ドルヌィ・シレジア鉄道
ドルヌィ・シレジア鉄道(ポーランド語:Koleje Dolnośląskie、略称:KD(以下KD))とはポーランドの鉄道会社である。
概要[編集]
2007年12月28日の決議で設立されたポーランドの南西部のドルヌィ・シレジア県を中心に地域列車を運行する鉄道会社である。ドルヌィ・シレジア県が全て株を保有しており、車両を貸し出すなど運行を委託している。KDが最初に鉄道を運行したのは2008年12月14日である。
設立の背景[編集]
1989年以降のポーランドとドルヌィ・シレジアの鉄道の状況[編集]
1989年の東欧革命以降、ポーランドでは赤字路線などの不採算路線を多く廃止した。これには以下のようなことにつながった。
- 需要変化に対して老朽化したインフラの廃止
- 非効率で運用コストの高い古い気動車の廃車
- 自家用車の増加に伴う鉄道利用者の減少
鉄道利用者の減少の理由としては、本数を減らして駅での接続をなくす(ぶっ続けで長い区間走るということ)という「損失を抑える」という政策をした結果、1990年以降の非効率的なダイヤになったことがあげられる。これにより乗り継ぎが不便になったり、移動時間が長くなったり、そもそも乗り換えの列車がなかったりと利用者との需要とあっていなかった。あれ?某尺束のダイヤ改正よりも酷いのでは?
これに伴い1980年では国内の鉄道利用者は10億9300万人を上回っていたが、2001年には3億9000万人、2010年には2億9100万人にまで下がった。これは酷い
地方鉄道の資金を地方政府に移管する鉄道輸送法改正以前まで、すべての旅客鉄道輸送の資金は中央予算から出されていた。1990年代のポーランドの政治変革以降、鉄道輸送に対する予算は削減された。
歴史的にドルヌィ・シレジアでは約2300㎞の鉄道網があり、この地域のすべての都市と町を結んでいた。しかし、上記の1989年以降の全国的な傾向はこの地域を避けるものではなかったため2000年頃には、当初の長さの半分しか鉄道は残っていなかった。1988年以降下シレジアにおけるローカル接続の組織的な整備が続き、主に二次的かつ地域的な重要性のある路線の接続が対象となった。特に非電化路線が廃止された。残された現行路線の列車本数も2000年頃から削減された。
地方鉄道輸送の再編と地域化[編集]
2000年9月8日の法律によって、ポーランド国鉄(以下PKP)の再編が開始された。既存の組織部門を別会社を設立し移管することで、鉄道輸送事業を業務から分離した。PKP Przewozy Regionalne(ポルレギオ)を設立し旅客列車の大部分の地方輸送と特急列車の運行が移管された。
さらに法律が改正され、地方鉄道輸送の状況に関する責任が地方自治体に移譲された。行政改革によって設立された地方自治体は自らの事業に一環としてその地域内の地方鉄道輸送の責任が与えられた。2001年には地方当局が鉄道車両を購入し鉄道事業者に貸出できるようにもなった。その3年後の2004年1月1日には、地方自治体がその地域輸送の組織と資金を引き継いだ。
地方の鉄道を運行することを引き継ぐことで、地方当局は地域内の運行会社を自由に選べるようになった。
これを最初に実施したマゾヴィア県は2004年7月24日に独自のPKPが一部株を保有するマゾヴィア鉄道を設立し、2005年に同地域の鉄道輸送を引き継いだ。またヴィエルコポルスカ県は独自のヴィエルコポルスカ鉄道を設立することを検討し始めた。
ドルヌィ・シレジア鉄道の設立の理由[編集]
マゾヴィア鉄道の設立から1年もたたないうちに2005年秋に下シレジア県は独自の鉄道事業者の設立の正当性を検討するための事業計画の検討を委託した。
独自の鉄道会社を設立した主な理由は、ポルレギオとの競争を生むためであった。県当局によると、これはポルレギオが影響力を行使し、将来的に県へのサービス提供でより利益を得るためであった。
当初の計画では県が70%、KGHMの鉄道会社であるポル-ミエジ・トランスが30%出資する株式会社ドルヌィ・シレジア鉄道を設立することになっていた。事業目的は県が購入した鉄道車両で大都市周辺や観光客に人気のPKPが放置している路線を旅客輸送することであった。
