北越太平記
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北越太平記(ほくえつたいへいき)とは、戦国時代の史料である。
概要[編集]
著者・成立年代[編集]
著者は雪菴。どういう人物かは不明で、「洛東隠士」とある。成立年代は早くて寛永20年(1643年)9月、遅くて延宝年間ではないかと見られている。
別称は『北越軍記』(ほくえつぐんき)。
内容[編集]
全17巻で、上杉謙信と上杉景勝の1代記である。この著の序によると、江戸時代に神格化されたライバル・武田信玄の著作は多く流布しているのに、謙信の記録はほとんど秘されて世に知られていなかったため、数少ない記録から著したものであると説明している。ただし、謙信関係は『越後軍記』や『越州記』、『北越武鏡』や『謙信年譜』と多くの著書があり、この序には少し疑問がある。あくまで数多くの信玄関係の著書と比較して、謙信関係の著書が少なかった、という意味なのかもしれない。
17巻と数多く存在するため、謙信や景勝の事績以外にも多くの構成が存在する。
- 巻1 - 長尾為景の事績。
- 巻2、3 - 上杉謙信の誕生と武田信玄の対決まで。
- 巻4(上中下) - 謙信御一代軍功大概。
- 巻5(上) - 信州河中島五戦記。
- 巻5(中下) - 就御尋書上候信州川中島五ヶ度合戦之次第。
- 巻6(上中下) - 上杉中納言景勝卿軍功大概。
- 巻7(上中下) - 上杉将士列伝。
- 巻8から17 - 上杉景勝の事績。
この軍記は謙信を主体とするより、むしろ景勝に重きが置かれている。謙信関係の記事は多く見ても3分の1程度である。
ただ、上杉氏にバイアスが置かれているとはとても言えない。例えば謙信の父で景勝の祖父である為景の越後国乗っ取りについて「逆臣」として批判している。それに対して、宇佐美孝忠という人物は「文武の才あり」「沈毅」「忠節大義を旨とし」と、賞賛を惜しまないようになっている。
なお、成立年代に30年の差があるため、段階的な増補が加えられた可能性が指摘されている。