プレートテクトニクス
プレート・テクトニクス(英: plate tectonics)は、地球上の7つの大きなプレートの運動とより小さい多数のリソスフェアを記述する科学理論である[注 1]。訳語は「造構運動論」である。
概要[編集]
プレート・テクトニクスは約30億年前から約35億年前から始まっている。プレート・テクトニクスモデルは大陸移動を説明するために20世紀初頭に考え出されたもので、1950年代から1960年代にかけて地球科学者は理論を受け入れた。地球型惑星の中で、プレート・テクトニクスがあるのは、地球だけである。プレートがベルトコンベアのように移動し、境界[注 2]ではプレート同士の押し合いが発生する場所がある。海嶺では、プレートが作られ両側に広がっていく。海溝では地球内部へプレートが沈み込む。
プレート・テクトニクスの基礎概念[編集]
プレート・テクトニクスの基礎概念は次の通りである[1]。
- 地球の内部は粘性が大きい(固い)リソスフェアと粘性が小さい(柔らかい)アセノスフェアと呼ぶ層に分かれている。すなわち地球内部の流動性に垂直方向の差がある。
- リソスフェアは地殻とマントル最上部で、水平方向の広がりを持ち、何枚かに分かれるプレートで構成されている。
- プレートは互いに運動している。
- プレートの境界では造構運動が起こる。
地球内部の流動性に垂直方向の差が生じる原因は、地球内部の温度分布に起因する。地球内部のマントルの熱は「レーリーベルナール対流」の対流により地球表面に運ばれる。海洋プレートは地球内部の上昇流により海洋プレートが生成され、地球表面を移動しながら冷えて熱を逃がし、下降流となって地球内部に戻る。これに対して、大陸プレートはそのまま取り残される。「なぜプレートは移動するか?」の答えは、地球内部の熱を効率よく逃がすために、対流が発生するためである。熱伝導より、対流の方が10倍効率よく熱を逃がすことができる。
これに対して、プレートの移動は海嶺とマントルの密度変化から、沈み込み帯では冷たく密度の高い地殻がマントル内に引き寄せられると考える理論がある。これは地球内部のマントル対流は「レーリーベルナール対流」では説明できない。
プレート運動と災害[編集]
プレートには薄めの海洋プレートと厚めの大陸プレートがある。プレート境界部に沿ってプレートが他のプレートの下に潜り込み、移動すると、下のプレートはマントルまで達する。地殻が失われても、新しい地殻が形成されるのでリソスフェアは全体として保たれる。プレート・テクトニクスは大陸の成り立ちを説明するだけでなく地震のメカニズム、火山、山脈の形成(→造山活動)など地球上のさまざまな変化を説明できる。
沿革[編集]
1915年、アルフレート・ロタール・ウェゲナーは大西洋両側の大陸の地形と地質の類似性から「大陸移動説」を提唱した。欧米において大陸移動説は素人のたわごとと非難され、大多数の地球科学者に認められなかった。
1962年、ハリー・ハモンド・ヘスは「海洋底拡大説」を発表した。これはマントル対流が上昇することにより、大西洋を二分する幅広い中央海嶺の成因を説明できるとしたもので、1928年にウェゲナー派の地質学者だったアーサー・ホームズが提唱した「地球熱対流発生説」に拠るものである。
1955年、メーソンとラッフにより、ファン・デ・フーカ海嶺の磁化強度測定が行われ、海底の地磁気が測定され、#地磁気の逆転が実証された[2]。これが決定打となって海洋底拡大とプレート・テクトニクスの根拠となった。
脚注[編集]
- 注
- 出典