堕天使
堕天使(だてんし、英語:fallen Angel)とは、元天使であるが、神の恩寵を失い天上界を追われて悪霊となったものを指す[1]。
様々な堕天使[編集]
聖書の中では堕天使の名前はサタンとベリアルくらいしか出てこない。聖書外典などでよく出てくる模様。
『エノク書』(旧約聖書外典エノク書)の3つの版で堕天使は「グリゴリ」と結びつく。
サタナイル[編集]
サタナイル(英語:Satanael)は堕天使の王である。神より自分が偉大であると考え、天地創造の2日目に天から追放された。「サラミエル(Salamiel)」、「サトマイル(Satomail)」とも呼ばれる。「第2エノク書」ではサタンの元々の名前であり、サタナイルはグリゴリの長であったとする。
ルキフェルト[編集]
ルキフェルト(英語:Lucifer、羅: Lūcifer、ヘブライ語:helel)はキリスト教で、傲慢なため天から追われたと考えられている。ルチフェル、ルキフェルともいう。ラテン語の意味はもともと金星で、輝きを協調して「明けの明星」または「明星」と言われる[2][3]。ルキフェルトは後年になって、サタンとむすびつけられた。天使長であったルキフェルト(ルシファー)は神の地位を狙い反逆を起こし、失敗して天から落とされ悪魔・サタンとなったという説もあるが、これはフィクションである。
新約聖書では「明けの明星」はイエス・キリストを指すとされたため、ルキフェルトとは結びつかなくなった[注 1]。
旧約聖書イザヤ書14章12節 「あしたの子明星よ、いかにして天より隕ちしや。もろもろの國をたふし々者よ、いかにして斬られて地にたふれしや」
これは、ルキフェルトではなく、バビロン・イシン第2王朝のネブカデネザル(ネブカドネザル(Nebuchadnezzar)ともいう)を指すともされる[注 2]。
オロバス[編集]
オロバス(英:Orobas)は堕天使の一人で、72名のソロモンの悪魔の55番目に位置する地獄の王とされる[1]。悪魔学(Demonology)では地獄の王子とされる。過去・現在・未来二関して真の回答を与え世界を創造する存在である。馬の形で現れるが、要求に応じて人の姿になる[4]。
オリアス[編集]
オリアス(英:Orias)は堕天使の一人で、72名のソロモンの悪魔の59番目に位置する。30の悪魔の軍団を率いる地獄の大いなる侯爵である。蛇の尾を持つ馬に乗った獅子の姿で現れる。戦士であると同時に占星術師である。
ベリアル[編集]
ベリアル(英:Belial、ヘブライ語: בְּלִיַעַל)は堕天使の一人である。容姿端麗で角をもつ天使であったが、神の怒りを買って堕天使となった。ユダヤ教聖書とキリスト教聖書では、悪魔(デビル)とされる。新約聖書では「コリント人への第二の手紙」6章15節「What accord has Christ with Belial?」(キリストとベリアルにどんな調和があるというのか)という文脈で登場する。信仰(believer)と不信仰(unbeliever)とに対比されているので、ベリアルは不信仰の象徴でもある。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ↑ たとえば、イエス自身が、"わたしは明けの明星であると言っている"と読み取れる)。“ヨハネの黙示録(口語訳)22章16節”. ウィキソース (2018年10月9日). 2018年12月1日確認。
- ↑ 文脈から「バビロンの王」を表しているとも読み取れるが、「イザヤ書」14章12節のラテン語原文は、"Quomodo cecidisti de cælo,Lucifer, qui mane oriebaris?corruisti in terram"となっているから、ルキフェルトを指していると解釈することは可能である。
出典[編集]
- ↑ a b ローズマリー・エレン・グイリー(2016)『悪魔と悪魔学辞典』原書房
- ↑ Lucifer
- ↑ Et quasi meridianus fulgor consurget tibi ad vesperam; et cum te consumptum putaveris, orieris ut lucifer.(「ヨブ記」11章18節、ラテン語原文)
- ↑ Joseph H. Peterson, editor(2001),"Lemegeton Clavicula Salomonis: The Lesser Key of Solomon Weiserbooks", Weiser,ISBN:1-57863-220-X.