ドクター・カオス
ドクター・カオスは、『GS美神 極楽大作戦!!』や『GSホームズ 極楽大作戦!!』など、椎名高志の漫画作品に登場するキャラクター。アニメ版の声優は千葉繁。
キャラクター概要[編集]
かつて「ヨーロッパの魔王」と評された天才錬金術師。1051歳の最年長キャラクター。登場序盤はGS(ゴーストスイーパー)の美神と敵対していたが、ブラドー島での戦い以降では共通の依頼を受けたり、利害の一致などから基本的に味方になっており、GSチームの一員となっている。錬金術の秘術によって、約1000年前に不老不死の体となり、現在まで生き続けている。作中では「不老不死の体」と言われているが、1242年時点の約300歳の頃と平成5年(GS試験時)時点の1051歳の頃で容姿が変化しており、当人も言うように正確には不老ではなく、一般の人間よりはゆっくりとだが老化し、また完全な不死でもないらしい。
通常、人間は一生のうちに脳細胞の三分の一しか活用することがない。「不老不死」となったドクター・カオスは、300歳の時点で脳を100%活用することが可能となり、数々の発見や発明を成し遂げた。しかし、その年齢が1000歳を超えた『GS美神』の時点では、脳の潜在能力をすべて使ってしまった(脳の中身がいっぱいになってしまった)ことで物覚えが悪く、新しいことを覚えると、ところてん式に昔のことを忘れてしまう状態であり、かつての天才ぶりは見る影もない。ただし忘れていた過去の記憶を何かの切っ掛けで思い出すこともあり、容量限界でところてん式に抜け落ちるだけでなく、普通の物忘れも激しい模様。
性格・人物[編集]
天才ではあるものの、多少抜けている面があり、それにより発明品にもツメが甘いものが多かったりする。マッドサイエンティストに近く、人格交換機など自身のために他人を犠牲にするような発明もあるものの、人情を取ることが多く、貧乏くじをひいてしまう存在。他のキャラクターにいいところを取られたりすることも多く、報われない立場に立つことが多い。
古代の秘術で不老不死となっているが、実際には長い時間をかけて徐々に肉体は朽ち、脳細胞も既に全て活用しきっているために物覚えが悪く、過去の知識や技能も忘れてしまっているため、ロクでもない発明品しか作れず金銭的に困窮している。現在はボロアパート「幸福荘」にマリアと住んでいるが、家賃を払うのにも四苦八苦しており、支払いを滞らせては家主の婆さん(声:鈴木れい子)にナギナタで殴られている。
知恵の神との一件や脳の老化のために多くのことを忘れているようであり、ド忘れによる災難も後を絶たない。今でこそただのボケた爺さんだが 、若いころは「ヨーロッパの魔王」の異名どおり、魔族が仲間に引き込もうとするほどの頭脳を持った天才錬金術師で美男子だった。絶頂期(1242年頃)には、ペストを蔓延させた吸血鬼ブラドーを圧倒して眠りにつかせるほどの力を持っており、「カオスフライヤー1号」等の戦闘機や銃器、現在では手に入らないほどの強力な破魔札や人工霊魂(マリア)を作ることができた。また、元始風水盤や地獄炉やアシュタロスの実験など、魔族以上の魔法科学の腕を見せている(後述)。
GSチームの中では横島とはウマが合うのか並んで連れションしたり、「小僧」と呼んで親しく振る舞い、共に赤貧生活を送っていることからバイトに誘っていたこともある。横島からは「カオスのおっさん」と呼ばれ、年齢ネタでツッコまれることが多い。
来歴[編集]
来日以前[編集]
1242年11月2日に、ブラドー伯爵(ピートの父親)と対戦し、カオスフライヤーにてそれを撃退するも、破壊されたバロンからの通信により、ゲソバルスキーの襲撃(ヌルの野望)を知り、ブラドーに止めを刺さずに引き返すこととなる。未来からやってきた美神と横島の力を借り、ヌルの野望を阻止した(この際、カオスの所持品を美神が未来へ持ち去ってしまっている)。美神達がやってくることがなかった本来の歴史では、バロンの霊魂で一度マリア(この頃の名はマリアではない)を起動させ、それによりヌルの野望を阻止したとされている[1]。
600年前にはセイレーンと闘っており、その美声で勝利している。1874年、ケンブリッジ大学でのラテン語の講義の生徒であったシャーロック・ホームズの有能さを当時相思相愛の関係だったマリアから知り、マリアに彼を捕らえさせる。自身の脳の老化から逃れ、若い体を得るために、人格交換機を使ってホームズの体を手にしたが、マリアの渡した精霊石の力により元の体へ戻ってしまった。さらに1890年には、知恵の神という邪神を呼び起こしたことでその知識を吸い取られてしまう。
来日[編集]
