杉原紙
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杉原紙(すぎはらがみ、すいばらがみ、椙原紙)とは、播磨国多可郡杉原谷(現在の兵庫県多可町)で漉かれた和紙のこと。兵庫県の重要無形文化財・伝統的工芸品に指定されている。製造には紗漉きという方法を用いる。
歴史[編集]
古くは『殿暦』の「椙原庄紙」(永久4年(1116年)7月11日)、『兵範記』紙背文書の「椙原紙」(仁安2年冬分)などに登場するが、本格的に普及したのは鎌倉時代に入ってからである。
奉書紙や檀紙よりも厚さが薄く、贈答品の包装や武家の公文書にも用いられた。ただし、書札礼によれば重要な文書では杉原紙は使わないものとされていた。だが、杉原谷は京都に近く、大量に製品が流入したことから、比較的低廉であったため、高級紙の代用品として用いられた。洞院公賢が左大臣を辞任した折に、書札礼に反して杉原紙に辞表を書いたことについての言い訳が、自身の日記『園太暦』に残されている。
室町時代には檀紙などの高級紙も杉原谷で作られるようになり普及が進むが、明治に入り洋紙が普及するにつれ、紙漉き業者が減少し、大正末期に杉原紙は一度途絶する。
その後、昭和47年(1972年)に、加美町(現在多可町加美区)鳥羽に町立杉原紙研究所を設立し、生産を復活。現在、同研究所及び隣接する道の駅R427かみなどで販売されている。