喫煙
喫煙(きつえん)とは、タバコの葉に火をつけ、吸引する行為である。茶葉を利用した煙草や大麻など、煙草の葉を使用しないものや電子たばこなどの使用も喫煙に含めることが多い。
喫煙の種類[編集]
以下に述べる以外にも「嗅ぎ煙草」や「噛み煙草」というのが存在するが、ここでは割愛する。
紙巻き煙草[編集]
日本で多くの人が煙草と聞いて連想するものである。コンビニ等で売っているのはたいていがこのタイプである。英語ではシガレット。刻んだタバコ葉を巻き紙で包み、フィルターを備えた物が多い。大抵の巻紙は燃焼を助ける燃焼材が入っているとされ、そういったものは吸わずとも勝手に燃え続ける(燃焼材の入っていない煙草や葉巻は吸わないでいると酸素が供給されず、最終的に消火される)のが特徴である。また、タバコ葉にも香りをつける香料以外に依存性向上のためにアセトアルデビドが添加されることがある。このような背景から、煙草を趣味とする人からは敬遠されることも珍しくない。また、手軽さゆえに路上喫煙・ポイ捨てなど、モラルの低い喫煙者による迷惑行為が後を絶たない。
手巻き煙草[編集]
紙巻き煙草を自分で巻いて作る煙草。タバコ葉を刻んだものが「シャグ」として売られており、そのシャグを「ロール紙」で巻いて作る。ロール紙には切手と同じような糊が付いており、巻いた後に糊部を軽く濡らして接着すれば完成である。最初は煙草を巻くのにコツがいるが、慣れてしまえば紙巻には戻れない。シャグやロール紙にも種類があり、喫味を邪魔しないものから天然素材にこだわったもの、添加材フリーなど様々な種類が選べる。フィルターもそろっており、太さやフィルターの数など、細部にこだわりたい人にはたまらない。人によっては既製品の紙巻きたばこのロール紙が気に入らないとの理由で巻きなおす人もいる。
葉巻[編集]
タバコ葉を巻いて作る煙草で、シガーとも呼ばれる。ロール紙のようなものを必要とせず、当然ながらフィルターもない。ダイレクトに煙草の風味を味わうための煙草である。一般にプレミアムシガーと呼ばれる高級品とドライシガーという廉価品に分類される。プレミアムシガーはタバコ葉を裁断せず、また香料などの添加剤も一切ない。それを職人の手作業で1本ずつ丁寧に作られる。そのため、ハンドメイドシガーともいわれる。一方でドライシガーは機械を使った大量生産もあり、香料などで着香されているものも多い。 同じような製法で紙巻きたばこと同様のサイズののものはミニシガーやシガリロという名称で流通していることも多く、プレミアムシガーを製造しているメーカーが同ブランドでシガリロを作ることもある。 一本当たりの喫煙時間が長いのも特徴で、30分~1時間ほど吸う事ができる。立ち消えしても再度着火させて吸うこともできる。なお、葉巻をもみ消させる行為は失礼なこととされており、マフィア映画などでその一端を見る事ができる。 保管には温度と湿度の管理が重要であり、専用のヒュミドールと呼ばれる保管容器もある。 葉巻には購入時点で吸い口が無いものもあり、専用のカッターなどで吸い口を作る必要がある。 このように保管から喫煙時においても手間や神経が必要であり、それをも楽しめる余裕のある大人だけの趣味である。
なお、葉巻の芳香は普通の煙草とも違う独特の香りであり、煙の量も紙巻の比でないくらい多いため、喫煙する場所には十分な配慮が求められる。
キューバの葉巻が最上品とされている。ジョン・F・ケネディ35代アメリカ大統領はキューバ産のH.アップマンという葉巻の愛好者であり、ピッグズ湾事件の直後に経済封鎖を宣言したが、この葉巻の在庫を確保した後に発表したといわれている。また、キューバ革命の英雄である「チェ・ゲバラ」もまた愛煙家であり、モンテクリストを愛用していた。同国の特産である葉巻のアピールもこめられていたとか。
パイプ煙草[編集]
