スレイン・スターシーカー
スレイン・スターシーカー(新王国暦482年 - )は、小説『ロードス島戦記』の登場人物で、架空の人物。また、同名のテーブルトークRPGリプレイ(第一部)におけるプレイヤーキャラクター(PC)の一人。魔術師として主人公パーンと共に戦う。
経歴[編集]
第1巻以前[編集]
ロードス島北西部の自由都市ライデンの商人の三男として生まれたが、商売に関わることはなく家を出て、アラニアの「賢者の学院」で魔術を学び、そこで導師の資格を得る。しかし、正義感に燃えて盗賊ギルドと戦い討ち死にした親友を止められなかったことをきっかけに賢者の学院を辞め、アラニア国北部の辺境の村ザクソンへと隠遁する。この行為は結果的にバグナードの魔術師狩りを免れることにもなった。
ロードス島戦記[編集]
ザクソンでは村人たちから変わり者の扱いを受けていたが、同時に温和な性格と豊富な知識から村のご意見役として信頼もされており、また近隣の「鉄の王国」のドワーフ、ギムとは親友だった。血気にはやる村の少年、パーンをかつての親友と重ね合わせ、同じ過ちを繰り返さぬよう彼が村を出る際に彼の仲間として同行する。はじめはパーンをたしなめる役割だったが、やがて戦士として、リーダーとして成長していくパーンを認める。
英雄戦争の後、パーンとともに戦いを裏から操る「灰色の魔女」カーラとの決戦に挑み、ギムを失いながらも勝利を収める。レイリアとしての自我を取り戻した彼女にとどめを刺そうとしたパーンとディードリットを止め、自殺しようとしたレイリアを思い留まらせる。以降はパーン達と別れて彼女をターバ神殿に送り届け、レイリアの心のケアをした後、レイリアにプロポーズした。
ザクソンで夫婦生活を営み、もうけた娘に「マーファの愛娘」と謳われたレイリアの母から名を取ってニースと名づける。セシルを弟子にとり、腐敗し内乱の続くアラニア国からザクソンを独立させるための自治運動の指導者となっていたが、パーンに乞われてフレイム国に渡り、砂塵の塔や風の部族と炎の部族の戦いに関わってゆく。このころから「北の賢者」と呼ばれ、名が知られるようになる。
フレイム平定後はパーンらと共にザクソン自治運動を続けていたが、大ニースを通じてアシュラムたちの動きを知ったことにより、パーン達とともに「太守の秘宝」をめぐる戦いに身を投じる。それからもしばらくはパーンとともに旅をしていたが、その旅の途上でフレイム国王カシューの誘いを受け、旅を終えた後フレイムの宮廷魔術師となった。以後のザクソン自治運動はセシルに任せている。
義母・大ニースの死を看取り、その際に妻と娘の宿命を知ったスレインは、フレイムの宮廷魔術師としての役目(邪神戦争)を果たしたあと、フレイム軍を離れてパーンやレイリアとともにさらわれたニースのいるマーモ島に渡り、カーラとの因縁に決着をつける。この頃からウォートに代わり「大賢者」と呼ばれつつあり、いつの日かウォートの役目を引き受けるかもしれないとパーンに思われている。
新ロードス島戦記[編集]
引き続きフレイムの宮廷魔術師として内政に従事し、新たに建国されたマーモ公国でマーファ教団の司祭を勤めることを決めた娘とは別居となった。それでもまだ年若いニースにとっては心の支えであり、公国を立ち上げたばかりで味方の少なかった公王スパークにとってはありがたい存在であった。
予断を許さぬマーモ公国の情勢に目を光らせていたが、娘が破壊の女神の教団にとらわれたことを知ると、宮廷魔術師の職を辞してマーモに渡り、教団との戦いに参加する(第二次邪神戦争)。その後はスパーク王をはじめ多くの犠牲を払ったマーモ王国の宮廷魔術師を勤めつつ、異世界へと消えたニースとスパークを送還するための魔法を使い、1年の時を経て、それに成功した。
人物[編集]
知識欲が旺盛で、その知識を他人に語りたがる、魔術師としては典型的な性格。明らかに必要ない場合でも薀蓄を語ることを優先することが多い。基本的には温厚で争いを好まない性格だが、パーンと関わることで戦いに巻き込まれることも多く、彼について旅立ったときから平穏とは無縁の日々を過ごすことになる。気弱な面もあるが戦うべき時は意志の強さを見せ、また血気にはやるパーンを諌めた。
パーンの仲間として、「北の賢者」としてその名声はロードス中に知れ渡る。セシルはスレインを師とあおぐが、彼は別の魔術師に師事していたため[1]、一番弟子という肩書きはアルド・ノーバのものとなっている。
自らを「星を探す者」と称し、「スターシーカー」を名乗る。レイリアこそが「星」だと確信し、熱烈なプロポーズを行う。普段の彼からは考えられないほど必死だったらしく、最初は断っていたレイリアの心を見事に射止めた。
フレイム王国に従事してからは内政面に多大な貢献を果たし「大賢者の後継者」とまで称されるようになる。彼自身も大賢者ウォートの後を継ぎ、近い将来「もっとも深き迷宮」の監視者となることを自らに任じている。
北の賢者一門[編集]
- セシル・ファーレンス
- ザクソン自警団相談役 →アラニア王国宮廷魔術師。
- もし魔術師ではなく、剣の道に進んでいたならば、カシューやアシュラムを超える力を身につけていたと言われている。
- アルド・ノーバ
- フレイム宝物庫管理官 →マーモ公国宮廷魔術師。
- イアハート
- フレイム宝物庫管理官。
登場作品[編集]
- 小説
- カセットブック
- アニメ・OVA
- 『ロードス島戦記』 声優:田中秀幸
- 『ロードス島戦記-英雄騎士伝-』 声優:宮本充
- 『ようこそロードス島へ!』声優:井上和彦
- テーブルトークRPG
- 『RPGリプレイ ロードス島戦記I』
- 『RPGリプレイ ロードス島戦記II』 - NPCとして登場。また、同時収録のT&TリプレイにもPCとして参加
- 『RPGリプレイ ロードス島戦記III』 - NPCとして登場
- 『ロードス島RPG エキスパートルール』 - ロードス島RPG対応の能力値を掲載
- 『ソード・ワールドRPG ロードス島ワールドガイド』 - ソード・ワールドRPG対応の能力値を掲載
- コミック
脚注[編集]
- ↑ スレインと同期で親友だった魔術師・ラーズに師事していたが、彼の野心に気付いて離反した(『ロードス島戦記 カセットブック2 宿命の魔術師 』 より)。