オリエント工業
種類 | 有限会社 |
---|---|
略称 | オリエント |
本社所在地 | 日本 〒110-0005 東京都台東区上野5-23-11 |
設立 | 1977年(昭和52年) |
業種 | ラブドール、その他 |
事業内容 | ラブドール製造・販売 |
代表者 | 土屋日出夫 |
外部リンク | https://www.orient-doll.com/ |
オリエント工業(オリエントこうぎょう、Orient Industry)は日本のラブドール製造・販売するメーカー。東京都台東区上野に所在する。1977年創業と国産ラブドールメーカーの老舗である。商号は「有限会社ツチヤ商会」。
概要[編集]
創業当初は一般的なダッチワイフより優れたダッチワイフを販売していた。最初に販売した「微笑」は多くのユーザーから意見あり、同製品の製造を中止し、「人の心の支えとなる人形」をモットーに製造することを目指す。障害者の方のために性処理相談や10%の割引制度支援を行なっている。元々、当初は実際の性行為が困難な障害者の方へ販売していた。そのため、ネット通販では障害者手帳複写提示を求めていた。そしてその後、誰でも購入できるようになった。
「上野相談室」(現在上野にあるショールーム)購入ユーザーに製品説明とカウンセリングを行うことがあった。2022年6月に上野に「ショールーム&ギャラリー」をリニューアルオープンした。現在はオンラインショールームも開始されている。
同製品の引き取りサービス「里帰り」がある。また製品のトラブルや再メイクなどの依頼ができるアフターサービスがある。
現在は本物人間に近いリアルドールを販売している。過去にはたくさんのシリーズラインナップがあったが、現在は「ジュエル」「アンジェ」、「やすらぎ」、「Berry」の4つのシリーズが現行製品として主流である。また2020年に頭部のオーダーメイドを開始。2021年に「香るボディー(スウィートボディー)」の販売開始。
また他のラブドールにある口開閉機能はなく、あごを握ると少し口が開くぐらいの製品が特徴的で土屋日出夫曰く「娘(製品)に対してそんなこと(口開閉機能)したらかわいそうだ」。
2007年には創業30周年記念として「人造乙女博覧会」(ヴァニラ画廊)を開催。2017年に40周年として記念展「今と昔の記念展」を開催し、書籍「愛人形 ラブドールの軌跡 - オリエント工業40周年記念 -」を出版。またフォトコンテストも開催していた。
オリエント工業のラブドール製品は数々の映像作品などに起用されている。
歴史[編集]
1977年に上野と浅草でアダルトショップを経営していた土屋日出夫によって創業。同年にダッチワイフユーザーの声に応えるための第1号ダッチワイフ「微笑」を販売。当時の耐久性があまり良くなかった一般的なダッチワイフに比べ、同製品は、体重をかけることが困難な傾向がある障害者の方のために空気式をベースに耐久性、適度な弾力を持ち、ソフトビニールを使用した顔や胸、腰の部分を軟質ウレタンで補強したトルソー型である。しかし、それ以外の部位は空気式のビニール製であるため、空気漏れがただあった。
第2号製品として「面影」を販売(フィリピン人をモデルにし、かなりリアルな製品)。発泡ウレタン製で骨格にラバー、ラテックスで表皮に被せ、収納性を考慮し両腕両脚を取り外すことができる製品。また空気を一切使わない構造となり、人間の皮膚に近い肌触りとなっおり、また空気式のように破裂や空気漏れの心配がないことと、使用者の体重120kgまで対応し、脚開脚90度まで曲げることができるという利点として愛されてきた。
1987年に「面影」の改良品として第3号製品「影身」を販売し、使用環境を考え、両腕両脚以外に頭部の取り外しが可能となった。大胆な開脚が可能のため、好きなポーズにすることができるようになった。1992年に「影華」を販売し、今まで販売してきた製品を大幅に改良したものであり、表皮の耐久性向上とボディ側面のライン除去などと今までのものとは比べ、進化した製品となった。
1997年に頭部が3種類あり、好きな頭部を選択できる「華 三姉妹」を販売。脚部に伸ばした脚と膝を曲げた脚の2種類のラインナップがあった。1999年にラテックス製の短所を改良するためにソフトビニール製の「明日香」が生産限定で販売した。