パイプと呼ばれる喫煙具に着香された刻み煙草を使用する煙草。ダグラス・マッカーサーが口にしていたものがこのパイプ煙草の一種である(コーンパイプ)。椅子に腰かけてゆったり喫煙するためのものであり、葉巻同様匂いも煙も紙巻とは別次元のため、吸う場所には十分な配慮が必要。 パイプには材質や形状の違いでさまざまな種類があり、手入れや補修をまめにすれば長い期間使えるものもある。その種類の多さから、喫煙ではなく蒐集目的のコレクターもいる。 日本にもパイプを作るメーカーがあり、柘製作所や深代喫煙具製作所が有名。 いかに長く喫煙できるかを競うコンテストがあり、日本では全日本パイプスモーキング選手権大会と呼ばれる大会が開かれている。もちろん世界大会もある。
煙管[編集]
とても細かく刻んだタバコ葉を使用する、日本独自に発展したパイプ煙草ともいえる。煙管専用の刻み煙草はとても細く刻まれており、一旦国内生産が打ち切られた際に提供された海外産の刻み煙草は評価が低く、生産が再開されたいきさつがある。一回で吸える量も小さく、ほんの数分で喫煙が終わることもある。喫味がキツくなりやすいが、タバコ葉を加湿させることで喫味は優しくなる。 総金属製の延べ煙管と雁首と呼ばれる刻み煙草を入れる場所と吸い口が金属で中間が竹などでできている羅宇煙管と呼ばれるものがある。
中間無札と呼ばれる不正乗車の事をキセル乗車と呼ぶことがあり、語源はこの「羅宇煙管」からきている。雁首と吸い口の両方が金属で、中間部が金属でない=金を使わないことから転じて両端の駅の乗車券しか買わず、中間の運賃をごまかす手口になぞらえているらしい。
大麻の吸引に似た道具が使われることがあり、見つかると職質の可能性も...
シーシャ[編集]
水たばこや水パイプとも呼ばれる、中東などで発達したスタイル。フレーバーと呼ばれる香料と煙草の葉を糖蜜で固めたようなものを炭火で熱し、煙を水に通してから吸う。洗気瓶に似た構造をとるため、味がまろやかになる。喫煙具としてはとても大掛かりであり、一つのシーシャから複数のチューブが出せるようになっていて複数人が一度に吸えるものもあるほど。最近の日本ではシーシャバーと呼ばれる専門店もあり、時間単位でシーシャを楽しむ事ができる。煙草特有のにおいが少なく、独特の甘い臭気に包まれ、居心地のよい空間も多い。「チル」の概念と共にじわじわと人気が出ているが、タバコの一種であることに変わりはないため、吸いすぎで酸欠になったり、夢中になってチェーンしてニコクラを起こす場合もある。
加熱式煙草[編集]
近年目立ち始めた、タバコ葉を電子的に加熱し、蒸気と共にニコチンを摂取しようという煙草。独特の臭気があり、人によっては紙巻きのほうがマシという人もいる。健康への影響が少ないと宣伝されるが、紙巻きと比べて幾分か低いというだけであり、根本的な解決にはなっていない。JT・BAT・PMの三社から加熱用デバイスと専用スティックが販売されており、それぞれploom・glo・IQOSのシリーズで展開されている。
VAPE[編集]
電子たばことも呼ばれ、香料の入ったリキッド(グリセリン)を加熱して発生する蒸気を楽しむ煙草。厳密には煙草も使用せず、ニコチンも(通常は)含まれないため煙草には該当しないが、行為自体は喫煙と同様であるためここに分類する。煙草の代用品として使う場合や、純粋にリキッドの味を楽しむためだけに使用する場合もある。また、機器のセッティングによっては煙草など比にならないくらいの煙量が出るため、VAPEトリックと呼ばれる煙を使った遊びや競技がある。健康的影響は煙草に比べかなり低いものの、グリセリンを過加熱したことによる悪影響や機器の取り扱いを誤ることによる物理的な被害など、純粋な煙草とは比較できないリスクが存在する。なお、喫煙の習慣のないものに勧められるものではないことや、喫煙という行為自体の影響もあり20歳未満への販売・提供はされないことが多い。