ヘボン式ローマ字

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

ヘボン式ローマ字(へぼんしきろーまじ)は、日本語のローマ字表記の1種である。アメリカ人が作った表記なので、英語的な読み方、フォニックスの感覚で、5母音しか無い日本語にも合う様に作られた表記法である。英語的な読み方、フォニックス的な読み方の表記により近いローマ字綴りである。他の表記と比べて、英語がネイティブの人が読んで発音しやすい。英語ではHepburn romanization。日本政府がパスポート、多くの国際交流の場で使用し、公的な身分証明書で使われる表記法である。実際に町などで、地名や人名を表すときに使われている。中学校英語の授業で習うローマ字表記

概要[編集]

アメリカ人宣教医ジェームス・カーティス・ヘボンが1886年(明治19)発行の和英辞典『和英語林集成』第三版の記述法[1]の日本語表記法として用いられた表記法である。仮名とローマ字を一対一で対応させた最初の方式であった。道路標識用、駅名標用のヘボン式もある。

ヘボン式ローマ字では、アルファベット26文字のうち、L・Q・V・Xの4字を除いた22文字を使用する。

パスポートの氏名の表記[編集]

パスポートに記載する氏名は、戸籍に記載されている氏名をヘボン式ローマ字によって表記することとされている[2]旅券法施行規則第5条4に「第二項の氏名及び前項の規定による呼称はヘボン式ローマ字によって旅券面に表記する」と規定されている。

例外的に異なる表音又は表記を希望する場合は、今後表記を変更しない旨を誓約し、「非ヘボン式ローマ字氏名表記等申出書」を提出する。ヘボン式を採用する理由を外務省では、「パスポートが外国において自国民である旅券名義人の身分を明らかにし、当該名義人の通行への適宜並びに事故等に遭遇した場合の保護及び援助を各国政府に要請する文書であることを踏まえ、その氏名の表音が国際的に最も広く通用する英語を母国語とする人々が発音するときに最も日本語の発音に近い表記であるべきとの観点から、従来よりヘボン式を採用している」と説明している[3]

表記法[編集]

  • ヘボン式ローマ字のルール[4]
    • 「し」は「SHI」、「ち」は「CHI」、「つ」は「TSU」で表す。
    • 「じ」「ぢ」は「JI」で表す。
    • 「づ」は「ZU」で表す。
    • 「ふ」は「FU」で表す。
    • 「ゐ」は「WI」、「ゑ(ヱ)」は「WE」で表す。
    • 「WU」は「う」で表す。
    • 「を」は「O」で表す。
    • 「しゃ」は「SHA」で表す。
    • 「ちゃ」は「CHA」で表す。
    • 「ん」は「N」で表す。
    • 「B」「M」「P」の直前の「ん」は「M」で表す。
    • 促音による「ち」の子音字は「TCH」で表す。もし「CCH」だと、フォニックス的では「CCH=クチ」と読まれ、促音にならないので要注意。
    • 長母音は通常母音字の上にマクロンを置いて表す。

使用例[編集]

Wikipedia[編集]

ポルトガル語スペイン語フランス語英語ルクセンブルク語ドイツ語Wikipediaでは、ヘボン式ローマ字が公式の日本語のローマ字表記となっている。ただしチェコ語Wikipediaでは、チェコ語の綴りと発音の関係をベースに作られたチェコ式ローマ字を用いている。

参考文献・注釈[編集]

  1. 和英語林集成明治学院大学、2006年3月22日
  2. ヘボン式ローマ字綴方表外務省
  3. ヘボン式とは?(パスポートはなぜヘボン式を採用しているのか?)大阪狭山市役所
  4. ヘボン式ローマ字神奈川県パスポートセンター,2019年 5月24日

関連項目[編集]