タイルのシェーマ
タイルのシューマは、数学者・数学教育家遠山啓(とおやま ひらく)によって提案されたシェーマ(スキーム)。
単位正方形を一個のタイルと考えるように指導する指導法の一環として考案され、いわゆる水道方式の一部とされた。
もともとは、小学生に加減算の位取りの指導に用いられて効果があったため導入されたものである。実際にタイルが教具として利用された例は寡聞にして知らない。熱心な保護者が厚紙[1]などを切って子供のために教具として呈した例はないでもない。
概要[編集]
もともとは、三桁までの自然数の加減算を指導するための教具であった。
タイル一個一個を単位正方形になぞらえ、ひとつを「一個」、「十個」を「一本」、十本(百個)を「一枚」として指導したことが始まりである。
タイルを長方形に並べたものは、数論上興味深い要素を含んでおり、小中学生のみならず高校生から大学生にも「シェーマ」(考えかた、把握の枠組み)として有効かつ強力である。さらに補助線を引いた図形は、数論上のさまざまな問題と関連するため、大学の数学科の学生でも頭を抱えるほどの難問に結びつく。
ユークリッドのアルゴリズム[編集]
ユークリッドのアルゴリズム、すなわち、いわゆる「互除法」(「ユークリッドの互除法」)などは、IT企業のプログラミング研修における課題の定番問題であるが、タイルのシェーマで考えると、
- その長方形が正方形でなければ
- その長方形から短辺に接した正方形を除く
という操作を繰返し、結果として出てきた正方形の辺長が最大公約数であるので、というのを知っていれば、while ループ一発であり、あとは「ループを組むか、再帰呼出しを使うか」くらいしか悩みどころがない。
この程度ならば小学生にも理解できるので、いっそ分数と一緒に教えてしまったらどうかと思う。
発展[編集]
小学校においては位取り・分数・小数の指導に用いることができ、あくまでシェーマであって教具ではないので 5㎜ 方眼紙[2]があれば済み、邪魔にならない。
中学・高校においてはタイルのシェーマと補助線を持いると因数分解なども理解しやすいが、「文字式とその変形」(つまり変数や方程式)についての知識がないと不自由なので、教育現場では「加減算 → 乗算 → 分数と除算 → 文字式 → 方程式」といった流れの中で、適宜指導に用いられるのが望ましい。
参考文献[編集]
脚注[編集]