2000年に入り、アメリカ合衆国の「リアルドール」の影響を受け、ブランド「ファンタスティック」を設立し、アニメ調の頭部、衣装、ウィッグを展開し、「等身大のフィギュア」としてアニメファンから絶大な人気を博し、メディアでも取り上げられた。コラボレーションとしてアリスソフトの18禁ゲーム「大悪司」に登場するキャラクター「岳画殺」モデルを販売。2001年にシリコーン製の「ジュエル」を販売し、高額製品となった。注文が殺到してしまい、工場を拡大した。素材が高価なため、数十万円程度だった販売価格が60万円と高騰した[1]。2009年からはよりリアルなラブドールシリーズを展開している。
キャンディーガール[編集]
1998年に添い寝に特化した「キャンディガール」を販売し、頭部ラインナップが8種類と豊富になり、の総数は新作5種と前作ほ「華三姉妹」の3種が引き継がれた。人気ラインナップは「鈴」である。この頃にネット通販も開始した。
1999年に頭部に「球形ジョイント」を導入し、広い可動と着脱が可能の製品「アリス」を販売し、インターネット普及により、多くのドールファンから話題になり、代表的な製品となった。また2001年にアリスの写真集「Lover's DNA」が販売されるほど。
2003年に「ナインティーン」を販売し、球体関節を導入し、手首、肩、足の付け根などが可動でき、足組みと手の平重ねなどのポーズができるようになった。
2002年にキャンディーガールシリーズのソフトビニール製の「エクセレント」(2005年に「ソフト」、2009年に「セパレート」と2回改名した)を販売し、座るタイプと直立タイプの2種類を展開。
ジュエル[編集]
2001年に販売開始。2004年にキャンディーガールの「ジュエル」を販売し、高額で購入しづらいユーザーに向けて「ジュエルライト」を販売。2005年には耐久性に優れたシリコーン製ドール「プチジュエルエフ」を販売。
2006年に「ジュエルライトエフ」を販売。同年には軽量シリコーン製ドール「プチソフト ナノ」と「ジュエルローザ」を販売した。翌年の2007年に今まで展開してきた製品とは違ったコンセプトドール「ジュエルディーバ」を販売。
2008年に新骨格として「タイタンフレーム」を導入し、軽量で耐久性のあるシリコーン製ドール「ジュエルローザf」を販売。
アンジェ[編集]
アンジェはリアルドールの現行製品として根強い人気を持っている。何種類もある顔のタイプの中で一番人気を博しているのは「沙織」。
2009年に平均身長157cm日本人女性サイズのシリコーン製ドール「アンジェ」を販売し、バストサイズが大と小から選択可能でアンダーへア植毛のオプションも導入した。同年には「ジュエル136/146」を販売。2010年に抱き人形「ララドール」を販売。
2011年にアンジェに美白カラーが導入され、肌色が選択可能になり、肌の色に合わせて美白専用頭部4種類も展開し、また「ジュエルリアルテイスト」も販売。同年に
2013年に各関節を簡単に動かしやすくした「タイタンフレーム3」を導入。
2015年に「アンジェ セパレート」を販売。また2016年には軽量に特化したリアルドール「アンジェセパレートNEO」を販売。
やすらぎ[編集]
2013年にモデルから直接型取りした肉感的ボディリアル造形ドールの「やすらぎ」を販売した。指先などが可動するなど、細部に拘っている製品である。2014年には白肌バージョンを導入。また2016年に白肌バージョンにリアルな血管メイクオプションが導入された。2019年には第2弾シリーズとして「やすらぎ 艶」を販売。
Berry (ベリー)[編集]
2017年に40周年記念リアルドール「Berry(ベリー)」を期間限定で販売。2018年に「ルビー」と「サファイア」を販売。
2019年に130cmサイズのリアルドールを販売し、瞳とヘアスタイル、ボディも「微乳」と「巨乳」の2種類から選択可能である。
現行製品ラインナップの詳細[編集]
「ジュエル」は少女が好きな方向け、「アンジェ」と「やすらぎ」は綺麗な女性が好きな方向け、「Berry」はアニメファンの方向け。
ジュエル[編集]
オップション[編集]
- 身長
- 146cm
- 136cm
- ボディカラー
- 素肌
- 美白
- スウィートボディの有無
- バスト
- 小(Aカップで胸囲68cm)
- 大(Dカップで胸囲73cm)
- 乳首色
- ピーチ
- ナチュラル
- デュアルフレーム
- 視線可動の有無
- 血管メイクなし
- ウィッグ
- 指骨格機能の有無
- アンダーヘアの色
- ホールパーツ
頭部ラインナップ[編集]
- サラ
- かれん
- 心(こころ)
- しずか
- メロン
アンジェ[編集]
オップション[編集]
- ボディカラー
- 素肌
- 美白
- スウィートボディの有無
- バスト
- 小(Bカップで胸囲76cm)
- 大(Eカップで胸囲84cm)
