妨害行為を日本は謝罪し事実の歪曲を直ちに中断せよ、(2)人道的救助作戦を妨害する深刻な威嚇行為をした、(3)レーダー電波を探知した後にも「広開土大王」の周囲を低空飛行し、回避もしなかったと指摘する。しかし、この動画には日本側が公表した映像の複写が含まれる(著作権法違反)うえ、韓国海軍艦艇による現場撮影映像は含まれていなかった[17]。日本のP1哨戒機は小さく見えるだけで、脅威に感じるような低空飛行映像はふくまれていなかった[18]。
日本の自衛隊元幹部からは、(1)論点のすり替えである、(2)説得力のある材料がなく、自らは墓穴を掘った、(3)P1の高度は映像から1000から2000フィートの間である、(4)P1哨戒機は旋回飛行をしていたが1000フィート以上離れているので脅威ではない、と指摘した[19]。
この動画のサムネイル画像は自衛隊機が広開土大王に向かって低空飛行しているかのような印象を与えるものであったが、このサムネイルに用いられた機体の画像は海上自衛隊がウェブ上で公開しているものを加工して使用しているものと見られ、その機体番号等を消した上で「低空飛行」を印象づけるために機首を下に向けたり、合成写真とわかりにくくするために色合いを変えるなどの印象操作が行われているとの指摘がなされた。国防ジャーナリストの小笠原理恵は、P-1哨戒機の画像は海自のHP、広開土大王の画像は韓国海軍のHPで公開されていたもので、広開土大王の画像については、乗組員が半袖の制服を着用していたことから、夏に撮影されたものではないかと述べている[20][21]。後に韓国政府もサムネイル画像は編集したものであることを認めている[22]。
不自然な点[編集]
レーダー照射に関連して不自然な点が多数指摘されている[23][24]。
- 北朝鮮の遭難した漁船を韓国の艦船が救助していたとしているが、日本海の真ん中で救難信号も出ていない北朝鮮船を偶然見つけたというのは不自然。
- 日本のEEZ内で救助するのであれば通常日本側にも通報しているはずだが何の連絡も無い。
- 北朝鮮船には通信用のアンテナ等の装備があり工作船に酷似している。
- 頻繁に遭難している北朝鮮の木造漁船の救助に大統領直属の海軍の駆逐艦や海洋警察庁の大型警備艇が2隻も出動するのは不自然。また、現場で北朝鮮船の韓国海軍の艦船が前方を塞ぎ、韓国の小型船が、北朝鮮船の前後を航行している。救助している様子はなく、この配置は拿捕や撃沈させる際のものである。
- 日本の哨戒機から問い合わせに全く反応していない。
- この事案について日本の抗議に対し韓国の説明が二転三転し、また頑なにレーダー照射を認めないばかりか日本の通常の警備飛行に対し謝罪を要求している。
これらのことから、フジテレビのニュース番組「直撃LIVE グッディ!」は北朝鮮の重要人物が日本側へ脱北しようとしたところを情報を掴んだ韓国に拿捕され、その作業中に日本の防衛省の哨戒機が来たため、追い払おうとレーダー照射を実行したのではないかと推測している[25]。
第三国の反応[編集]
第3国の関係者の証言として次のものがある。イギリスのロンドン大学キングス・カレッジ戦争研究学部の講師アレッシオ・パタラーノ博士は、自身のTwitterで自衛隊P1哨戒機の走行について、脅威となるものではなかったと2018年12月28日に指摘した[26]。同時に最も問題となる点は、自衛隊機からの問いかけに応答しなかったことだと述べた[26]。
防衛省の映像公開により韓国側の主張である、海上自衛隊P-1哨戒機が高度150m以上、距離500以上を保っており、挑発的な低空飛行を行った、との韓国国防省の主張は事実でなかったことが客観的な証拠により、判明したとニューヨークタイムズは報道する[27]。
未確認情報ではあるが、レーダー照射は米軍なら敵対行為として即座に相手を撃沈してもおかしくないと言われる[1]。
防衛省の最終見解[編集]
