鹵獲

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鹵獲(ろかく)とは、敵が使用、又は保管している武器等を奪うことである。

鹵獲の目的[編集]

  • 敵を捕虜にする際に、武器を取り上げて反撃できないようにする。
  • 自軍や友軍の武器不足を補うため。
  • 珍しい外国製の武器をコレクションにするため。
  • 持ち帰って家族や友人に見せるため。
  • 敵の武器の性能を調べたり、自国の武器開発の参考にするため。
  • 売却して金品を得るため。

鹵獲した武器の使用が必要になるのは普通である[編集]

死ぬか生きるかの戦場では弾薬を節約する余裕など無い。弾はすぐに使い果たしてしまう。故障した武器を持ち帰って修理する余裕がなければ、その場に放棄しなければならない。故障した武器など邪魔なだけである。故障していない鉄砲を捨てて逃げなければならないこともある。自国から武器弾薬の供給が充分にあるとは限らない。補給路が絶たれたら補給は完全に無くなる。そのような状況であれば鹵獲した武器を使用する以外にないのである。

ベトナム戦争で、アメリカ兵の中には武器弾薬が充分にありながら、ベトコンから鹵獲したカラシニコフ突撃銃を使用する者がいた。アメリカのアサルトライフルは作動不良を起し易く使い物にならなかったのに対して、カラシニコフの方は最高レベルの信頼性を有していたからである。

自衛隊は鹵獲した武器を使用することを想定していないようだが、もう少し現実的に考えるべきである。

鹵獲の歴史[編集]

  • 紀元前1000年頃、ダビデが石を投げて敵軍の大男ゴリアテを倒した後、ゴリアテの剣を奪ってゴリアテに止めを刺した。第一サムエル記17章。その後、ゴリアテの剣は祭司が保管していたようである。祭司アヒメレクは、サウルから追われる身となったダビデにパンとゴリアテの剣を与えている。第一サムエル21章。
  • 中世の騎士は一騎打ちの勝負で負かした相手に身の代金を要求した。払えない場合には武器と馬と鎧を奪うことが認められていた。このためか欧米では鹵獲は騎士道に反しないと考えられている。中世ヨーロッパでは鎧は高価で、家一軒と同じくらいの価値があったという。
  • 三毛別事件で山本兵吉氏が巨大な人食い熊を仕留めた銃は日露戦争で鹵獲してきたものであった。
  • 第二次大戦では連合国も枢軸国も鹵獲した武器を活用した。日本軍の小銃や拳銃の多数が米兵により持ち帰られた。日本には三八式歩兵銃や南部十四年式自動拳銃は殆ど残っていないが、アメリカには多数残っている。
  • ドイツ軍のロンメル将軍はイギリス軍から鹵獲した装甲車に乗って指揮を取っていた。また、愛用していたゴーグルもイギリス軍から鹵獲したもので、お気に入りの戦利品であった。
  • ベトナム戦争でアメリカがベトコンから鹵獲したカラシニコフ突撃銃はアメリカの銃よりも優れていた。
  • イスラエルは、中東戦争で鹵獲したカラシニコフ突撃銃を参考にガリルライフルを開発した。
  • オサマ・ビン・ラディンは自分の映像を公開するとき、常に傍らにカラシニコフを置いていた。それは、ソ連のアフガニスタン侵攻のとき、アフガニスタンの義勇兵となった彼が、ソ連の将校を倒して奪った戦利品であったという。それは彼にとって勲章のようなものだったのである。
  • ウクライナ戦争でウクライナ軍は、ロシア軍の補給部隊を攻撃し、燃料切れで動けなくなって放置された戦車を鹵獲した。

映画の中の鹵獲[編集]

  • 極妻シリーズの中に、極妻が敵対する極道の本拠地に渡世のけじめを付けに行く物語がある。当初は勝ち目のない闘いであった。しかし、敵からサブマシンガンを鹵獲したことで形勢が逆転。極妻が勝利することになる。
  • コンバット 第131話は、サンダース軍曹がドイツ軍から鹵獲した大砲で敵のトーチカを破壊する物語である。

その他の鹵獲[編集]

将棋では敵から鹵獲した駒を使うことができる。

接収[編集]

第二次大戦でドイツが降伏したとき、日本の勢力下に停泊していたドイツ海軍のUボートは日本海軍が接収した。この場合は鹵獲ではなく接収という。