木村忠二郎

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木村 忠二郎(きむら ちゅうじろう、1907年明治40年)6月15日[1] - 1978年昭和53年)7月29日[2])は、日本の内務・厚生官僚。元厚生事務次官。占領下の厚生省社会局長として、戦後日本の基本的な社会福祉制度の創設に携わった[3][4]

経歴[編集]

広島県生まれ。1930年東京帝国大学法学部法律学科卒業、内務省に入省。1948年3月厚生省社会局長となり、1948年の民生委員法、1949年の身体障害者福祉法、1950年の現行生活保護法、1951年の社会福祉事業法などの制定に携わった[4]

1952年1月引揚援護庁長官、1953年9月厚生事務次官[4]。1956年国際社会福祉協議会執行委員、のち副会長[5]。1957年5月に退官[4]

1957年[6][7]日本社会事業学校理事長、日本社会事業短期大学学長、日本社会事業学校長、中央共同募金会副会長兼常務理事[4]、全国社会福祉協議会副会長に就任[5]

1958年4月日本社会事業大学が開学し、学長に就任[7]。1958年に設立した財団を改組する形で[8]、1976年財団法人社会福祉研究所(現・一般財団法人社会福祉研究所)を設立、会長に就任[9]

同和対策審議会会長、社会福祉振興会会長[5]、漢方友の会会長、日本薬剤師連盟顧問[10]なども務めた。

著書[編集]

単著[編集]

  • 『消防組織法概要』(平野書房、1934年)
  • 『社会行政 第1輯 救貧法制概要』(平野書房、1934年)
    • 『救貧法制概要』(社会福祉研究所、1990年)
  • 『民営職業紹介事業・労務供給事業・労務者の募集関係法令解説』(職業協会、1939年)
    • 『民営職業紹介事業,労務供給事業,労務者の募集関係法令解説』(職業協会、1941年)
  • 『改正生活保護法の解説』(時事通信社、1950年)
    • 『生活保護法の解説』(時事通信社、新版1955年、3版1958年)
    • 『日本社会保障基本文献集 第13巻』(菅沼隆監修、日本図書センター、2007年)
  • 『社会福祉事業法の解説』(時事通信社、1951年、改訂版1955年、第二次改定版1962年)
  • 『生活保護法の実務』(時事通信社、1951年)
  • 『米国公的扶助行政の瞥見』(中央法規出版、1953年)
  • 『沖縄の社会福祉』(南方同胞援護会、1958年)
  • 『社会福祉事業の知識』(全国社会福祉協議会、1962年、3版1966年、改訂版1972年)
    • 『社会福祉事業の知識』(全国社会福祉協議会編、全国社会福祉協議会、改訂新版1979年)
  • 『木村忠二郎日記――故・木村忠二郎先生記念』(社会福祉研究所編、社会福祉研究所、1980年)

共編著[編集]

  • 『融和事業行政例規』(近畿融和聯盟、1934年)
  • 『保母養成講座 第1巻 社会福祉事業一般』(木田徹郎共著、全国社会福祉協議会、1963年、改訂版1976年、新版1985年、改訂新版1987年)
  • ヘレン・ケラー』(三芳悌吉絵、小学館[ジュニア版伝記全集]、1963年)

訳書[編集]

分担執筆[編集]

  • 法律時報編輯部編『逐条解説国家総動員法』(日本評論社、1939年)
  • 小山進次郎著『生活保護法の解釈と運用』(中央社会福祉協議会、1951年)
  • 大塚讜、国貞敏明編『戰傷病者・戰沒者遺族援護のしるべ――質疑200問200答』(社會保障研究所、1952年)
  • 黒木利克著『社会福祉の指導と実務――とくに市町村における』(時事通信社、1952、改訂版1956年)
  • 井上友一著『救済制度要義』(社会事業会館、1953年)
  • 南溟会編『わが無名戦士たち――内南洋七島 硫黄島調査団の記録』(科学新興社、1953年)
  • 磯矢隆輔編『鹿垣――公務員随筆集』(磯矢隆輔、1955年)
  • 産業経済新聞社産経時事編集企画室編『漢方読本――歩みよる東西医学』(産業経済新聞社、1956年)
  • 厚生省20年史編集委員会編『厚生省20年史』(厚生問題研究会、1960年)
  • 甲賀春一編『本庄総裁と軍事保護院』(青州会、1961年)
  • 仲村優一著『ケイスワークの原理と技術――主として公的福祉における』(全国社会福祉協議会、1962年)
  • 厚生省児童局企画課編『児童福祉行政講義録』(日本児童福祉協会、1963年)
  • 社会福祉事業振興会『社会福祉事業振興会10年小史』(社会福祉事業振興会、1964年)
  • 伊福部隆彦著『現代漢方側面史 〔第1〕』(東明社、1966年)
  • 牧賢一著『コミュニティ・オーガニゼーション概論――社会福祉協議会の理論と実際』(全国社会福祉協議会、1966年)
  • ジゼラ・コノプカ著、前田ケイ訳『ソーシァル・グループ・ワーク――援助の過程』(全国社会福祉協議会、1967年)
  • 東京都社会福祉審議会編『東京都における社会福祉専門職制度のあり方に関する最終答申』(全国社会福祉協議会、1967年)
  • 日本社会事業大学編『戦後日本の社会事業』(勁草書房、1967年)
  • 全国社会福祉協議会『民生委員・児童委員活動の新しい展開――活動事例とその講評』(全国社会福祉協議会、1968年)
  • 長塩容伸、山田光胤著『薬草小事典――採集と効用』(池田書店[イケダ3Lブックス]、1968年)
  • 厚生省社会局編『社会局50年』(厚生省社会局、1970年)
  • 橋本正己、三浦文夫編『地域活動論――保健と福祉のコミュニティ・ワーク』(全国社会福祉協議会、1973年)
  • 社会福祉研究所『財団法人社会福祉研究所年報 昭和52年版』(社会福祉研究所、1977年)
  • 社会福祉研究所『占領期における社会福祉資料に関する研究報告書』(社会福祉研究所、1978年)
  • 吉田久一、一番ヶ瀬康子編『昭和社会事業史への証言』(ドメス出版、1982年)

