サント・ヴォルペ

サント・ヴォルペ（英語：Santo Volpe、1880年 - 1958年12月2日）は、ペンシルベニア州のマフィア。「モンテドーロの男」（後のブファリーノ・ファミリー）のボス。夜の帝王（King of the Night）と呼ばれた。

経歴

シチリア島モンテドーロ生まれ。モンテドーロ・マフィアのボスだった。1906年に妻と生まれたばかりの娘とともにアメリカ合衆国に渡り、ペンシルベニアで義理の兄弟のスティーヴン・ラトーレと合流した。このときの渡航費用はラトーレが負担した。ラトーレ、チャールズ・ブファリーノ（ラッセル・ブファリーノの叔父）とともに「モンテドーロの男」（the men from Montedoro）を結成し、後にブファリーノ・ファミリーとして知られるようになった。1907年2月にラトーレ、ブファリーノ、その他19人の男たちとともに共謀、殺人未遂、ダイナマイト、脅迫、家屋への発砲などの容疑で逮捕されたが、1907年5月にヴォルペと他1人の男は無罪判決を受け、他の被告も軽い罰で済んだ。

1908年にラトーレに代わって新しいボスになった。ヴォルペがブファリーノ・ファミリーの初代ボスと見なされることもある。ヴォルペとラトーレは1918年頃まで炭鉱で採掘の仕事をしていたが、1920年に鉱業請負業者となった。1929年にヴォルペ、ラトーレ、ブファリーノの3人は共同で経営していた鉱業会社を解散した。この頃からヴォルペおよびブファリーノとラトーレの間で軋轢が生じ、1930年代後半からラトーレはモンテドーロ・マフィアと距離を取った。

1932年8月6日にブルックリンでピッツバーグのボス、ジョン・バザーノが殺され、他の13人の容疑者とともに逮捕された。この中にはアルバート・アナスタシアもいた。証拠が不足していたため、誰もこの事件で起訴されなかった。事件前の1932年7月29日にペンシルベニア州ウィルマーディングで力を持っていたヴォルペ3兄弟（サント・ヴォルペとは血縁にない）が殺されており、バザーノが犯人だと思われていた。ヴォルペ3兄弟の仲間からの申し立てを受けて、コミッションがバザーノに死刑を宣告したとされる。

1930年代に各社が採掘できるトン数を管理する州石炭委員会のメンバーになり、ファミリーは石炭会社を買収したり、アメリカ鉱山合同組合（UMWA）を支配したりして利益を得た。「ヴォルペ・コール・カンパニー」を所有していた1940年頃にジョヴァンニ・シャンドラにボスの座を引き継いだ。1933年もしくは1930年代後半に引き継いだとする資料もある。ラトーレの長男で情報提供者のジョゼフによると、ヴォルペは金儲けが第一になり、裏社会の仕事に興味を示さなくなったため、1942年に解任されたが、その後も組織の中で影響力を持っていたという。1938年に州知事に就任したアーサー・H・ジェームズは無煙炭緊急委員会を設立し、ヴォルペを9人からなる委員会の3人の鉱山経営者代表のうちの1人に任命した。1943年5月にUMWAが大規模な戦時ストライキを行ったとき、解決のために経営者と労働者の代表が呼び出され、ヴォルペと「ハドソン・コール・カンパニー」のF・W・リーミー・シニアがフランクリン・ローズヴェルト大統領と会談した。1943年に「ヴォルペ・コール・カンパニー」を「ジャーミン・グリーン・コール・カンパニー」に売却した。死ぬまで「ゲートウェイ・コール・カンパニー」のオーナーだった。

1958年12月2日にウエストピッツトンで自然死した。