地震帯
地震帯(じしんたい、英語: seismic zone)とは、地球上で、地震が特に多発する細長い帯状の地域のことである。
概要[編集]
地図上に、過去に発生した多数の地震の震央をプロットしていくと、震央が帯状に集まる地域が見られ、このような場所を「地震帯」と呼ぶ[1][2]。代表的な大規模な地震帯としては、太平洋を取り囲む「環太平洋地震帯」や「ユーラシア地震帯」などが挙げられる。これらの地震帯は、プレートテクトニクスにおけるプレートの境界にあたるため、地震の発生が集中するのである。
地震帯は、プレートテクトニクス理論において、火山に着目した場合の「火山帯」や造山運動による「造山帯」などと分布が一致することも多い。地殻変動が顕著な「環太平洋造山帯」(環太平洋火山帯)や「アルプス・ヒマラヤ造山帯」などは、地震帯や火山帯を伴う「新期造山帯」であり[3]、前述の「環太平洋地震帯」や「ユーラシア地震帯」などとそれぞれ分布が一致する。また、ヨーロッパ西部やアジア北部などの「古期造山帯」でも比較的多く地震が発生する。
日本列島も環太平洋地震帯に属し、地殻が非常に不安定であるため、世界的にも地震が多発する地域の1つである[4]。厳密には、 日本列島の外側の太平洋側を島弧に沿う地震帯は「外側地震帯」と呼ばれ[5]、日本列島の日本海沿岸に沿う地震帯は「内側地震帯」と呼ばれる[6]。
かつて日本では、内陸部で地震が多発している(群発地震など)特定の地域を指して、 「江戸川地震帯」「信濃川地震帯」「淀川地震帯」などと呼ばれた。しかしこれらは、あくまで短期間の地震の多発に着目した場合の呼び方であって、このような地震の多発は長期間継続するとは限らないため、現在ではこうした小さいスケールでの「地震帯」は意味を成さないとされている[1]。つまり、環太平洋地震帯などは、地球の長い年月の中でも特に長期的に地震が多発する、大きいスケールでの「地震帯」であり、前述の小さいスケールでの地震帯とは意味が異なる。
なお、日本列島周辺における地震の震源分布の研究が進んだ現在では、日本の地震多発地域は、帯状を成す2次元的な「地震帯」というよりは、「地震の巣」というような3次元的な言い方で表現する方が適切ともいわれている[1]。そのため、「地震帯」という表現は日本においてはやや古い概念になりつつある。