『GS美神 極楽大作戦!!』の頃、人格交換によって強力な霊能力を持つ肉体を奪うために、優秀なGSの多い日本に来る。空港で六道冥子と出会い、美神令子を紹介され、人格交換のターゲットとする。マリアに捕らえさせた横島との間で人格交換を成功させ、美神の事務所に侵入した。おキヌを魔法陣の書かれた瓶の中に封じ込め、美神を狙う。しかし美神は、横島が自身の入浴姿を覗きに来なかったことから、ドクター・カオスの策略を見抜き(ドクター・カオスが自分を狙っていることは、美神のことを話した後で事の重大さに気付いた冥子が美神に話したため、美神は既に知っていた)、これを撃退した。
その後、自身に恥をかかせた美神に対する復讐を誓って、木造アパートに潜伏する。マリアの充電費用などのためか、貧乏な生活をすごしており、大家に家賃の未払いで殺されかける日々を重ねることとなる。
飲んだ者とこの世との間の「縁」を断ち切ることで、その者が元々いなかったことにしてしまうという「時空消滅内服液」が入ったケーキを事務所に届け、美神を消そうとする。しかし、美神はこれを食べる前に魔法薬の混入に気づいたため、暗殺は失敗した。
その後は劇中でカオスの復讐が描かれることはなく、金策のために厄珍に発明品を売り込んだり、マリアを連れて美神達GSと共に戦う姿が描かれることとなる。
GS「助っ人」時代[編集]
ピートの依頼を受けて、復活したブラドー伯爵を倒すために、美神たちと共にイタリアのブラドー島に渡る。このとき、かつての闘いについては触れていない[2]。
平成5年、正式にGS資格を取得するためにGS試験を受験。「ヨーロッパの魔王」ということで特例で研修免除となっており、一次審査も難なくパスし、受験者数1852名の中の上位128名になるという好成績を見せる。そして一対一の個人戦である二次審査の初戦で横島と対決することとなり、「道具」として「使用」をみとめられたマリアにより、終始横島を圧倒する。しかし腕に仕込まれた銃をマリアが使用したために銃刀法違反として逮捕され、あえなく敗退してしまった。
その結果GSにはなれていないものの、その後も助っ人としてGSの仕事をすることは多く、セイレーンとの戦いや、メドーサ、アシュタロスなど魔族との戦いにも参戦。香港でのメドーサ戦でエミや冥子と共に救援として駆けつけた際には、(マリアはともかく)カオスは戦力外とみられていたものの、メドーサの作った元始風水盤を解析して逆操作するなど予想外の活躍をみせ、横島から「さすが魔界。現世とは常識や物理法則が違う」と言われた。胸に描かれた紋章から怪光線を発射することができるが、本格的な実戦で使用された例は皆無で戦闘では同伴するマリアが活躍することがほとんどであり、ボケ役であることが多い。かつて歌合戦で勝利したセイレーンにも、歌詞を忘れてしまい敗北した。しかし魔族との闘いでは魔法科学の知識を利用して、戦局を大きく変えるなどの活躍を見せた。ルシオラやパピリオの寿命の期限を解除したりと昔取った杵柄をのぞかせることもある。
本編の最終話で美神と横島の見た予知夢によれば、将来のカオスは、マリアの量産に成功し巨万の富を得るも、脳の老化でもうほとんどのことを覚えておらず、ピートが誰であるかさえもわからない状態であり、オリジナルのマリアに看護されているようである。
発明品[編集]
- カオスフライヤー
- ブラドー伯爵戦などで使用された小型戦闘機。ゲソバルスキーとの戦闘で故障してしまう。
- カオスフライヤー2
- 正確にはカオスの発明ではなく、美神が中世のカオスからガメてきた設計図を元に、同様に盗んできた魔法のほうきなどを改造したものとなっており、死津喪比女戦やデミアン戦で使用された。
- 時空消滅内服液
- 飲んだ者とこの世との間の「縁」を断ち切ることで、過去に遡りその者が生まれてこなかったことにする効能を持つ恐ろしい毒薬。中和剤で薬を薄め、呪いの効果を遅延すること(ゆっくりと時間を遡ることとなる)はできるが、解毒剤は存在しない。助かるにはそれを服用するまでの24時間内で一番印象に残ったことを、過去の世界で再現し、この世との縁を強める必要がある。
- 人格交換機
- 被験者二名の魂を交換することで、人格交換(入れ替わり)を行うための機械。不老不死の秘術によっても完全には回避できない肉体の老化を逃れ、また他人に備わった能力をその体ごと奪うために、カオスが発明したものである。機械そのものは十全に機能したものの、いつも邪魔が入り目的の体を奪うことには最終的には失敗してしまっている。
- 人格交換機バージョン1
- シャーロック・ホームズに使用。
- 人格交換機バージョン3
- 横島忠夫に使用。
- アンドロイド
- 科学技術だけでなく、魔法などの力をも利用して製作された人造人間。
著作物[編集]
- 貧乏神の退治法
- 貧乏神を退治する方法を書いた書籍。
- ゴーレムの作り方
- ゴーレムを作る方法を書いた書籍。厄珍がこれを応用し、チョコのゴーレムを作ろうとした。