クライム・ファミリー
クライム・ファミリー(英語:Crime family)は、組織犯罪シンジケートの構成単位。特にイタリアの組織犯罪シンジケート(シチリア・マフィア、アメリカン・マフィア)の構成単位を指して使われることが多く、しばしば特定のテリトリーまたは活動分野の中で活動する。厳密に言うとファミリー(またはclan)は犯罪組織であり、単独または小規模な組織(cells、factions、crewsなど)の集合体として活動する。そしてファミリーは単独の「enterprise」である場合もあれば、より大きなシンジケートやカルテルの一部である場合もある。その名前とは裏腹にクライム・ファミリーの多くは実際の家族関係に基づくものでも、それを中心に形成されたものでもないが、しばしば疑似的な父子関係・兄弟関係がみられる。また民族に基づく傾向があり、メンバーの多くが実際の血縁関係にあることもある。
概要[編集]
語源はシチリア・マフィアに由来する。シチリア語で「コスカ」(cosca)はアーティチョーク(チョウセンアザミ)やアザミのような植物にあるトゲ状で葉が密に重なり合った部分のことを言い、メンバーの間の緊密さを象徴している。また「コスカ」は氏族という意味にも使われる。マフィアの初期の時代、賊の緩やかな集団が次第に組織化され、両方の意味に基づいて「コスカ」という言葉を採用した。
19世紀末にマフィアがアメリカ合衆国に輸入されたとき、コスカという言葉は英語でクラン(clan)やファミリーと訳された。この用語は特に大衆文化やハリウッド映画において混乱の元になった。クライム・ファミリーは犯罪行為に関与する血族という意味ではなく、必ずしも血縁関係に基づくものではないからである。シチリアやアメリカの大半のマフィアのボスは先代と血縁関係が無い[1][2]。『ゴッドファーザー』や『マフィア・プリンセス』のような映画もこの混乱を助長した。
この用語は大衆文化だけでなく、国の法執行機関にも定着し、最終的にはシチリア系のギャングだけでなく、イタリアの他の地域を起源とするギャング(カンブリア州のンドランゲタ、ナポリのカモッラ、プッリャ州のサクラ・コロナ・ウニータなど)の個々の構成単位を表すのにも使われるようになった。実際、1990年代後半にナポリでの大規模な取り締まりでカモッラのリーダーたちが投獄された後、彼らの妻、ガールフレンド、娘、母親が一時的に組織を支配する「ゴッドマザー」と呼ばれる現象が広まるほどに「ファミリー」の神秘的な雰囲気は大きなものになっている。
この用語はアイリッシュ・マフィア、日本のヤクザ、中国の堂や三合会、インディアン・マフィア、コロンビアやメキシコの麻薬カルテル、アルバニア・マフィア、ロシアン・マフィア、マルタ島のマフィア、旧ソ連領内の「法の泥棒」や東ヨーロッパのファミリーなど、他の民族や国の犯罪シンジケートの構成単位を表すのに使われることもある。これらの組織の中には、ンドランゲタのように血縁関係に沿って組織されているものもある。
関連項目[編集]
出典[編集]
参考文献[編集]
- Gambetta, Diego (2009). Codes of the Underworld. Princeton University Press. ISBN 978-0-691-11937-3