マスキュリズム
マスキュリズム(英: masculism)とは、男性差別の撤廃を目指す思想である。マスキュリズムの賛同者のことをマスキュリストという。
概要[編集]
マスキュリズムという概念はワレン・ファレルによって提唱された。
主な主張は次のようなものである。マスキュリズムは男性差別全般を撤廃しようとする立場であるので、詳しくは男性差別の項を参照。
- 軍隊、警察、消防などの危険を伴う仕事を男性のみに押しつけてはならない。
- 自殺者やホームレスは男性に多く、こうした社会的弱者は男性だというだけの理由で軽視されがちであるが、精神的・経済的なケアが必要である。
- 就職差別や女性のみの年金など、制度上の女性優遇は撤廃されなければならない。[1]
- ドメスティックバイオレンス(家庭内暴力)の被害者は男性も女性もほとんど同数であるのに、DVシェルターはほぼ女性用のものしかない。暴力を受けた男性への保護があっても当然である。
- 離婚した場合、親権は多くの場合問答無用で妻の側に与えられる。これは単独親権という制度が原因であり、共同親権制度の導入が必要である。
補足・詳細[編集]
現在では消防活動は男性の仕事のように考えられているが、かつてのフランスのパリでは、火災消火において娼婦が活躍したという。
マスキュリズムに対する悪意のある誤解[編集]
本来、人間は「ヒューマン・ビーイング」であるため、マスキュリズムもヒューマニズムの下位概念でしかなく、差別の対義語でしかない。したがって、基本的にはマイノリティ差別や階層主義を肯定するものでもなければ、パターナリズムを容認するものでもない。
マスキュリズムの主張はいずれも、「女性と同様の権利が男性には認められていない」という事実を指摘し、「男性にも女性と同様の権利を認めるべきである」と主張するものである。それは女性の権利の制限とは似ても似つかないものである。それにもかかわらず、「マスキュリズムは女性の権利を否定するものである」かのような悪意のある主張がなされている。ウィキペディアにもそのような悪意のある嘘が書かれたまま放置されており、かえって男性差別の深刻さを反映している。
また、こうした男性の権利は古くから侵害されがちなものであった。そのような権利の侵害に反対するのがマスキュリズムであり、決して「昔の男性が優位だった時代に戻そう」などという主張ではない。そもそもそのような時代は存在せず、かつては男性女性それぞれに別の種類の抑圧があったのである。たとえばかつては女性には参政権等の権利がなかったが、男性には兵役等の義務と引き換えに参政権が与えられた。現在では参政権等は平等になったが男性の負担は残ったままである。マスキュリズムは「このような男性の負担を解消して性別によらず平等に負担を負うべきである」と主張しているのであり、参政権などを含めた女性の権利を制限することを主張しているのではない。