空間識失調

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
Wikipedia-logo.pngウィキペディアの生真面目ユーザーたちが空間識失調の項目をおカタく解説しています。

空間識失調(くうかんしきしっちょう、バーティゴ:Vertigo)とは、航空機の操縦士が飛行中に一時的に機体の高度や姿勢を正確に把握できなくなる状態のことである。濃霧・雲中・夜間飛行で、視覚的な水平の基準となる水平線・地平線が視認できない時に起こりやすい。また飲酒や疲労が空間識失調を起こしやすくさせるという仮説もある。

空間識失調に陥ると、左右への傾き、あるいは上下の感覚さえ失われるため、正常な回復操作さえ行えず、容易に墜落に至る。操縦士であれば誰でも1度は経験がある普遍的な現象であり、まずは訓練の初期段階でも、自分の感覚よりも計器(姿勢指示器)を信じることを身体に覚え込ませ、空間識失調による墜落を防ぐことから始まる。

この空間識失調による航空事故の事例としては、フラッシュ航空604便墜落事故などが挙げられる。フラッシュ航空604便は夜間の海上飛行で水平の基準を失い空間識失調に陥り、回復が間に合わず墜落したと考えられている。中華航空006便急降下事故では雲中飛行のため空間識失調に陥ったものの、急降下によって雲底より下へと至り、水平線を基準に回復操作を行うことが出来た。日本では平成27年(2015年2月宮崎県えびの市山中に墜落した海自ヘリの事故、平成29年(2017年10月浜松市沖の航空自衛隊の救難ヘリ墜落事故、平成31年(2019年4月9日青森県沖の太平洋に墜落した空自F35A墜落事故などが挙げられる。