樺太犬
樺太犬(からふとけん、英: Sakhalin Husky)は、樺太および千島列島で作り出された犬種である。アイヌ・ニブフなどの北方の民族が犬ゾリ・猟犬に使っていた(いる)犬種。
1910年から1912年の白瀬矗を隊長とする南極探検隊に同行し犬ぞり用の犬として活躍し、戦後の南極地域観測隊第一次越冬隊でも犬ぞり用の犬として採用されたことでも有名。下記のタロとジロのエピソードにより有名な犬種。北海道では昭和40年代くらいまで、車や機械にとって替わられるまで漁業、木材の運搬、電報配達、行商などに使役犬として働いていた。車社会の到来とともに使役犬として必要のなくなった樺太犬は他犬種と混血して雑種化したり、野に放されたものはちょうどエキノコックス症の発生とも時期が重なって野犬掃討にあうなどして、1970年代頃にはほぼ絶滅してしまった。
タロとジロ[編集]
同種の代表的な犬としては、タロとジロがいる。タロとジロは、1957年に日本の南極地域観測隊第一次越冬隊に、物資輸送で犬橇をひくために派遣された22頭のうちの2頭。南極の東オングル島にある昭和基地に派遣された。
第二次越冬の失敗に際して、隊員と一緒に引き上げられなかった犬たちは、1か月分の食料を与えられ、南極に置き去りにされた。1年後、第三次越冬隊が昭和基地へ戻ってきたとき、残された15頭の内、タロとジロの2頭が生き延びていた。この2頭はそのまま第三次越冬隊と共に任務に就いた。
越冬隊の撤退から再上陸までの1年間を南極大陸で生き延びたことで、タロとジロは一躍有名になり、後に映画『南極物語』にも取り上げられた。同映画本編では「からふとけん」でなく「からふといぬ」と言い表されている。
タロの剥製は北海道札幌市にある北海道大学農学部博物館に、ジロの剥製は東京上野にある国立科学博物館に展示されている。
特徴(昭和30年代頃までの北海道における樺太犬)[編集]
- 大きさ:中型〜大型犬
- 体長:64〜76cm
- 体高:54〜67cm
- 体重:22〜45kg
- 性格:稟性はなく従順で融和性をもつ。忍耐強くて勇敢。忠実。優れた方位感覚や帰家性をもつ。
- 毛質:密毛におおわれ、体毛の長短によって長毛種と短毛種がある。北海道に渡った樺太犬は長毛種が多い。
- 毛色:黒、白黒ブチ、狼灰色、茶、薄茶、白など。
耳は立ち耳。たれ耳のものもいた。尾は巻き尾と差し尾。体高に比して体長が長い。胸部がよく発達して幅が広く四肢もよく発達し前肢は特に太い。 耐久力に優れ耐寒性も強く、粗食に耐え、飼い主に忠実。