ただし最終的にKDの唯一の保有者はドルヌィ・シレジア県のみとなった。
これにより2007年12月28日にドルヌィ・シレジア県議会の決議によりKDが設立された。
KDの運営は国家裁判所登記簿への登録後2008年2月6日に本格的に開始された。
路線[編集]
現在、KDは33の路線系統を運行している。
路線 | 区間 |
---|---|
D1 | ヴロツワフ中央駅-レグニツァ駅-ボレスワヴィエツ駅-ヴェングリニエツ駅-ルバニ・シロンスキ駅 |
D2 | ヴロツワフ中央駅-ブジェグ・ドルニ駅-ヴォウフ駅-シツィナヴァ駅-グウォグフ駅 |
D3 | ヴロツワフ中央駅-カミエニエツ・ゾンブコヴィツキ駅-クウォヅコ中央駅-クドヴァ-ズドルイ駅 |
D4 | ヴロツワフ中央駅-コビエジツェ駅-ソブトカ駅-シヴィドニツァ市駅-ビエラヴァ駅-ザホドニア駅 |
D6 | ヴロツワフ中央駅-ヴァウブジフ中央駅-イェレニア・グラ駅 |
D7 | ヴロツワフ中央駅-シエフニツェ駅-イェレチュ-ラスコヴィツェ駅 |
D8 | ヴロツワフ中央駅-トジェブニツァ駅 |
D9 | ヴロツワフ中央駅-ストジェリン駅-クウォヅコ中央駅-クウォヅコ市駅-ミエンヅィレシエ駅-リフコフ駅 |
D10 | ヴロツワフ中央駅-レグニツァ駅-ヴェングリニエツ駅-ズゴジェレツ駅-ゲルリッツ駅-ドレスデン中央駅 |
D11 | ヴロツワフ中央駅-レグニツァ駅-ルビン駅-グウォグフ駅 |
D12 | ヴロツワフ中央駅-レグニツァ駅-ルビン駅-グウォグフ駅-ノヴァ・スル駅 |
D13 | レグニツァ駅-ホイヌフ駅-ロキトキ駅-ホツィアヌフ駅 |
D14 | ヴロツワフ中央駅-レグニツァ駅-ジャガニ駅/ジャリ駅-ジエロナ・グラ中央駅 |
D18 | ゲルリッツ駅-ズゴジェレツ駅-ヴェングリニエツ駅-ジャガニ駅/ジャリ駅-ジエロナ・グラ中央駅 |
D20 | ヴロツワフ中央駅-シツィナヴァ駅-グウォグフ駅-ノヴァ・スル駅 |
D30 | ヴロツワフ中央駅-ジュミグルド駅-ラヴィチュ駅-レシュノ駅 |
D31 | ラヴィチュ駅-ボヤノヴォ駅-グラ・シロンスカ駅 |
D40 | ヴロツワフ中央駅-ヤヴォジナ・シロンスカ駅-シヴィドニツァ市駅-ヅィエジョニウフ・シロンスキ駅-ビエラヴァ・ザホドニア駅 |
D60 | ヴロツワフ中央駅-ヴァウブジフ中央駅-イェレニア・グラ駅-シュクラルスカ・ポレンバ・グルナ駅 |
D61 | シュクラルスカ・ポレンバ・グルナ駅-ハッラホフ駅-タンヴァルド駅-リベレツ駅 |
D62 | ゲルリッツ駅-ズゴジェレツ駅-グリフフ・シロンスカ駅-シヴィエラドゥフ・ズドルイ駅/イェレニア・グラ駅-カルパチュ駅 |
D64 | ヴロツワフ中央駅-ヤヴォジナ・シロンスカ駅-シヴィドニツァ市駅-イェロリナ-ズドルイ駅-グウシツァ駅 |
D66 | トルトノフ・フラヴニー・ナードラジー駅-カミエンナ・グラ駅-センヅィスワフ駅 |
D67 | ヴロツワフ中央駅-ヴァウブジフ中央駅-メジミェスティー駅-アドレシュパフ駅 |
D70 | ヴロツワフ中央駅-ヴロツワフ・ソウティソヴィツェ駅-ヴロツワフ・ヴォイヌフ駅-イェルチュ・ラスコヴィツェ駅 |
D81 | オレシニツァ・ラタイェ駅-オレシニツァ駅-シクフ駅 |
D83 | ヴロツワフ中央駅-オレシニツァ駅-ミリチュ駅-クロトシン駅 |
D90 | ヴロツワフ中央駅-カミエニエツ・ゾンブコヴィツキ駅-クウォヅコ中央駅-クドヴァ-ズドルイ駅 |
D91 | レグニツァ駅-シヴィドニツァ市駅-ヅィエジョニウフ・シロンスキ駅/ビエラヴァ・ザフ駅-クウォヅコ中央駅-クドヴァ・ズドルイ駅 |
D92 | クウォヅコ中央駅-クウォヅコ市駅-ランデク-ズドルイ駅-ストロニエ・シロンスキエ駅 |
D93 | クウォヅコ市駅-カミエニエツ・ゾンブコヴィツキ駅-ニサ駅 |
D96 | ヴァウブジフ中央駅-ノヴァ・ルダ駅-クウォヅコ中央駅-クウォヅコ・ズドルイ駅 |
D99 | ヴロツワフ中央駅-レグニツァ駅-ボレスワヴィエツ駅-ヴェングリニエツ駅-ヴァイスヴァッセル (オーベルラウジッツ)駅-コトブス中央駅-オストクロイツ駅-ベルリン-リヒテンベルク駅 |