順法闘争

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順法闘争、または遵法闘争(じゅんぽうとうそう)とは労働争議の手段の一つである。

概要[編集]

順法闘争は業務に係る法令や命令など、あらゆる規則を厳守することで業務を停滞させるサボタージュの一種である。公務員ストライキなどの争議行為が法律により制限されているため[注 1]、規則を守って業務を遂行しておりサボタージュではないという建前の下で行われたものである。

なお、1956年の時点で既に順法闘争はストライキの一種であるという見解がなされている。そのため、民間の労働組合による労働争議としての順法闘争は合法であるが、公務員による順法闘争は違法であるとされている。

1973年国鉄労働組合(国労)・国鉄動力車労働組合(動労)の順法闘争に反発した乗客が国鉄上尾事件首都圏国電暴動を起こした。国鉄の労働争議により、順法闘争にネガティブなイメージを持つ人も多いが、本来は規則や法律を無視しないと業務が回らないような勤務状態からの回復を訴えるための手段でもあることに留意が必要である。

類型[編集]

労働時間(休憩時間)を厳守する
労働契約や労働基準法に定められている労働時間や休憩時間を1分単位できっちり守る事である。例えば始業時間やシフト開始前には一切の業務行為を行わず、終業時間が終わったら即座に退社し、残業や電話応対を一切行わないものである。
安全を厳守する
業務遂行において、危険と思われるものについて規則に則り行う事である。高所における装具点検や列車運行時の危険回避行動など、通常よりも余計に時間をかけて、それも頻繁に行うなどの行為がある。国鉄の順法闘争時には線路に鳥が止まっている場合に敢えて列車を停止させ安全確認を行うなどの行為をしていた。

実例[編集]

近年では2018年サントリーの子会社であるジャパンビバレッジにおいて順法闘争が行われたケースがある。ジャパンビバレッジ東京に勤務する社員が法で定められている1時間の休憩を取得し、1日の勤務を8時間で切り上げるという労働基準法に則った勤務を行った。なお、法で定める一日の労働時間の上限は原則として8時間である。また、労働時間が6時間を超え8時間以下の場合は最低でも45分以上の休憩を取らせるよう定められている。 これは同社が残業代を支払っていなかったために起きた物であり、結果として同社が管理する東京駅構内の自動販売機において品切れが続出していた。順法闘争の結果がでたのか、2020年には同社の労働環境が改善された模様である。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. 国家公務員であれば国家公務員法第98条第2項、地方公務員であれば地方公務員法第37条第1項など