稲荷
稲荷とは、もっぱら稲荷神社のこと。江戸期後半には「伊勢屋・稲荷に犬の糞」と云われるくらい普及した。
祭神は厳密にいうとヒンドゥー教のシヴァ神であるが、その化身であるマハー・カーラということになっている。
概要[編集]
「稲荷」というと「赤い鳥居」と「狐」がシンボルだが、マハー・カーラは「大いなる暗黒」の意味であり、死を司るシヴァ神の化身である。
とはいえ、シヴァ神は豊穣神でもあるため、マハー・カーラは日本に渡来して大黒様になった。米俵の上に座っているのは豊穣のシンボルだからである。
そうなると眷属は白いネズミ(ダイコクネズミ。実験用のラットがそう)かアルビノの青大将ということになりそうだが、なにせ死の神なので、インドでは死体をあさるジャッカルやハゲワシが眷属である。つーても日本にはどっちもいないので、狐と鴉が眷属になっている。
お稲荷さんは米俵を模したものであり、「米がとれなかったのでごめんなさい」的に中身がおからというのは、祈願であって御奉納ではない。米が穫れたらちゃんと米で作り、神前に供えてから「お裾分け」「お福分け」として直会で共食するのが作法といえる。運動会で万国旗と昼食用の弁当が助六寿司というのは、「個食ではなく共食」が前提なので、アレルギーや食中毒対策をきっちりやれば問題がないはずである。
とはいえ元がマハー・カーラなので「機嫌を損ねると祟る」側面もあるわけで、商家では「ちゃんと祀らないと死ぬぞ」とされて信仰される。ブラック企業なんかだと堪ったもんじゃないので祀る例を知らない。
そんなわけで、電柱の根元に赤い鳥居が描いてあるのは、「ここでゲロ吐いたり立小便したりすると祟りがあるぞ」というナッジ(注意喚起)である。勤め先がブラック企業ではないかと考えたら、稲荷系のお札とかをこれ見よがしにデスクに飾っておくといい。ただし派遣先でそれをやると嫌味でしかなくなるので慎重に。
また、日本に流入して習合した経緯も違うため、稲荷にも二種類あって、大黒天と習合した神社系の稲荷とヒンドゥー教系の佛教系の稲荷があり、佛教系はインドから渡ってきた荼枳尼(だきに)天が元となっている。「荼枳尼天はかなり強烈な神様で、盛大に祟る」から気を付けるべしという教えがある。その代わり願いをかなえる力も桁違い(つーてもエビデンスはない。「金と女と幸福は、ガッつく奴から離れてゆく」のである)で、一気に昇り詰めたりする。だいたい昇り詰めて落ちぶれる人生には稲荷が関わっていると云われている。