エゾタヌキ

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エゾタヌキ
分類
動物界
脊索動物門
哺乳綱
食肉目
イヌ科
タヌキ属
ニホンタヌキ
名称
学名Nyctereutes viverrinus albus
Hornaday, W. T. , 1904
和名エゾタヌキ (蝦夷狸)
英名Hokkaido raccoon dog
Edo raccoon dog
保全状況


エゾタヌキとは、ニホンタヌキの亜種である。

形状[編集]

ホンドタヌキよりも体毛が厚くて、下毛が多く、毛が長い。

鼻長が短く、ホンドタヌキよりも咬合力が弱い?。

生態[編集]

名前の通りの北海道に分布する。奥尻島では外来種である。

野鼠や昆虫を食べ、夏季はカタツムリ、ミミズ、秋には大豆も食す。

アライグマは人家周辺に住むが、エゾタヌキは森林内部にいることが多い[1]。アライグマより昼間の活動が多い[2]

12月末から3月に冬ごもりをする。3月中旬に交尾し、5月頃に出産する。

シュルツェマダニとヤマトマダニ、ヤマトチマダニ、ミカドケナガノミ、タネガタマダニ、フタトゲチマダニとキチマダニが寄生する。前者4種はホンドタヌキにも寄生するが、後者3種が寄生するのはエゾタヌキのみである[3]

分類[編集]

エゾタヌキは、1904年にウィリアム・T・ホルナディより新種記載された[4]。模式標本は、ロンドンで飼われていたアルビノの個体であり、亜種小名の「albusアルブス」は『白い』という意味。現在、模式標本の所在は不明になっている[5]

日本のタヌキは、長らく大陸産のものと同種とされていたが、2015年に別種だと判明し、それまでホンドタヌキのシノニムとされていたエゾタヌキもニホンタヌキの亜種とされた[6]

人間との関係[編集]

エゾタヌキという和名は、岸田久吉が1924年(大正13年)に提唱した[7]

それ以前にも「シロタヌキ」という和名が黒田長禮により提唱されていたが、使われる事は余り無い。

アイヌ語では「モユㇰ」と呼ばれる。

出典[編集]

  1. 池田 透、阿部 豪、立澤 史郎「北海道野幌森林公園における外来アライグマと在来エゾタヌキの関係(1)_空間利用からみた種間関係」、『日本生態学会大会講演要旨集』第51回日本生態学会大会 釧路大会、日本生態学会、2004年7月30日doi:10.14848/esj.ESJ51.0.518.0
  2. 岡部 史恵、揚妻 直樹「アライグマとタヌキの資源利用特性の比較」、『日本生態学会大会講演要旨集』第51回日本生態学会大会 釧路大会、日本生態学会、2004年7月30日doi:10.14848/esj.ESJ51.0.293.0
  3. 池永芽衣、熊沢秀雄、谷地森秀二、加藤元海「高知県および北海道産タヌキにおける外部寄生虫と内部寄生虫」、『黒潮圏科学』第12巻第2号、高知大学大学院総合人間自然科学研究科黒潮圏総合科学専攻、2019年、 174-182頁。
  4. William T. Hornaday (1904). “A new species of raccoon dog”. Annual report of the New York Zoological Society (New York Zoological Society) 8: 71-73. 
  5. 浅原正和「1905年にニューヨークの動物園にいたあるタヌキの来歴」、『三重大学教養教育機構研究紀要』第1巻、三重大学教養教育機構、2016年3月31日、 23-28頁。
  6. Sang-In, Kim; Tatsuo, Oshida; Hang, Lee; Mi-Sook, Min; junpei, Kimura (2015). “Evolutionary and biogeographical implications of variation in skull morphology of raccoon dogs (Nyctereutes procyonoides, Mammalia: Carnivora)”. Biological Journal of the Linnean Society (Linnean Society) 116 (4): 856-872. doi:10.1111/bij.12629. https://academic.oup.com/biolinnean/article/116/4/856/2440493. 
  7. 岸田久吉哺乳動物図解農商務省農務局1924年、242-243頁。doi:10.11501/1016685