2019年1月21日、防衛相はレーダー照射に関する最終見解を公表した。その中でこれ以上協議を継続しても真実の究明には至らないと判断し、実務者協議は打ち切りにする方針を述べている。同時にレーダー波を音に変換したデータも公表し、捜索レーダー音は「ビッ、ビッ」と断続的であり、「ビーー」という音が継続する火器管制レーダーとの違いを説明している。また共同で検証する提案を韓国に行ったが、受け入れられなかったことを明らかにした。さらに韓国駆逐艦の活動を妨害するような飛行は行っておらず、韓国の主張は客観的根拠に基づいていない説得力を欠くものと指摘している。さらに当日は通信環境は極めて良好であり、明瞭な受信ができていなかったとは考えられないと述べている[28]。
その他の見解[編集]
その他に様々な意見がある。
- (1)韓国軍兵士の反乱説。韓国軍の統率力にほころびが見えてきているという説である[29]。
- (2)瀬取り説。 韓国海軍が北朝鮮に「瀬取り」の便宜を図った事が見つかったためレーダー照射したという説がある[30]。
中国海軍レーダー照射事件[編集]
2013年1月30日午前10時頃、東シナ海で中国海軍所属のフリゲート艦「ジャンウェイ」が約3キロの距離にあった海上自衛隊第7護衛隊「ゆうだち」へ火器管制レーダー(射撃管制用レーダー)を照射した[31]。中国共産党中央の指示によるものであったと報道されている[32]。首相官邸から事実関係が公表されている[33]。
2013年(平成25年)2月5日の防衛大臣記者会見によれば、2013年1月30日(水曜日)午前10時頃、東シナ海において、中国海軍ジャンウェイⅡ級フリゲート1隻から、海上自衛隊の護衛艦「ゆうだち」に対して、火器管制レーダーのようなものの照射があり、データをももち帰り精査したところ、射撃用のレーダーと確認された。さらに1月19日(土曜日)午後5時頃、東シナ海において、中国海軍ジャンカイⅠ級フリゲート艦、これから海上自衛隊護衛艦「おおなみ」搭載のヘリコプターに対して、火器管制レーダーの照射が疑われる事案が発生した。な一歩間違うと大変危険な状況に陥る、と日本では認識されている[34]。両艦の距離はわずか約3キロと報道されている[35]。
中国側は8日、外務省と国防省が通常の艦載レーダーであり、日本の主張は「でっち上げ」「中国の顔に泥を塗るもの」「小細工」などと否定した[36]。
2013年(平成25年)2月7日、第183回国会参議院において、大野元裕議員が「日本の安全を脅かす中国海軍による火器管制レーダー照射に関する質問主意書」を提出し、(1)日本の領海内において火器管制レーダー照射を第三国の公船より受けた場合、同公船は無害通行中と解釈されるのか。また、それに対応する措置手順、あるいは部隊運用規定はあるか、(2)火器管制レーダー照射事件に関連し、事案の発生した具体的時間等について質問した。政府答弁は内閣総理大臣安倍晋三名で同年2月19日に行われ、(1)他国の軍艦及び非商業的目的のために運航するその他の政府船舶が我が国の領海を航行する際に火器管制レーダーの照射を行った場合、無害通航に当たらないと考えられること、(2)海上自衛隊の艦艇搭載ヘリコプターが中国海軍のジャンカイⅠ級フリゲート一隻から火器管制レーダーの照射を受けた疑いのある事案の発生時刻は2013年1月19日午後5時頃、同年同月30日に海上自衛隊の護衛艦が中国海軍のジャンウェイⅡ級フリゲート一隻から火器管制レーダーを照射された事案の発生した時刻は、午前10時頃と答弁した[37]。
脚注[編集]
- ↑ a b “「米軍なら即座に撃沈」 レーダー照射、日韓関係さらに冷え込み”. 産経ニュース (2018年12月21日). 2018年12月30日確認。
- ↑ Japan Rebukes South Korea For Weapons Radar Lock On War PlaneChannels Television、2018年12月21日
- ↑ 遭難の北朝鮮船舶捜索でレーダー使用と説明佐賀新聞、2018年12月21日
- ↑ 漁船捜索でレーダー照射時事通信、2018年12月22日
