車両火災

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

車両火災(しゃりょうかさい)とは、自動車鉄道車両の車両やトレーラーが焼損する火災のことである。本稿においては主に自動車に関する車両火災を取り扱う。

概要[編集]

車両火災における車両は原動機を動力とする車と被けん引車両とされている。そのため、普通の乗用車や原動機付自転車、電車[注 1]なども車両火災に該当する。また、ナンバーの交付を受けている被けん引車両は動力を持っていなくとも車両火災に見なされることが多い。

原因[編集]

事故などの外的要因による火災が多いが、近年では車内に放置したモバイルバッテリースプレー缶の破裂も多い。古くからは燃料やオイルラインの損傷から車両火災に至るケース、トランスミッションデファレンシャルギアから出火するケースなどがある。 以下に車両火災となる原因の一部を挙げる。

事故によるもの
事故の衝撃により、燃料配管やエンジンオイルなどの潤滑系のラインが損傷し、エンジンなどきわめて高温になる箇所と接触した場合に発生することがある。また、漏れ出た燃料などに損傷した電気ケーブルからのスパークで発火することもある。
点検整備時などのミスによるもの
点検整備の際に取り外したパーツが正しく戻されなかった場合等に発生することもある。また、不適切な部品や社外品の取り付けにより破損し、結果として車両火災を引き起こすこともある。また、油をふき取ったウエスなどをエンジンルーム内に置き忘れ、エンジンの熱などで発火することもある[注 2]
使用者の不注意によるもの
パートタイム式の四輪駆動車でデフロック状態で乾燥路を走り続けたり、四輪駆動車に前後異径のタイヤをはかせたりするなど、デファレンシャルギアがそれぞれの回転差を吸収しきれず過加熱状態になり発火するケースもある。また、過度な空ぶかし(レブリミット付近で回し続けるような極端なモノ)によりエンジンから出火することもあり、特にガソリンオイルや冷却水が少なかったりすると発火しやすくなるという。全開走行後など排気管が過熱している状態で枯草などの燃えやすいものが排気管に近い場所にあると発火することもある。
使用者が乗車していない場合でもダッシュボードにライターなどを放置し、炎天下の熱で発火するケースもある[注 3]

ゴミ収集車における車両火災[編集]

近年、日本全国で自治体のゴミ収集車(塵芥車、パッカー車とも)の火災が多くなっている。これはゴミの中に乾電池やライター、モバイルバッテリーなどのリチウムイオン電池などが混入し、発火したものが原因とされている。こういったものは自治体によって回収日が定められていたり、販売店の回収ボックスへ回収することになっているものの、それが守られずに可燃ごみなどと一緒に排出されいるものと推察されている。

ゴミ収集車は1台1,000万円前後と言われており、平均で8年ほど使われている。それが導入後1、2年足らずで車両火災となり、大規模修繕か廃車である。いずれにせよ多額の税金が投入されることにほかならず、回収員の士気低下、収集車不足による回収の遅れ、多額の損失による行政へ影響を及ぼしている。

消火[編集]

従来の自動車であれば燃料はガソリンなどの液体燃料が多かったため、粉末・ガス式・液体[注 4]のそれぞれの消火器を使うこともできた。しかし近年のハイブリット車電気自動車には感電の恐れがあるため、消防隊員などは絶縁具を装着したうえで消火作業に当たっている。

モータースポーツにおいて[編集]

モータースポーツにおいては車両を限界まで駆使するためトラブルやクラッシュによる車両火災はつきものである。その際の消化には基本二酸化炭素などのガス式消火剤が使用される。 レース車両は非常に高価であり、粉末消火器は消火能力は高いものの、金属の腐食を促進させるだけでなく、細かいところまで粉末が入り込むため、粉末による汚損の少ない二酸化炭素などのガス式消火器が多用される。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. 電車や気動車の場合は鉄道車両火災とされることも多い
  2. もっとも、電動ファンや油圧パワステの駆動ラインなどに食い込み、車両火災にはならなくても車両に致命的な損傷を引き起こす可能性もある
  3. 炎天下のダッシュボードは70℃を超えることもある
  4. 水ではなく、泡による消火を行う