木村忠二郎文書資料[編集]

日本社会事業大学所蔵の「木村忠二郎文書資料」は、木村が戦後占領期から60年代にかけて収集した膨大な文書資料。柏書房からマイクロフィルム及び紙媒体で復刻された。

マイクロ資料[編集]

  • 『戦後創設期/社会福祉制度・援護制度史資料集成 マイクロフィルム版木村忠二郎文書資料 第1期』(寺脇隆夫編、柏書房、2010年)
  • 『戦後創設期/社会福祉制度・援護制度史資料集成 マイクロフィルム版木村忠二郎文書資料 第2期』(寺脇隆夫編、柏書房、2011年)

複製[編集]

  • 『資料集戦後日本の社会福祉制度1 生活保護基本資料(全8巻)』(寺脇隆夫編、柏書房、2012年)
  • 『資料集戦後日本の社会福祉制度2 生活保障基本資料(全8巻)』(寺脇隆夫編、柏書房、2013年)
  • 『資料集戦後日本の社会福祉制度3 福祉行政基本資料(全8巻)』(寺脇隆夫編、柏書房、2013年)
  • 『資料集戦後日本の社会福祉制度5 災害・引揚・共同募金基本資料(全8巻)』(寺脇隆夫編、柏書房、2014年)
  • 『資料集戦後日本の社会福祉制度7 傷痍者・障害者福祉基本資料(全8巻)』(寺脇隆夫編、柏書房、2015年)
  • 『資料集戦後日本の社会福祉制度4 福祉施設・福祉団体基本資料(全8巻)』(寺脇隆夫編、柏書房、2016年)
  • 『資料集戦後日本の社会福祉制度8 母子・児童・老人福祉基本資料(全8巻)』(寺脇隆夫編、柏書房、2016年)
  • 『資料集戦後日本の社会福祉制度9 保護基準・施設要覧・生協法基本資料(1・2・5・6巻)』(寺脇隆夫編、柏書房、2016年)
  • 『資料集戦後日本の社会福祉制度6 戦後処理・遺家族援護・婦人保護基本資料(全7巻)』(寺脇隆夫編、柏書房、2016年)

出典[編集]

  1. 日本著作権協議会編集・監修『著作権台帳 文化人名録 第24版 本冊』著作権協議会編集局、1997年、1826頁
  2. 日外アソシエーツ編『昭和物故人名録(昭和元年〜54年)』日外アソシエーツ、1983年、172頁
  3. 専修大学図書館だより第72号PDF”. 専修大学図書館 (2010年12月).
  4. a b c d e 泉孝英編『日本近現代医学人名事典 1868-2011』医学書院、2012年、217頁
  5. a b c 吉田久一、一番ヶ瀬康子編『昭和社会事業史への証言』ドメス出版、1982年、310頁
  6. 戦後社会福祉行政の足跡PDF”. 日本社会事業大学附属図書館 (2010年12月).
  7. a b 沿革 日本社会事業大学同窓会
  8. 理事長あいさつ 一般財団法人社会福祉研究所
  9. 研究所の沿革 一般財団法人社会福祉研究所
  10. 薬草小事典――採集と効用 国立国会図書館サーチ

関連文献[編集]

  • ドキュメント人と業績大事典編集委員会編『ドキュメント人と業績大事典 第8巻』(ナダ出版センター、2000年)

関連項目[編集]