ファゴット
ファゴットとは、木管楽器の一つで、ダブルリードの気鳴楽器。英語ではbassoon(バスーン)。ファゴットはイタリア語読みの名称。また、MiG15戦闘機の愛称でもある。本稿では前者について解説する。ダブルリードは、植物のアシの茎を削って作る。
概要[編集]
管は木製の長い管を折り曲げられた形状をなし、長い筒型の楽器で、低音~中低音を持つ楽器。木管楽器セクションの最低音域の担当と、メロディーライン両方担当する。チェロとともにオーケストラのバス〜バリトンの音域受け持ち、低音域を力強く支える役割を果たし、しばしば旋律の担当に参加して、彩りを添える。部が長いため,斜めに吊皮で体にかけて持つ。
ファゴットはイタリア語で「薪束」の意味で、木製の長い管を折り曲げて2本の管にして束にした構造になっている。管の長さは約250cmある。管の本体であるジョイント部には、ダブルジョイント、テナージョイント、バスジョイントがある。管の入口、息の吹き口であるボーカルは、リードと本体をつなぐ金属製の細く曲がった管でできている。ボーカルは、テナージョイントに付けられるパーツである。ファゴットの管体は円錐形のため、ダブルジョイント部分では、左右で管の口径が異なる。上の端、管の出口であるベルは、ほとんど広がっておらず、垂直に近い長い円錐型になっている。キーは30個以上あり、右手親指は4個、左手親指は10個以上のキーを操作する。
主な材質は、管体・ボディは軽い材質のメイプル(楓)で、赤茶色をしていて、ニスの塗装が施される。キイはニッケルシルバーに銀メッキ仕上げ。音色は繊細で鋭く力強く、粗く、エッジの効いた鼻から抜けるような音で、やや薄っぺらで、低音域の効果はやや薄く、威圧的で、淡くぼやけた音色で、とぼけた暖かい響きを持つ。チューバよりは目立たない。他の低音楽器に比べて、音量はやや小さい。低音部分は、音が比較的かすれ、基音はほとんど出てないので、低音域のパワーが不足している。なぞっている楽器の音よりは目立たないが、重なった音はより豊かで、増強された響きになる。ダブルリードなので、複雑で味わいのある音がする。ファゴットの音色を「海神の声」と表現している。音域は、B♭0(A#0)(約58.27Hz)~B♭3(A#3)(約466.16Hz)の3オクターブある。重さは約5kg。音域名ではバス~テナーの範囲で、他の楽器でいうとチェロ、テナーバストロンボーン、ユーフォニアムとほぼ同じ音域に相当する。
MIDIでは、合唱の男性パートに使われる。
※440Hz=A3(ヤマハ式)としている。
ファゴットの仲間[編集]
- コントラファゴット
ファゴットより1オクターブ低い音が出せる移調楽器。コントラバスーン。コントラファゴットの由来は、「コントラバスの音域を受け持つファゴット」「コントラバスオクターブ(コントラオクターブ)のファゴット」が語源で、「コントラバスファゴット」「コントラバス・バスーン」「ダブルバスーン」とも呼ばれる。ファゴットをそのまま大型化させたもの。弦楽器では5弦コントラバス、撥弦楽器では5弦ベース、金管楽器ではB♭管チューバに相当する音域で、木管楽器の中では最大級で、特大の木管楽器で、最低音域を補い、深く重厚な響きで、重低音を受け持つ。木管楽器の中で最低音パートを担当する。音色や指使いは普通のファゴットと同じ。パイプオルガンの重低音域の巨体のように、一際深くより豊かで鋭く力強い響きを持つ。重さは約6kg、管の長さはファゴットの倍ぐらいを持ち、約6m(5m90cm)に及び、あまりにも長いため、管を4回折り曲げて互いにつながって1つの楽器にしたものであり、末端が金属製のベル(朝顔)になっている。重量があまりにも重く、持ち運びしにくいため、底にエンドピン(支柱ピン、スパイク)を取り付けて楽器を支え、床に立てて演奏する。音域は、実音はB♭-1(A#-1)(約29.14Hz)~B♭2(A#2)(約233.08Hz)の3オクターブある。コントラファゴットの最低音は、5弦コントラバスの最低音より半音低い。まさにB♭管チューバと全く同じ音域と言える。オーケストラの木管セクションでコントラバスの音域を担当する。コントラバスオクターブ(C0〜B0)と共通の音域をカバーすることと関係がある。
吹奏楽で一般的に使われる楽器 |