sinc関数は、正弦関数をその変数で割って得られる初等関数である。sinc(x)などと表記する。カーディナル・サインなどとも呼ばれる。
数学では、主に以下のような非正規化sinc関数が使われる。

デジタル信号処理などの応用分野では、主に以下のような正規化sinc関数が使われる。

両者は円周率π倍だけづれた関係にあるので性質はほとんど同じだが、
数学では微分でπが出現しないことなどが、
応用分野では整数や半整数を入れたときの値が簡単であることなどが、
理由でそれぞれが採用されている。
特にことわりのない限り、非正規化sinc関数の性質を述べる。
偶奇性[編集]
sin(x),xともに奇関数なので、sinc(x)は偶関数である。
これは、正規化sinc関数でも同様。
x→0では1に収束して、

これは定義にもなっている。
x→±∞では0になる。

商の微分より、

テイラー展開[編集]
sin(x)のテイラー展開をxで割って、

無限乗積展開[編集]
sin(x)の無限乗積展開より、

正規化sinc関数で書くと簡単になって、

sinc(x)の不定積分をSi(x)で表し、正弦積分と呼ぶ。

sinc(x)は偶関数より、x>0での定積分がわかれば、x<0でも定積分も同様とわかる。
また、sinc(x)の2乗は三角関数と同様に関数名の肩に2をつけて表す。(
)






sinc(x)の平行移動同士は直交する。(
は整数の集合、
はクロネッカーのデルタ)