- ↑ 韓国の「火器管制レーダー」使用“不適当”TBS News、2018年12月22日
- ↑ レーダー照射、防衛省が再反論 日本経済新聞、2018年12月25日
- ↑ “レーダー照射 韓国は日本の疑念に応えよ”. 社説 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) (2018年12月25日). 2018年12月30日確認。
- ↑ レーダーの種類と特徴防衛省,平成30年12月
- ↑ 防衛省が韓国駆逐艦レーダー照射事件の動画を公開
- ↑ “韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について”. 防衛省ホームページ (2018年12月28日). 2018年12月30日確認。
- ↑ 田母神俊雄氏がレーダー照射問題に言及「韓国軍の実力では戦えない」Ironna、2018年12月29日
- ↑ レーダー照射映像を公開朝日新聞、2018年12月28日
- ↑ レーダー照射、コラ画像に釣られて韓国を擁護する人たちnetgeek、2019年1月1日
- ↑ 「日本乗組員の英語の発音が悪くて」…韓国が哨戒機映像に反論Livedoor、2018年12月29日
- ↑ 韓国国防省が日本に謝罪要求産経新聞、2019年1月2日
- ↑ 佐藤外務副大臣「危険行為ではない」産経新聞、2019年1月2日
- ↑ レーダー問題、韓国が反論動画公開朝日新聞、2019年1月4日
- ↑ 韓国、反論の映像を公開 国防省YouTube、2019年1月3日
- ↑ 自衛隊幹部「論点する替え」産経新聞、2019年1月4日
- ↑ 小笠原理恵 (2019年1月26日). “韓国軍レーダー照射事件、日韓の“証拠動画”から見えてきたものとは?”. 日刊SPA!. 2019年1月26日確認。
- ↑ 篠原修司 (2019年1月5日). “韓国レーダー照射問題、反論動画サムネイルに「自衛隊機の低空飛行」見せかける加工” (日本語). Yahoo!ニュース 個人. 2019年1月29日確認。
- ↑ “反論動画、閲覧200万回突破=計8カ国語公開へ―韓国” (日本語). 時事通信. 2019年1月6日確認。
- ↑ “レーダー照射“衝撃事実”!? 韓国救助漁船は「北工作船」か 日米情報当局分析…SOSなぜ韓国だけ察知した?” (日本語). zakzak. 2019年1月23日確認。
- ↑ “「火器管制レーダー照射事件」漁船に偽装した『北朝鮮の工作船』との密秘疑惑も浮上”. Global News Asia. 2019年1月23日確認。
- ↑ 1月22日 フジテレビのニュース番組「直撃LIVE グッディ」において
- ↑ a b Alessio PatalanoTwitter,Alessio Patalano,、2019年1月4日参照
- ↑ Japan Shows Video of Alleged Radar Lock-On by SKorea WarshipNew York Times、2018年12月28日
- ↑ 韓国レーダー照射事案に関する最終見解について防衛省、2019年1月21日
- ↑ 射撃レーダー照射は韓国軍兵士による“反乱”
- ↑ “米国警備艦が北朝鮮の「瀬取り」監視で異例の韓国入り 韓国への警告の意図も?”. ニューズウィーク日本版 (2019年4月2日). 2019年4月5日確認。
- ↑ 中国艦船、海自艦船にレーダー照射日本経済新聞、2013年2月5日
- ↑ 海自護衛艦へのレーダー照射、中国共産党が指示産経新聞、2013年4月24日
- ↑ 中国海軍艦艇による火器管制レーダーの照射事案官邸、2016年1月15日
- ↑ 大臣臨時会見概要防衛省、平成25年2月5日
- ↑ レーダー照射「もし発砲されたら間に合わない」と元司令官AERA、2013年2月11日
- ↑ 小野寺防衛相「照射の証拠映像、写真ある」J-Castニュース、2013年2月9日
- ↑ 第183回国会(常会)質問主意書及び答弁書