- 乳首色
- バージンピンク
- ナチュラル
- リアル
- デュアルフレーム
- 視線可動の有無
- 血管メイクの有無
- ウィッグ
- 指骨格機能の有無
- アンダーヘアの色
- ホールパーツの有無
頭部ラインナップ[編集]
- つばさ
- 沙織(さおり)
- りり
- 絵梨花(えりか)
- 瞳(ひとみ)
やすらぎ 艶[編集]
オップション[編集]
- ボディカラー
- 素肌
- 美白
- スウィートボディの有無
- バスト選択不可
- 乳首色
- バージンピンク
- リアル
- ダーク
- デュアルフレーム
- 視線可動の有無
- 血管メイクの有無
- ウィッグ
- 指骨格機能の有無
- アンダーヘアの色
- ホールパーツの有無
頭部ラインナップ[編集]
- 清水美帆(しみずみほ)
- ゆりえ
- 葵(あおい)
- 桜樹志乃(さくらぎしの)
- 原千草(はらちぐさ)
Berry[編集]
オップション[編集]
- 髪型
- ピンクボブ
- マリンボブ
- パールボブ
- ボルドーカーブ
- 瞳
- サファイアブルー
- アーバンブラウン
- バスト
- 小
- 大
- 指骨格機能の有無
- アンダーヘア植毛の有無
- ホールパーツの有無
その他の製品[編集]
- 2003年に医療老人介護の練習用ドール「とめさん」を販売。
- 2018年に「異色ボディー」が販売された。
- 2020年におっぱい型卓上ドリンクサーバー「モンデノーム」が販売された。
協力[編集]
- 昭和花子2(2011年)- 昭和大学歯学部とテムザックが共同開発した臨床実習用患者ロボット
TPE製ラブドールを販売しない理由[編集]
多く出回っている中華製ラブドールに使われているTPE(熱可塑性エラストマー)を採用しないのは、TPEは柔軟性にすぐれているが、工業製可塑剤が使用されており、環境面と性行為するための衛生面で影響を及ぼす可能性があると公言している。また内分泌攪乱物質である疑いがあり、使用規制が強くなっているのも理由でシリコーン製にこだわりを持っている。
製品が登場する作品[編集]
年数 | タイトル | 備考 |
---|---|---|
2005年 | CandyGirl | Windows対応PCゲーム |
2006年 | 純情メイド物語 | 成人映画 |
2006年 | 純情メイド物語第二章 | 成人映画 |
2009年 | ラブドール 抱きしめたい! | 映画 |
2011年 | いもうと りん | 成人映画 |
2013年 | 体温 | 成人映画 |
2013年 - 2014年 | LOVETOPIA | BSフジ放送ドラマ |
2015年 | BSフジ開局15周年記念ドラマ リアルホラー 第4話 クライアイズ | BSフジ放送のドラマ |
2015年 | 女のかわいさはんぱない! | 映画 |
2020年 | ロマンスドール | 映画 |
受賞[編集]
- 第15回 みうらじゅん賞(2012年)
備考[編集]
- ボディと頭部の原型はそれぞれ専門造形師が行なっている。東京藝術大学卒業で彫刻を学んだボディ原形担当の造形師とラブドールの造型に魅力を感じて入社した頭部原型担当の造形師がいる[2]。生産数は1日に2体から3体くらいで各部署ごと役割分担されている。
- 製品をショールームに搬入する際に、あまりにもリアルすぎたため、死体と誤解されて警察沙汰になったことがある。
- 同社製品の購入者は9割が男性でショールームなどの展示会来場者8割が女性である。
- 最近では数々の中華人民共和国のラブドールメーカーが人気になる中、ラブドールファンから高額だか、安心で高品質で長く持てる国産ラブドールメーカーとして根強い人気を持っている。他に国産メーカーとして大手であるのは、オリエント工業を含め、他には「4woods」、「アルテトキオ」である。
- スタッフは購入者に「娘を嫁に入れる」という気持ちが強いため、購入者に「結婚指輪」をプレゼントしている。
脚注[編集]
- ↑ “〝家族〟になったラブドール 時代を先取り、オリエント工業の45年 お客に寄り添う相談室、安心の里帰り制度”. withnews (2022年6月26日). 2023年6月21日確認。
- ↑ “【オリエント工業】東京藝術大院卒の造形師が、究極の機能美を追究した先に見た「ラブドール×Tech」の未来”. エンジニアtype (2014年12月25日). 2023年6月21日確認。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- オリエント工業公式サイト(18歳未満は閲覧不可)