大貫つくし

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大貫 つくし(おおぬき つくし 1996年2月8日 - )は、北海道室蘭市出身[1]看護師イラストレーターである。妻は助産師性教育youtuber大貫詩織(シオリーヌ)。

来歴[編集]

「つくし」は本名である[1][2]源氏名とよく間違われるが、この名前にはアイデンティティを持っている[3]


中学2年生の時に、年の離れた妹が早期胎盤剥離のため帝王切開で生まれ、暗い表情の両親を明るくしてくれた助産師に感銘を受け[4]、高校時代には友人が自衛隊への入隊を決めたことから、「力になれる人になりたい」と看護師を目指した[4]

看護学校を卒業後[4]、2018年4月、室蘭市の日鋼記念病院に新卒看護師として入職[2]。しかし、労働環境やプリセプターについていけずに[4]入職後3か月で適応障害と診断され[4]、休職と復職を繰り返したのちに、翌年に退職[4]。つくしは「自分に目標がなかったため、看護師国家試験に合格した時点で燃え尽きてしまったのかもしれない」と振り返る[4]

病院退職後はホテルのコンシェルジュとともにイラストレーターの仕事を始め、並行してデイサービスの非常勤看護師に復職[4]。その後もアウトドア施設のスタッフやUber Eatsの配達員などを転々とし[4]、2023年6月現在は医療系スタートアップ企業に勤務[4]。仕事柄、リプロダクティブ・ヘルス・ライツジェンダーなどに関心が大きい[5]

結婚まで[編集]

病院退職後、札幌で開催された看護師コミュニティ[6]でシオリーヌを見たのが出会いで、既にいろいろな活動をしていたために「雲の上の存在」に見えたという[7]。この時つくしは22歳で、第一印象が「本物のシオリーヌさんだ!」だったという[8]。その翌日には、シオリーヌも含めた数人で北海道観光を楽しんだ[7]。その後も名古屋や横浜で会い、シオリーヌの求める「話し合いができる人」「キャンプを一緒にできる人」に惹かれていったという[7]

お互いの好意に気づき始めたつくしにはそれまで性教育の正しい知識がなかったため、シオリーヌの性教育動画を見て性の知識を学び始め、今後のことを見据えて性感染症の検査キットを取り寄せた[7]。次回のデートに検査結果の到着が間に合わなかったため、「性感染症の検査結果待ちである」のをシオリーヌに言うことになったが、それが「自分を大切にしてくれている」と受け取られ、その後まもなく交際することになった[7]

交際後、シオリーヌからの提案で、彼女の家で同棲することになるが、最初は「自分がシオリーヌより収入が低い」ことにコンプレックスがあり、「お金のことは気にしなくて良いから、とりあえずは就職までの3か月」という提案があり、つくし本人のジェンダーロールや同棲のハードル解消につながった[9]。家事は嫌いではなく、料理を作るのも楽しんでいたが、最初は低収入のコンプレックスや生活習慣の違いから居心地の悪さを感じていたため、その部分は二人で話し合いを重ね、調整と折り合いを付けることを継続している[9]「結婚は異文化交流である」との認識をもとに、疑問点は積極的に言葉に出し、価値観のすり合わせを行っている[9]

学生時代からヒッチハイクで見知らぬ土地に行くのを楽しんでいたつくしは、シオリーヌと同棲中にも「ヒッチハイクに行きたい」と相談し、彼女の「行ってきたら?」との一言で背中を押された[10]。一方でシオリーヌからは「数年以内に妊娠出産したい」という要望があり、つくしは「お互いの意見を言い合って尊重する」考えに至った[10]同性婚訴訟を支援する団体のイベントに参加した日の夜、二人で「結婚とは何か」の相談になり、つくしが「今結婚しても、今の生活や環境は変わらず、結婚しない理由がないのではないか?」とシオリーヌに伝え、二人の結婚が決まった[10]

結婚に当たり、法律婚事実婚では事実婚のデメリットが大きい[11]ことから、法律婚を選択[3]。また、法律婚で96%の女性が改姓した[12]という調査結果に驚いた[3]つくしは、シオリーヌから「自分の『大貫』姓を変えたくない」という要望があり、一方でつくしは母が離婚と再婚していて、既に改姓を経験していたため、苗字が変わることに抵抗がなかった[3]ことから、つくしが旧姓の「及川」[2]から、妻の「大貫」に改姓し[1][13][14]、妻の戸籍に入籍した[3]。つくしの親に改姓を報告したら、「二人らしいね」とあっさり受け入れられたが、他の知人からは「婿養子になった?」と聞かれたことが少なくなかった[3]。すでに結婚と離婚を経験している妻の協力で改姓手続きをしたが、すべての手続きが終わるのに3日間を要した[15]

シオリーヌが以前の結婚生活で苦い体験をしたことから、つくしは今度の結婚式で妻の苦い思い出を上書きしようと模索していた[16]。妻から結婚式のリーダーを任命されたつくしだが、学生時代からスケジューリングが苦手なつくしを見て、妻から「結婚式をやめよう」と言われてしまったことがある[16]。「それでもやりたい」というつくしの想いに、妻がてきぱきと要望を聞いて結婚式までの工程表を作成し、無事に結婚式の挙行にこぎつけた[16]

