ダム
ダムとは、河川をせき止めて水を貯留するための河川構造物の土木施設である。堰堤ともいう。
概要[編集]
主な建設目的は水力発電、利水、治水(洪水調節)で多くは山深い深く切り立った谷に建設される。ここでは砂防ダムや鉱滓ダムについては考慮しない。
日本の河川法ではダム本体の高さが15m以上の河川の水を貯留、取水するための施設と定義されており、高さが15mに満たない貯留・取水施設は「堰」と扱われる。
沿革[編集]
- 紀元前2900年頃:サドエルカフェラ(エジプト、高さ11m、長さ106m、石材料約10万トン)
形式[編集]
重力式コンクリートダム[編集]
名前の通りコンクリートを主材料にして建設されるダムで、ダムそのものの重さでダム湖の水圧に耐える。丈夫なコンクリートを使用して建設するため、地震や洪水に強い。
中空重力式コンクリートダム[編集]
見た目は重力式コンクリートダムに似ているが、ダムの内部が巨大な空洞になっているのが大きな特徴。ダム内部に巨大な空洞が存在するため、コンクリートの使用量を減らせるのがメリットだが、型枠が複雑で建設に大きな手間がかかる。
アーチダム[編集]
アーチ型をしているダムで、ダム湖からかかる水圧をダム本体両脇の山の岩盤で支える。丈夫な地盤がないと建設できない上、構造も複雑だがコンクリートの使用量を抑えることが出来る。
重力式アーチダム[編集]
重力式ダムとアーチダムを組み合わせたダムで、ダム湖からかかる水圧をダム本体両脇の山の岩盤とダムそのものの重さで支える。
マルチプルアーチダム[編集]
アーチを複数連ねた形式のダム。地震に弱い。
バットレスダム[編集]
止水壁をコンクリート製のバットレスで支えるダム。
アースダム[編集]
ダム本体を土で建設するダムで、最も古典的な工法。ダム湖側本体表面をコンクリートで覆うか、ダム中心部に遮水ゾーンを設けて漏水を防ぐ。材料の関係で越流に非常に弱いため、洪水時の放水口はダム本体から離れた場所に建設することが多い。
ロックフィルダム[編集]
岩石や土砂で建設されるダム。アースダム同様ダム湖側本体表面をコンクリートで覆うか、ダム中心部に遮水ゾーンを設ける。
建設[編集]
ダム湖に沈む集落の住民への補償[注 1]や建設地や水没地域の取付・付け替え道路の建設[注 2]などのために多額の費用と10年単位の長い時間がかかる。大まかな手順としては以下の通り。
- 1.予備調査
- ダム建設の計画が立ち上がると、その場所がダム建設に相応しいか予備調査を実施する。
- 2.計画調査・概略設計
- 現地に調査官を派遣し、水文や地形地質、環境、補償などを調査し、概略を設計する。
- 3.予定地の同意
- 補償内容などを予定地の自治体・住民に示し、同意を得る。
- 4.着工
- ダム本体の建設に伴う地面の掘削や川の流れを一時的に変える転流工の建設は勿論の事、付替道路、工事車両用道路、住民の移転先の造成といった周辺工事も同時進行で進められる。
- 5.試験湛水
- ダム本体内に開けられた排水トンネルを閉め切り、実際に水を貯めて問題がないかを調査する。
- 6.運用開始
関連項目[編集]
参考文献[編集]
- 室田明『河川工学』技報堂出版2001年1月31日1版10刷発行
- 山村調査グループ『村の記憶』桂書房2004年11月3日増補改訂
- 力武常次、都築嘉弘『チャート式シリーズ新物理ⅠB・Ⅱ』数研出版株式会社新制第11刷1998年4月1日発行
- 矢野隆、大石隼人『発変電工学入門』森北出版株式会社2000年9月13日第1版第4刷発行
脚注[編集]
- 注
- 出典