燃費
自動車における燃費とは、「単位当たりの燃料で走行できる距離」を表した指標である。原動機における「時間単位当たりにどれだけの燃料を消費するか」という燃料消費率とは異なる概念である。
概要[編集]
自動車の燃料消費具合を示す指標であり、単位当たりの走行量が長いほど燃費が良く、短いほど燃費が悪い自動車と評価されるものである。平成初期まではそこまで重要な指標ではなかったものの、ガソリン価格の高騰や「エコカー」の躍進によりユーザーの燃費に関する意識も高まっており、現在では瞬間燃費や平均燃費を表示する燃費計を備えた自動車も多くなっている。
自動車の燃費計に表示される瞬間燃費とは、ごく短い時間(およそ1秒程度)に走行した距離と消費した燃料量を計測して算出されるものである。平均燃費はトリップメーターなどと連動し、現在までの走行距離と使用した燃料量の総計から算出されるものである。トリップメーターと連動しているものはトリップメータのリセットで平均燃費もリセットされるようになっている。
瞬間燃費はスロットル開度やギアの選択によって目まぐるしく変わり、どのような運転で燃料を消費しているか判断しやすくするものである。しかし、1秒間あたりの燃料消費量は電子的なデータが無いと算出できず、一般的には満タン法などで算出できる平均燃費が使用されることが多い。自動車ユーザーのいう燃費と言ったら通常はこの平均燃費を指すことが多い。
燃費は走行条件によって大きく左右され、純ガソリンエンジンの場合は高速巡航時間が長いほど燃費が良くなり、市街地などのストップ&ゴーが多い時間が長いほど燃費が悪くなる傾向にある。これは静止状態から巡航速度に達するまでに必要とするエネルギー量がスピードを維持するエネルギー量よりも多くなるためである。しかし、あまりにスピードを上げすぎると空気抵抗などに打ち勝つ必要も出てくるため、必要とするエネルギー量も増えるため燃費が落ちてしまうこともある。
そのほか、燃費に影響する要素としてエアコンの使用、風の強さと向き、斜度、気温、駆動方式、タイヤ、トランスミッションなどが挙げられている。
基準[編集]
世界的な指標としてWTLCモードという基準があり、CO2などの排出レベルと合わせて燃費も計測されるものになっている。WTLCモードには市街地・郊外・高速道路の3種類の走行パターンで燃費を計測し、WTLCモードはそれらを平均的な使用時間で分配した燃費となっている。いままでの日本においては「10・15モード燃費」や「JC08モード燃費」というものが使用されていたが、2018年からWTLCモードの表示が義務化された。
これらの公的な指標は自動車のカタログなどにも記載されることから、消費者からは「カタログ燃費」と呼ばれている。カタログ燃費は実際に使用した時よりも良い場合がほとんどであり、実態に近いとされるWTLCモードでも実燃費よりも良く表示されていることが多い。
なお、一般的にカタログ値や実測による平均燃費が20km/Lを超える四輪自動車は燃費がいいと分類されやすい。ハイブリッド車であれば30km/Lを超えるモデルもあり、その自動車の機構によっても燃費の良しあしの判断は様々である。スポーツカーや大排気量車では5km/L以下の自動車もあるほか、二輪自動車であれば60km/Lを超えるモデルもある。
満タン法[編集]
ユーザーが手軽に燃費を図る手段として「満タン法」と呼ばれるものがある。これはガソリンを満タンにし、一定区間を走行後に再度満タンまで給油することで燃料の消費量を求め、走行距離から燃費を算出するものである。また、それぞれの使用条件(通勤や旅行など)に応じた燃費を把握すれば条件に合った航続距離を出すこともできる。
例えばガソリン満タン後に220kmを走行し、再度満タンまで給油した時の給油量が31.40Lであった場合、その車の燃費は7.0km/Lということになり、この自動車のガソリンタンクが60Lであった場合は420kmが航続距離となる。