酒粕

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酒粕(さけかす)とは、日本酒(もろみ)を絞った後に得られる副産物であり、糟粕とも呼ばれる。本ページでは主に日本酒の酒粕について述べる。

概要[編集]

酒粕は日本酒の製造工程である「上槽」、または「絞り」と呼ばれる作業の際に得られる。上槽は醪を固形分の酒粕と液体分の清酒に分ける作業である。なお、この工程を行わないどぶろくの製造においては酒粕が発生しない。一方、みりん焼酎の醪から得られる酒粕も存在しているなど、様々な酒類から酒粕を得ることができる。

酒粕という名前やその製法から「搾りかす」というイメージを持たれがちであるが、白米の6倍近いたんぱく質などそれなりに栄養価の高い食材でもある。また、酒粕に含まれるレジスタントプロテインは腸内環境の改善や免疫力の向上が期待できる成分が含まれるとされている[1]
なお、カロリーもなかなか高い上にアルコールも含有しているため、取りすぎには十分注意が必要である。

酒粕を肥料として用いられることもあるものの、そのままだとアルコールを含有しているため米ぬかなどと混ぜ込んでぼかし肥料として利用されることもある[2]

ちなみに、現代の日本酒の製法である融米造りや焙炒造りの場合は液化粕と呼ばれる副産物が得られる。しかし、食品や化粧品の用途には向いていないことからその多くが産業廃棄物として処理されている。その一方で家畜への飼料や植物への肥料など、再利用の研究が各所で行われている。

用途[編集]

甘酒粕汁のような料理に使用されるほか、粕漬けなどの漬け床や化粧品にも利用される。

加熱してそのまま食べたり水に溶かして甘酒として利用されるほか、粕汁として汁物にすることも多い。また、漬け床としても広く用いられており、わさび漬け奈良漬けも粕漬の一種であるほか、魚の粕漬なども多く製造されている。

アルコール分[編集]

酒粕にもアルコール分は当然含まれており、加熱するなどしてアルコールを飛ばしていない酒粕を食べれば飲酒と変わらない状態になる。また、酒粕は100gあたり8gのアルコールを含んでおり、[3]奈良漬けよりも多いアルコールを含んでいる[注 1]。そのため、子供やアルコールに耐性のない人が酒粕やそれを利用した料理を食べる際には注意を要する。

運転の際にも注意が必要であり、飲酒運転は呼気に含まれるアルコール濃度により検査されるため、酒粕の摂取量によっては飲酒運転になることもある[注 2]。なお、2006年に粕汁を2杯食べて酒気帯び運転で検挙された事例が有名であるが、一般的な粕汁は煮立たせて作られることからほとんどのアルコールが飛ぶため、きわめてアルコールに弱い体質でないかぎり呼気中に検出されることはないという[4]

余談[編集]

落語の小噺には酒粕を食べて酔っぱらった与太郎が巻き起こす珍騒動の話がある。

関連項目[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. JASによれば奈良漬けは3.5%以上のアルコールを含んでいるものとされている
  2. これはウイスキーボンボンや奈良漬けでも同様である

出典[編集]