椿實
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椿 實(つばき みのる、1925年(大正14年)10月31日 - 2002年(平成14年)3月28日)は、日本の小説家、神話研究家。
東京神田生まれ[1]。高校時代に梶井基次郎の小説や土田耕平の歌から影響を受け[2]、1946年、吉行淳之介らの同人誌『葦』に参加。1947年、東京大学に進学、緑川弓雄(中井英夫)、吉行らと第14次『新思潮』を創刊[3]。第2号に発表した「メーゾン・ベルビウ地帯」が柴田錬三郎、三島由紀夫に高く評価された[1]。同年「ある霊魂の肖像」(あるプシケエのしょうぞう)を発表[3]。1948年、『群像』に「人魚紀聞」を発表、異色の新人として注目を集めた[4][1]。幻想的、感覚的な作風で知られ[2][4][3]、『次元』[2]『モダン日本』『新青年』などにも作品を発表した[1]。稲垣足穂、澁澤龍彦からも高く評価された[5]。
1950年、東京大学文学部哲学科卒業[2][1]。東京大学大学院宗教史学科修了[3]。1952年、作家活動を辞め、都立高校教員生活に入る。都立竹早高校定時制教頭、都立深川商業高校校長、都立代々木高校校長などを歴任する傍ら、日本神話を研究した[6][1]。日本神話に関する著書に「新撰亀相記の研究」(1957年)がある。1982年、『椿實全作品』(立風書房)が刊行される。刊行後、『夜想』『幻想文学』に短篇「黒いエメラルド」(1983年)、「人魚不倫」(1986年)を発表した[1]。2002年3月28日、急性心筋梗塞で死去、76歳[6]。
著書[編集]
- 『椿實全集 第一巻』 大学書院、1957年[7]
- 『絵画風小景詩』 大学書院、1957年
- 『椿実歌集 海邊にて』 大学書院、1959年[7]
- 『椿實全作品』 立風書房、1982年
- 『メェゾン・ベルビウの猫』 未来工房、1997年
- 『メーゾン・ベルビウの猫』 幻戯書房、2017年
分担執筆[編集]
- 『新撰龜相記――東大本』 梵舜自筆本の影印、椿實解題、大学書院、1957年
- 『新嘗の研究 第3輯 稲と祭儀』 にひなめ研究会編、協同出版、1967年
- 『新嘗の研究 2 稲と祭儀』 にひなめ研究会編、学生社、1978年
- 『暗黒のメルヘン』 澁澤龍彦著、立風書房、1971年、新装版1990年/河出書房新社(河出文庫)、1998年
- 『日本人の生死観』 宗教思想研究会編、大蔵出版、1972年
- 『日本的宗教心の展開』 宗教思想研究会編、大明堂、1980年
- 『『ブラウン神父』ブック』 井上ひさし編、春秋社、1986年
- 『新嘗の研究 3 稲作と信仰』 にひなめ研究会編、学生社、1988年
- 『ふるさと文学館 第14巻 東京1』 木原直彦ほか編、大河内昭爾責任編集、ぎょうせい、1994年
- 『ひつじアンソロジー 小説編1』 中村三春編、ひつじ書房、1995年
- 『猟奇文学館 2 人獣怪婚』 七北数人編、筑摩書房(ちくま文庫)、2000年
脚注[編集]
- ↑ a b c d e f g 「椿實」東雅夫、石堂藍編『日本幻想作家事典』国書刊行会、2009年、466頁
- ↑ a b c d 石崎等「椿実」『日本近代文学大事典 第二巻』日本近代文学館、小田切進編、講談社、1977年、404頁
- ↑ a b c d 池田純溢「椿実」『日本近代文学大事典 人名・事項篇』三好行雄ほか編、明治書院、1994年、226頁
- ↑ a b 磯田光一「椿実」『増補改訂 新潮日本文学辞典』新潮社辞典編集部編、新潮社、1988年、848頁
- ↑ メーゾン・ベルビウの猫 紀伊國屋書店
- ↑ a b 「椿実」日外アソシエーツ編『現代物故者事典 2000~2002』日外アソシエーツ、2003年、405頁
- ↑ a b 椿實発表・出版作品 椿實の書架
参考文献[編集]
- 池田純溢「椿實」浅井清、佐藤勝編『日本現代小説大事典』明治書院、2004年、1288-1289頁
- 「椿実」デジタル版 日本人名大辞典+Plus(コトバンク)
- 「椿実」日外アソシエーツ編集部編『新訂増補 人物レファレンス事典 昭和(戦後)・平成編 せ~わ』日外アソシエーツ、2003年、1874頁
- 「椿実」日外アソシエーツ編『20世紀日本人名事典 そ-わ』日外アソシエーツ、2004年、1661頁(コトバンク)