結婚後も、毎年1回、「運営会議」でお互いの行動を評価しあい、改善点を見出している[17]

妊活・育児[編集]

シオリーヌには「30歳までに出産したい」という要望があり、つくしと付き合う前から話し合いを続けていた[18]。「30歳までに出産」から逆算して妊活時期を決め、夫婦で産婦人科に行き妊娠前検査(ブライダルチェック)を受けたところ、つくしの妊孕力には問題がなかったものの、シオリーヌに多嚢胞性卵巣症候群が発見される[18][19]不妊治療には必ずつくしが付き添い、ホルモン注射、タイミング法などを経て、人工授精で妊娠に成功[18]

不妊治療を体験したことで、つくしは「仕事と妊活を並行するハードルがとても高いこと」と、「男性側に知識が少なく、男性ももっと当事者意識を持つことが必要。そのためには、根本的なところからちゃんとした性教育が必要だ」と振り返った[18]

つくしは妻の出産に備え、勤務先から1年間の育児休暇を取得した[20]。中学生の時から年の離れた妹の世話を経験していたため、一人で育児をするのは無理と判断、最初から育児休暇を取る気でいた[20]。職場に育児休暇を申請するときは多少緊張したが、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」での星野源の描写を参考にしたら、「会社にも前例があり、是非是非」と背中を押された[20]。育児休暇は制度上、「出産予定日から取得する」ことになっているが、つくしはシオリーヌの臨月の時期から育児休暇を取得できたことで、「二人の時間を取ることができたし、育児休暇は良いことしかない」と語る[20]。妊活や育児休暇で「協力的で素敵な夫」と評されることも少なくないが、つくしは「パートナーとしてやるべきことをやっているだけ。男性がやっているから『偉い』ではなく、お母さんたちにも同じ熱量でほめてほしい」と反論する[5]

2022年6月、夫婦連名で、第1子の出産と退院を発表した[21]。つくしも出産に立ち会った[22]。妊活から出産までの様子も、シオリーヌの動画チャンネルから背信されていて、つくしは「動画にすることで、シオリーヌが気持ちの整理を付けていた」と評した[18]

おむつ替えなどで産まれた子のプライベートゾーンを触るときには、子に事前に必ず声をかけるようにしている[5]。「自分のプライベートゾーンは大事なところ」を教えるためには、まず親が子のプライベートゾーンを大事にするところから始め、「0歳でもできる性教育」を試行錯誤しながら実践している[5]

脚注[編集]

  1. a b c 正しい性の情報伝えたい、性教育本出版へCF反響大きく 室蘭出身のイラストレーター 大貫つくしさん|室蘭民報社 電子版
  2. a b c 表紙 - no373.pdf
  3. a b c d e f 姓を替えた息子に両親はあっさりと言った。「そうなんだ、二人らしいね!」 | かがみよかがみ
  4. a b c d e f g h i j #006 クリエイター 兼 看護師 どさんこつくしさん | 医路とりどり
  5. a b c d 0歳からの性教育、始めました|朝日学生新聞デジタルプラス
  6. 看護職や医療職のための、交流や出会いを目的とするコミュニティイベント
  7. a b c d e 交際前に性感染症検査キットを取り寄せた「自分の本気度が伝わると良いな」 | かがみよかがみ
  8. 法律婚、事実婚、海外で同性婚、パートナーシップ制度まで。多様なカップルたちの“結婚にまつわる選択”についてインタビュー
  9. a b c 「結婚は異文化交流」が共通認識。「歩み寄り制度」で違う習慣受け入れた | かがみよかがみ
  10. a b c 縛っていた「結婚」へのイメージがほどけたとき「結婚しない」理由はなかった | かがみよかがみ
  11. 法律婚で得られるメリットが事実婚では得られないことが多い
  12. 平成28年度 人口動態統計特殊報告 「婚姻に関する統計」の概況|厚生労働省
  13. shiori_mwのツイート (1273497124999540736)
  14. 「名字とは何か…」人を哲学的にさせる改姓の苦行。結婚の「幸福感」で乗り切れる? | かがみよかがみ
  15. やってみてわかった改姓の手続きの大変さ。ひたすら待つ「苦行」の攻略法は | かがみよかがみ
  16. a b c 辛い記憶を「上書き」したかった。でも、滞っていく式の準備に「辞めよう」と妻は言った | かがみよかがみ
  17. 初開催の「大貫家運営会議」は前向きな結論に。議事録を見返しながら胸が熱くなった | かがみよかがみ
  18. a b c d e 不妊治療を経験して、悩んだこと、気づいたこと。シオリーヌ × つくし「私たちの妊活」パートナー対談 | yoi(ヨイ) - 体、心、性のウェルネスメディア
  19. シオリーヌは7年間ほどピルを常用していたために気が付かなかったが、結果的にはピルの常用が卵巣の状態維持につながっていた
  20. a b c d 男性の育休「取ってよかったことしかない」。経験者が語る大きなメリット | 女子SPA!
  21. shiori_mwのツイート (1542448020448755712)DosankoTsukushiのツイート (1542448466101927937)
  22. 「立ち会い出産」実際どうだった…? パートナーつくしさんから見たシオリーヌさんの出産とは | yoi(ヨイ) - 体、心、性のウェルネスメディア

外部リンク[編集]