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ちくわ理論
ちくわ理論とは、日本の科学捜査研究所(科捜研)による見解を基に導き出された銃刀法の新解釈である。この理論によれば、ちくわでも科捜研特製の実包と組み合わせれば殺傷能力のある銃として検挙できることが可能とされる。
概要[編集]
2024年11月、警視庁薬物銃器対策課が銃刀法違反で栃木県在住の男性を検挙したことがこの理論の発見につながったものである。この男性は2014年に電磁力で弾丸を発射するコイルガンを製作し、その過程と実射試験の様子を動画としてインターネットに投稿していた。この際に製作したコイルガンが科捜研の鑑定により殺傷能力を持つ「銃」として認められ、拳銃の不法所持として検挙に至ったものである。
この鑑定において、科捜研は「実包に衝撃を加えれば実包単体で発射可能な実包」を装填した場合に殺傷能力があると認定しており、この鑑定結果によれば衝撃を受けて単体で発射できる実包を装填できさえすれば、しかもそのサイズは科捜研が自由に制作できるという前提に立てばパイプ状の部品を有するものはすべて、すなわち銃身が「ちくわ」でも殺傷能力があると認定されかねないということから「ちくわ理論」と名付けられたものである。
なお、被疑者とされた男性は逮捕され、拘留期限となる20日後の12月9日に処分保留で釈放、更にその一か月後の1月7日に不起訴処分となった。その後は本事件に対する解説動画を公開している。
事件の背景として、安倍晋三銃撃事件に密造銃(山上砲)が用いられたことが大きく、銃の不法所持や制作に関する厳罰化に踏み切っており、2024年には銃の作り方を詳細に解説したり、不法所持を煽るような投稿も銃刀法違反として検挙できるようになった。また、2025年からはそれまで合法であったコイルガンについても一定の威力を持つものは摘発できるようにするなど、段階的に規制を強化している。しかし、「疑わしきは被告人の利益に」を捻じ曲げてでも有罪にもっていこうとする姿勢は批判の声も多い。
疑問点[編集]
コイルガンの製作は2014年時であり、当時の銃刀法に抵触しないような加工(雷管をたたけないような樹脂ハンマー、実包の発射に耐えられないような1mm厚の薄いアクリルパイプなど)を盛り込み、かつ威力もクロスボウの6Jよりも低い4Jであった。また、2017年に家宅捜索でこのコイルガンを提出し、半年以上領置されており、それでも事件性なしとして「返却」までされている。
2024年7月の改正銃刀法には拳銃などの不法所持に関する「あおり・唆し罪」が新設されたが、本件事案はこの罪ではなく「拳銃の所持」として検挙されている。また、コイルガンに関する規定を盛り込んだ改正銃刀法の施行は2025年3月1日からであった。さらに男性が製作したコイルガンが発射した弾丸のエネルギーは改正銃刀法の規制値となる20Jをはるかに下回る4Jであったため、施行後ですら適法であった可能性が高いといわれている。施行後6ヵ月は破棄のための猶予も設けられており、施行前の段階でも警察署などでの回収を受け付けている段階であることから、この時点での逮捕は見せしめのための不当逮捕ではないかとされている。事実、マスコミ各社は「コイルガンの所持で逮捕」とあり、まるでコイルガンの所持が違法であるかのような見出しで報道していた。繰り返すようだが、コイルガンの所持は2025年3月からであり、当時は危険なものだとしても合法であったものである。
なお、一部報道機関による取材で「コイルガンではなく回転弾倉式けん銃(リボルバー)1丁の所持」という容疑で逮捕されたことが分かっているが[1]、後に不起訴になっていることからこのリボルバーの所持もでっち上げまたはこじつけである可能性は十分にある。