積算距離計

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
デジタル式オドメーター

積算距離計(せきさんきょりけい)とは、自動車などに装備される走行距離を示す計器である。総走行距離を示すオドメーターと区間距離を示すトリップメーターがあり、車のコンディションを確認したり、燃費を計算したりするのに利用されるものである。本項では主に自動車の積算距離計について述べ、トリップメーターについても記述する。

概要[編集]

機械式オドメーター(上段)とトリップメーター(下段)

自動車のコンビネーションメーター内に内蔵されているものが多く、オドメーターとトリップメーターが上下2連になっている機械式のものや液晶でオドメーターとトリップメーターの表示を切り替える電子式のものなどが存在する。

オドメーターはその車が製造されてから走行した距離を記録するものであり、自動車のメンテナンスで交換時期に距離を指定しているものなどはオドメーターの指示値を基準に交換されるものである。また、保安基準により装備が義務付けられている装置であり、オドメーターが故障していると車検を受けられないものである。なお、交換や修理でオドメーターの値が前回車検時の数値より減っているなどの場合、車検証に「走行不明」の記載がなされる。

自動車の価値は走行距離に応じて下がるという考えが一般的であり、かつてはオドメーターを巻き戻して価値を偽装する「メーター戻し」が横行していたこともある。

トリップメーターはオドメーターとは別にユーザーが任意にリセットできる距離計である。ガソリンを満タンにした際にトリップメーターをリセットし、サイドガソリンを満タンにした際のトリップメーターの値を給油量で割れば燃費を求めることができる(満タン法)。また、一部のオートバイには燃料計が装備されていないこともあり、走行可能距離の目安としてトリップメーターの値が使われることもある。

走行距離とコンディション[編集]

自動車において、エンジンオイルなどの油脂類やスパークプラグなどの消耗品は「~km、または~年毎」のように距離か時期かで管理されていることが多い。油脂類などは使用していなくても酸化吸湿の影響で劣化するため、距離か時期か早いほうで交換するように指示されている。近年では採用されることも少なくなったが、点火タイミングなどを同期させるためのタイミングベルトは10万kmで交換が求められているパーツである。一方でこの交換費用はそれなりに高く、普通車で10万円以上ということも珍しくない[注 1]。そのためこの10万kmで手放すオーナーも多く、走行距離が10万kmに近い中古車では「タイミングベルト交換済み」が一つのセールスポイントにもなりうる。

中古車市場では10万kmが一つの指標ともなっており、10万kmを超えた車には価値がないとされることも多く、一部のプレミア価格が付いた車以外は価値が著しく落ちることもある。また、走行距離の目安は1年1万kmとされており、それ以上走行しているような車は「過走行車」としてやはり価値が下がってしまう。一方、年式に比べてやけに走行距離が少なかったりするものも要注意である。買ってから10年間室内保管で一度も動かしていない、というのは一見すると極上車にも思えるものの、エンジン内部がさび付きを起こしていたり[注 2]ブレーキが固着して動かない、ということもあり、修理に要する金額が高額になったというケースもある[注 3]

関連項目[編集]

注釈[編集]

  1. タイミングベルト以外にもウォーターポンプなどの部品を同時に交換(予防交換)するためでもある
  2. エンジンオイルが循環しないため、重力によりオイルパンに近いほうにオイルが落ちていき、上部の油膜が切れて錆びる、ということもあるらしい
  3. とはいえボディなどは極上であることも多いため、所謂ハコ替えとしての需要は高い