燃料油価格激変緩和補助金
燃料油価格激変緩和補助金(ねんりょうゆかかくげきへんかんわほじょきん)、通称ガソリン補助金とは、日本国内におけるガソリン、軽油、灯油などの燃料に対して市場価格の高騰を避けるために石油製品の元売り業者に対して支払われる補助金である。コロナ禍における燃料価格高騰を受け、燃料油価格激変緩和対策事業として行われている施策である[1]。
2023年6月末より補助金を段階的に削減し、同年9月末で事業完了とする予定であったが、段階的削減を始めた6月から原油価格は徐々に上昇し、同年8月に原油価格が大きく上昇するなど背景から補助金事業の延長を決定。2024年3月末までの延長が検討されている[2]
概要[編集]
ガソリンや軽油は物流にとってなくてはならないものであり、これらの高騰はコロナ禍からの経済回復に大きなブレーキになる可能性があるものである。そのため、燃料の元売りに対して小売価格を一定以下に抑える目的で交付される補助金である。
当初はコロナ禍からの経済回復という目的であったものの、ロシアによるウクライナ侵攻やアゼルバイジャンとアルメニアの軍事衝突、そしてイスラエルとパレスチナの武力紛争など、原油価格が乱高下する要因が立て続けに発生したこともあり、「緊迫化する国際情勢及び原油価格の動向など経済やエネルギーをめぐる情勢等を見極め、柔軟かつ機動的に運用」としている[3]。
なお、あくまで石油元売りに対する補助金であり、小売店や消費者が受け取ることができる補助金ではない。また、価格統制などとは違い、価格の上昇を抑えるための補助金であり安価にするための補助金ではないことから「ガソリンが安くなった」という実感は得にくいものがある[注 1]。
施策[編集]
緩和措置の対象となる油種はガソリン(レギュラー、ハイオク)、軽油、灯油、重油、航空機燃料の5種である。
レギュラーガソリン170円を基準とし、全国のガソリン価格の平均がそれを上回った場合、168円から17円を超える分について全額支給し、17円以下はその60%を支給するようになっている(令和5年10月5日から令和5年12月末までの場合)。
この施策により、レギュラーガソリン価格の平均値が最大216円であったところ、補助金導入により174円になったという結果も報告されている(2022年6月27日)[4]
一方でこの施策を「バラマキ政策」として批判する声もある[5]。
トリガー条項との関係[編集]
日本においてはガソリン価格が3ヶ月連続で160円を超過した際、揮発油税などを引き下げるトリガー条項という特別措置が租税特別措置法に定義されている(同法第89条「揮発油価格高騰時における揮発油税及び地方揮発油税の税率の特例規定の適用停止」)
トリガー条項の条件は満たしているものの、この措置には灯油や重油は含まれておらず、対象が限定的になるという点が指摘されており、財務省や地方からの大きな反対も(主に税収の面で)予想されていることから発動していないといわれている。
関連項目[編集]
脚注[編集]
- ↑ しかし、給油時の金額を記録していくと不自然なほどに安定化していることも明確であり、決して効果が見えないものでもない