アンナ (人名)
アンナ (Anna、Αννα、Анна)は、西洋の広い範囲に見られる女性名。
フリジア語においては、男性名としても用いられるが、こちらは「鷲」を意味するゲルマン語系の語幹 arn に由来するものである[1]。7世紀半ばのイースト・アングリアの王アンナも、こうした男性名の一例である。現代における同系の男性名の例としては、アンネ・デ・ヴリースが挙げられる。
概要[編集]
「恩恵」などを意味するヘブライ語の女性名カンナハ חַנָּה (Channah) がギリシア語化したものである。なお、より原形に近い異形にハンナ (Hannah) がある。アンヌ (Anne)、アンネ (Anne)、アナ (Ana)、アン (Ann) なども同じ由来である。
イタリア語などの発音はアンナで、日本では原語の発音に関わらずアンナとすることが多いが、言語によっては実際の発音は異なる。特に長子音のない言語では「アナ」に近い発音をする。たとえば英語ではアナ [ˈænə]、ドイツ語ではアナ [ˈana]である。これらの言語のAnnaは日本でもアナとすることもある(例:『アナと雪の女王』、タイトルのヒロインの名前の綴りは「Anna」)。
東欧圏にはドイツから広まったとされ、もとは「ハンナ」であったとされる。ウクライナ語までは「ハンナ」(Ганна) であったが、[h] の音のないロシア語に入ると「アンナ(アーンナ)」(Анна [ˈannə]) となった。今日では、ウクライナ語でも「アンナ」(Анна) という名前はある。
一方、ウクライナ語名の綴りがそのままロシア語に流入し「ガンナ(ガーンナ)」(Ганна) という名前も生まれた。ロシア語では日本語の「h」を転記するには似た発音の「х [x]」を使うが、西欧の「h」には「г [g]」を使い、「х [x]」は西欧の「ch」に当てられる。
短縮形は言語ごとに多くの形がある。よく知られたものには、ロシア語などのアーニャ (Аня Anya)、ドイツ語などのアニカ (Anika)、英語のアニー (Annie)、ナンシー(Nancy) などがある。
主な人物[編集]
実在の人物[編集]
聖書の人物[編集]
- アンナ (預言者) - 新約聖書の『ルカによる福音書』に登場する女預言者
- アンナ (マリアの母) - 伝承による聖母マリアの母
王侯貴族[編集]
- アンナ (ロシア皇帝)(アンナ・イワーノヴナ、アンナ・イワノヴナ・ロマノフ)
- アンナ (ポーランド女王)
- アンナ・フォン・エスターライヒ【曖昧さ回避】
- アンナ・フォン・プロイセン【曖昧さ回避】
- アンナ・パヴロヴナ - オランダ王ヴィレム2世の妃
- アンナ・ヤギエロ - 神聖ローマ皇帝フェルディナント1世の皇后
- アンナ (キエフ大公妃) - キエフ大公ウラジーミル1世の妃
- アンナ・コムネナ - 東ローマ帝国の皇女、歴史家。
- アンナ・プシェミスロヴナ - ボヘミア王兼ケルンテン公ハインリヒ6世の妃
- アンナ・ペトロヴナ - ロシア皇帝ピョートル1世の娘、ピョートル3世の母
- アンナ・レオポルドヴナ - ロシア皇帝イヴァン6世の母
- アンナ・ヴァシリチコヴァ - ロシア皇帝イヴァン4世の皇后
- アンナ・コルトフスカヤ - ロシア皇帝イヴァン4世の皇后
- バートリ・アンナ - ハンガリー貴族。トランシルヴァニア公バートリ・イシュトヴァーン8世の公女。シリアルキラー、バートリ・エルジェーベトの母。
スポーツ選手[編集]
- アンナ・カッペリーニ - イタリアのフィギュアスケート選手
- アンナ・クルニコワ - ロシアのテニス選手
- アンナ・スマシュノワ - イスラエルのテニス選手
- アンナ・ベッソノバ - ウクライナの新体操選手
- アンナ・メアーズ - オーストラリアの自転車競技選手
- エレオノーラ・アンナ・ジョルジ - イタリアの陸上選手
- アンナ・ポゴリラヤ - ロシアのフィギュアスケート選手
- ディーン・アンナ - アメリカのプロ野球選手
芸能人[編集]
- アンナ・クラムスキー - アメリカの女優
- アンナ・ニコル・スミス - アメリカのモデル、女優
- アンナ・セドコーヴァ - ウクライナの歌手
- アンナ・パヴロワ - ロシアのバレリーナ
- アンナ・マクダレーナ・バッハ - ドイツの声楽家
- アンナ・パキン - カナダの女優
- アンナ・プロハスカ - ドイツのソプラノ歌手
- アンナ・ファリス - アメリカの女優
- アンナ・マニャーニ - イタリアの女優
- アンナ・モッフォ - アメリカの歌手
- アンナ・リー - 台湾のタレント
- アンナ・レイノルズ - イギリスの声楽家
- アンナ・レスコ - ルーマニアの歌手
その他の人物[編集]
- アンナ (隔離児) - 5歳頃まで部屋に監禁されていたアメリカの少女
- アンナ・アンダーソン - かつてロシア皇女アナスタシアと同一人物といわれた人物
- アンナ・エリザ・ウィリアムズ - 長寿世界一だったイギリスの女性
- アンナ・シェーファー - 聖人
- アンナ・ゼーガース - ドイツの小説家
- アンナ・ナホフスキー - オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の愛人
- アンナ・フロイト - イギリスの精神分析家
- アンナ・プロッフル - 「アルプス王」ヨハン大公と貴賤結婚した妻
- アンナ・ベイツ - カナダの長身女性
- アンナ・ポリトコフスカヤ - ロシアのジャーナリスト
- アンナ・マリア・モーツァルト - ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの母
- アンナ・リンド - スウェーデンの政治家
- アンナ・リュブリンスカヤ - ソビエト連邦の心理学者
日本の人物[編集]
「杏奈」も参照
- ANNA - ラジオパーソナリティ
- アンナ (お笑い芸人) - お笑い芸人
- 梅宮アンナ - モデル、タレント
- 川村あんな - グラビアアイドル
- 里アンナ - 歌手
- サントス・アンナ - 歌手
- 土屋アンナ - ファッションモデル
- 牧野アンナ - 歌手
架空の人物[編集]
- アンナ - Wii用ソフト『ボンバーマン』に登場するキャラクター。
- アンナ - スマートフォンアプリゲーム、『人狼ジャッジメント』に登場するキャラクター。
- アンナ - ライトノベル『異世界食堂』に登場するキャラクター。光の尼僧でハーフエルフ。
- アンナ・カレーニナ - レフ・トルストイの小説、またはその主人公
- アンナ・クリスティ - 1930年のアメリカ映画、またはその主人公
- 響アンナ - アーケードゲーム・テレビアニメ『アイカツスターズ!』の登場キャラクター。
- 掘アンナ - 漫画『ミコちゃんはごきげんななめ!』に登場するキャラクター。
- アナ - 劇場アニメ 『アナと雪の女王』に登場するキャラクター。アレンデール王国第二王女であったが、『アナと雪の女王2』よりエルサに変わって女王となる。
人物以外[編集]
- アンナミラーズ - レストラン。
関連項目[編集]
出典[編集]
- ↑ “Behind the Name”. 2014年7月3日確認。