印紙条例

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印紙条例(いんしじょうれい)とは、1765年イギリスアメリカ植民地に対して制定した課税法のことである。この法律アメリカ独立戦争につながる遠因のひとつとなった。印紙とはイギリスに対する税金を納めたことを証明するために書類、文書などに貼るイギリス政府発行の切手のようなものである。

概要[編集]

イギリスとフランスはアメリカ大陸への植民を進めていたが、1753年に大陸の領土をめぐり争いが発生する。イギリスに対抗するため、フランスはカナダから軍隊を進めてバージニアオハイオに進出したが、これを機にイギリスとフランスの戦争は避けられないものとなった。1755年、こうして開始されたのがフレンチ・インディアン戦争であり、当初はインディアンを味方にして巧みなゲリラ戦を展開するフランス軍が優勢だったが、イギリス軍は1758年から続々と本国の軍隊を送り、またアメリカ植民地の司令官だったジョージ・ワシントンの活躍もあり、1763年にこの戦争はイギリス軍の勝利に終わり、イギリスはフランスのアメリカ植民地の多くを得ることになった。

ところがイギリスはこの戦争で使用した軍費を穴埋めするため、アメリカ植民地に対して1765年に印紙条例を制定する。これは植民地の新聞や文書、証書などに必ず印紙を貼ること、そしてそれらに課税をかけることを意味していた。既にイギリス本国は1764年にアメリカ植民地に対してアメリカ植民地砂糖法アメリカ植民地通貨法を制定して多くの負担を強いていただけに、この印紙条例には植民者からの多くの反発が出た。そのため、植民者は集会を開いたりして反発を強めてゆく。

植民者側はイギリス本国に抗議するため、イギリスからの商品の不買運動を開始した。さらにアメリカ植民地に駐留しているイギリス兵と植民者の間に絶えずもめ事が起こるようになる。このため、イギリス本国は1766年になって印紙条例を廃止した。

しかし1767年にはタウンゼント諸法を制定してなおも課税を強化するなど、イギリス本国の圧力がやむことはなく、これがアメリカ独立戦争への火蓋が切られる一因となった。