ヌオン・チア
ヌオン・チア(Nuon Chea, 1926年7月7日 - 2019年8月4日)は、カンボジアの政治家。カンプチア共産党副書記兼中央委員会常務委員。民主カンプチア政権では人民代表議会常任委員会議長(国会議長)を務め、党書記長ポル・ポトに次ぐ第2位の地位にあった。
経歴[編集]
カンボジア西部バタンバン州出身。第2次世界大戦中にタイ王国で教育を受け、タイ共産党に入党する。帰国後はカンボジアのフランスからの独立運動に加わり、カンボジア共産党創設に参加した。1975年から1979年のポル・ポト政権時代に知識人の虐殺、都市住民の農村への強制移住に関与したとされている。ポル・ポトに次ぐナンバー2の地位にあったが、表立った活動は意外と少なく、1998年12月にポル・ポト派幹部として最後にフン・セン政権に投降するまで、ほとんど公式に姿を見せなかった。
その後、逮捕されるまではカンボジア北西部のパイリンで暮らしたが、自らや政権幹部の行為に関しては「祖国を侵略から守るためやむを得なかった」と政権幹部の政策の正当性を主張していた。2007年9月に国連とカンボジアが設置した特別法廷によって逮捕されて、人道に対する罪や大量虐殺罪などで起訴されたが、公判においても多数の国民の死亡に関しては「(ポル・ポト政権以前の)アメリカ軍による爆撃やベトナムの仕業である」と述べて関与を否定していた。
しかし2014年8月に人道に対する罪を審理する裁判の1審で終身刑を言い渡され、2016年11月の2審判決も同様で終身刑が確定した。2018年11月には大量虐殺罪を審理する別の裁判の1審でも終身刑が言い渡されて、ヌオンは控訴していた。
死去する1か月ほど前から高齢のこともあり、体調を崩して特別法廷の収容施設から病院に移送される。そして2019年8月4日にプノンペン市内の病院で死去した。93歳没。