青色LED
青色LED(あおいろエルイーディ)は、青色発光するLED。
概要[編集]
赤・緑・青の光の3原色のうち[注 1]青色LEDは開発が難しかったが、1992年、日本の中村修二は、高輝度で効率的な青色LEDの開発に成功し、世界的な普及のきっかけとなった。
成果[編集]
光の3原色がそろったことで自然光に近い白色光を出せる白色LEDが実用化され、LEDによる照明ができるようになった。
開発経過[編集]
名古屋大学教授の赤崎勇(のち名城大学教授)と名古屋大学の大学院生の天野浩(現名古屋大学大学院教授)は1989年、窒化ガリウム(GaN)のpn接合を用いた青色LEDを開発[注 2]し、豊田合成で製品化もされた。しかし窒化ガリウム(GaN)を用いた青色LEDは構造上微小な電界が内部に発生するため、発光効率が低下し、短寿命である欠点があった。
国内外の科学者、工学者が高輝度で長寿命の青色LEDの完成を目指した中、松岡隆志(現東北大学名誉教授、当時NTT研究所)は、窒化インジウムガリウム(InGaN)に目を付け、結晶作成に成功したが、諸事情で継続を断念せざるを得なかった[1][2]。その後、徳島県の技術者中村修二(現米カリフォルニア大学教授)は、松岡と同じInGaNに着目して発光層とし、GaNにInGaNを挟んだダブルヘテロ接合を用いて長寿命化に成功し、さらに量産化に道を開いて、1993年に日亜化学工業は世界で初めて長寿命の高輝度青色LEDを製品化した。微小な電界が生じにくい方向に結晶を成長させることにより、従来を上回る発光効率の青色LEDと青紫色レーザーダイオードを発明した。
中村の業績は先進性のみならず、結晶成長装置などで独創性を発揮して、大手企業より開発費が少額の中小企業で製品化を実現させたことも注目された。
ノーベル賞[編集]
2014年度のノーベル物理学賞は、青色LEDを発明し、窒化物半導体の研究に携わった3人の物理学者赤崎勇、天野浩、中村修二に贈られ、素粒子物理学での受賞が多い同賞で異例の物性物理学分野での受賞となった。
松岡は受賞はならなかったが、学界では「第四の発明者」とされている。
天野と中村は2014年の文化功労者にも選任され、文化勲章が授与された。
将来[編集]
ガリウムはレアメタルであることから、酸化亜鉛などの普遍的な化合物による青色発光の研究が進められている。
脚注[編集]
- 注
- 出典