ATS-SX

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ATS-SxはJRが開発した鉄道用保安装置である自動列車停止装置の総称である。

概要[編集]

国鉄で導入されていたATS-Sの改良版として開発された。現在ではより高性能なATS-DxATS-PATS-Psに置き換わりつつあるが、依然として多くのJR在来線で現役である。

仕組み[編集]

信号に対する安全機能
信号手前600mと信号手前20mの地上子の二つで機能する、赤信号状態で信号20mの地上子(通称直下地上子)を踏むと強制的に非常ブレーキが作動し列車を強制的に停止させる。600m手前の地上子を赤信号状態で踏むと5秒以内にATS確認操作を行わないと非常ブレーキが作動する。
地上時素子速度照査機能
JR東日本とJR北海道が採用するATS-Snで使用される機能で地上側で速度照査を行う。
速度制限区間開始前に2個の地上子を設置、一つ目の地上子を通過してから一定時間以内に次の地上子を通過すると速度オーバーと判定され、非常ブレーキが作動する。
車上時素子速度照査機能
ATS-Sn以外のATS-Sxはこれを使用する、これは速度照査機能を車両側に移した物で専用の周波数を使用する。
2個の地上子を設置するのは変わらないが踏んだ時にタイマーが車両側で作動する。次の地上子を車両側で設置された時間以内に通過すると速度オーバーと判定され、非常ブレーキが作動する。
この一定時間は事前に車両側で設定されており、速度制限によって地上子間の間隔を空けて調整する、速度制限が緩い場合は間隔を広く、厳しい場合は間隔を狭くする。専用の装置を車上に搭載する必要がありATS-Snでは使用できない。

会社ごとの機能差[編集]

信号に対する強制停止機能は各社共通の機能

ATS-Sn(JR東日本・JR北海道)
速度照査には地上時素子速度照査機能を使用、車上時素子速度照査機能は後述する派生型を除き非搭載。
ATS-Sn゜(JR東日本)
国府津車両センター所属のE231系、小山車両センター所属のE231系の一部編成、両車両センター所属のE233系に搭載されているATS-Snの派生形、車上時素子速度照査機能を併設している。
ATS-ST
JR東海で採用されているATSで速度照査には車上時素子速度照査機能を使用、また安全性には直接の関係性はないが列車番号送出機能が搭載されており踏切の無駄な閉鎖を抑制する。
ATS-Sw・ATS-SK・ATS-SS・ATS-SF(JR西日本・JR九州・JR四国・JR貨物)
会社により名称が異なるが機能が全く同じなため一括して紹介する、STと機能的な違いは列車番号送出機能の有無のみ。

問題点[編集]

赤信号の大幅な滑走のリスク
ATS-Sに比べれば滑走のリスクは減ったとしてもそれでも非常ブレーキがかかるのは赤信号手前で赤信号を超えてしまう問題があり、大規模な信号の滑走のリスクがある。

設置の現状[編集]

現在でもJRの列車密度が低い鉄道路線で多用されている他、特殊な事情で、全線P区間でも残置されている箇所が存在する。

篠ノ井線、桑ノ原信号場姨捨駅
篠ノ井線は全線でATS-Pが採用されているが、逆進運転へのATS-Pの弱さからスイッチバック採用の両駅構内はATS-Snが採用されている。