秀丸エディタ

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秀丸エディタ(ひでまるエディタ)は、(株)サイトー企画が開発・販売しているシェアウェアテキストエディタMicrosoft Windows専用。

概要[編集]

Windows 95よりさらに前、Windows 3.1の時代から現在に至るまで開発が続けられている、Windowsテキストエディタ界隈での老舗の一角。
2021年11月のv9になってようやくWindows 2000およびWindows 9xへの対応が打ち切られた等、古い環境への対応をギリギリまで続けようとする一方、Microsoft Store版も提供するなど新環境への対応にも余念がなく、やたら幅広いサポート範囲に定評あり。
そのような開発体制はかなり大変だろうことは容易に想像できるにも関わらず、利用者のコストは税抜き\4,000(税率10%の現在は税込み\4,400)ポッキリ。未だにサブスクリプション制にも否定的の模様。

特徴[編集]

まだパソコンの動作速度が遅かった昔から高機能と軽快動作の両立を追及。その手法の一つとして「常駐モード」があり、文字通り秀丸のプロセスが最小化した状態で常に動作しており、いざテキスト編集の出番が来たら(常駐せず完全に終了している状態と比べて)素早く立ち上がるという仕組み。最近の十分高速なパソコンでは別に常駐しなくても良いかも知れない。
文字入力、コピー、貼り付けなど基本的な操作はWindowsメモ帳と同じながら、Win3.1の昔から今に至るまで、前述の軽快動作の工夫、自動折り返し表示、シンタックスハイライト、巨大ファイルの扱い等、着実な機能強化が続いている。
そして何といっても最大の特徴は秀丸マクロ(他テキストエディタで言うスクリプト)。C言語に似た構文を採っており、頻繁に行う一連の動作をマクロファイルへ記述しておき、簡単な操作で呼び出し。秀丸自身の自動制御、外部プログラム呼び出し等、テキスト編集・プログラミングに欲しい機能は概ね実現可能。
サイトー企画ホームページ内には利用者から寄せられたマクロを公開する「ライブラリ」ページが設けられており、他ユーザー作成のマクロをダウンロードして利用できるだけでなく、自分で作った自信作マクロの投稿も可能。
最近はマクロ内からJavaScriptコードを呼び出せるようになり、さらに副次的にLanguage Server Protocolを利用可能に。プログラミングツールの主役の座はVisual Studio Code等の統合開発環境に奪われがちなものの、軽快な高機能エディタとして勢いは全く衰えていない。
ソフトのサポートは一昔前さながらの「掲示板」で行われている。初級的な使用法などは常連パワーユーザーが先に回答してしまう場合も多いものの、不具合調査対応など、作者自身が対応する場面もまた多い。GitHubなど、作者・パワーユーザー・利用者が近い距離で対話するサポート形態は今でこそ珍しくないものの、有償ソフトでこのサポート形態は珍しい…珍しくない?
そんな秀丸エディタは1回買い切り税込み\4,400ポッキリ。特に学生の利用者にとって初期コストは決して安くはないが、何でもかんでもサブスクリプションの昨今、今後ライセンス形態が変わらない限り追加コストなしで延々と利用できるのはむしろ激安。

作者「秀まるお」こと斉藤秀夫さん[編集]

富士通社員だった「秀まるお」こと斉藤秀夫さんが秀丸エディタを作成。試しにシェアウェアとして売り出したところピーク時で1億円以上を売り上げ、富士通を退職しサイトー企画を設立。現在では秀丸エディタの開発作業は別の社員さんへ任せ、秀まるおさん自身は姉妹ソフトの秀丸メール等に注力しているとか。
あまり欲のない方のようで、家族と社員が食えればそれでいいみたい。スマホアプリにも興味が薄い模様。古くからのユーザーを大事にしているのかも?じゃあ最新技術に興味がないのかと言うと、後述の姉妹ソフトのように、秀丸エディタ以外のソフト開発を通して得たセキュリティなどの知見を生かしたソリューションも開拓している等、決して「過去の人」とは言えない。
秀丸エディタの一次配布元である公式サイトも、2000年代辺りの香りを未だに残している。各ソフトウェアの「改版履歴」を覗くと、一般的な丁寧語とは少々異なる、どこかフランクさを感じさせる文章で変更内容が綴られている。秀まるおさんの人柄が垣間見えるかも。

姉妹ソフト[編集]

秀丸エディタ以外にも、サイトー企画として有償・無償ソフトがいくつか公開されている。全一覧は公式サイトの「ソフトウェア」ページへ。
  • 秀丸エディタ拡張ソフト
秀丸エディタの印刷機能を拡張する「秀丸パブリッシャー」、FTPサーバーやDropbox、OneDrive上のテキストを直接編集できるようになる「Hidemarnet Explorer with FTPS」など。
  • 秀丸メール
秀丸エディタのテキスト編集機能を持たせたインターネット電子メールクライアント。秀丸マクロと同様に秀丸メールマクロ機能があり、自動メール送信、高度なメール振り分け、高度な迷惑メールフィルターを備える。秀丸エディタの正規ライセンスを持つ人は秀丸メールを無償で利用可能。
  • 秀丸ファイラーClassic
Windows Vista以降、エクスプローラーの見た目や操作感が変わってしまい悩んでいる人のために、Windows XP以前のエクスプローラーを再現したファイル操作ソフト。
  • この他にも、かつてのパソコン通信を使い倒すためのターミナルソフト「秀Term Evolution」など、老舗シェアウェア作者の歴史を感じさせるソフトから「パスワード総合管理」や「秀丸ランサムガード」など、最近のセキュリティ対策を支援するソリューションまで幅広い。

参考文献[編集]


関連項目[編集]

外部リンク[編集]